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基礎年金の引き上げにも下位20%世帯の所得は7%減少

登録:2018-11-23 06:07 修正:2018-11-23 12:45
統計庁「第3四半期家計動向調査」の結果 
 
上位20%の勤労所得11.3%増の間  
下位20%の世帯では22.6%減少  
所得格差5.52倍…2007年以降最大  
 
児童手当の導入など再分配政策  
高齢者の多い低所得層にはあまり効果なく  
「貧困層に合わせた福祉政策を強化すべき」
グラフィック=キム・スンミ//ハンギョレ新聞社

 今年9月から実施した基礎年金の引き上げや児童手当の導入効果が期待されていた第3四半期家計動向調査でも、所得下位20%世帯の所得は前年同期に比べて7%も減少した。今年に入って第3四半期連続の大幅減少傾向だ。一方、上位20%世帯の所得は8.8%増え、第3四半期基準の所得格差は史上最悪のレベルへと広がった。高齢化や失業などで低所得層の所得が急速に減少しているにもかかわらず、政府の再分配政策が十分な役割を果たせず、所得分配指標が日増しに悪化している。

低所得層の勤労所得22.6%減少…「労働市場離れの影響」

第3四半期の分位別世帯あたり平均所得の増加率=資料:統計庁第3四半期家計動向調査(所得部門)//ハンギョレ新聞社

 22日に統計庁が発表した「第3四半期家計動向調査(所得部門)の結果」によると、所得下位20%の世帯所得は131万8000ウォン(約13万円)で前年度より7%も減少した。下位20%の世帯所得は、今年第1四半期(-8%)と第2四半期(-7.6%)にも大幅に減少した。

 最も大きな理由は勤労所得の減少だ。下位20%世帯の勤労所得は1年前より22.6%も減少した48万9000ウォン(約4万9千円)に止まった。2003年の調査開始以来、減少幅が最も大きい。主な原因としては、最近雇用停滞の打撃を受けた低所得層の「労働市場離れ」があげられる。実際、下位20%世帯当たりの就業人数は0.68人で、1年前(0.83人)に比べ16.8%も減少しており、特に勤労者以外の世帯主の所得は33.5%も減少した。

 一方、上位20%世帯の所得は973万6000ウォン(約97万円)で、前年に比べて8.8%増えた。勤労所得(730万2000ウォン)が11.3%も増加した影響だ。下位20%の世帯とは裏腹に、1世帯当たりの就職人数は昨年2人から今年2.07人へと3.5%増加しており、彼らが今年に入って大幅に実施された賃金引き上げの影響を受けたというのが統計庁の分析だ。

 所得中位40~60%世帯の場合、全体所得は414万8000ウォン(約41万5千円)で、昨年第3四半期に比べて2.1%増えたが、事業所得の減少幅(-11.9%)が目立った。飲食や宿泊業、卸・小売り業など自営業種の不振が続く中、自営業者の割合が26.1%に達する3分位世帯の特性が反映された結果とみられる。

 所得下位20%世帯の所得は大きく減った一方、上位20%世帯の所得は大きく伸びて、上位20%世帯の所得が下位20%に比べて何倍なのかを示す所得5分位階層倍率(均等化可処分所得基準)は5.52となった。これは2003年に関連統計を取り始めて以来、第3四半期基準の最大値だった2007年と同様の水準だ。

 租税や社会保険料、利子費用などを含めた非消費支出は106万5千ウォン(約10万6千円)で、調査以来初めて100万ウォンを超えた。所中位60%以上の高所得世帯の賃金の引き上げと共に、勤労所得税などが大きく増え、公的年金寄与率の引き上げや健康保険料の引き上げなどが重なった影響だ。ただ、非消費支出は所得が大幅に減った上位20%世帯でも、昨年第3四半期より4.8%増加した。これは、上位20%世帯が実際に使える可処分所得を1年前より10.1%も減らす役割を果たした。

児童手当の効果はあったが、基礎年金の効果は微々たるもの

均等化可処分所得の5分位倍率=資料:統計庁第3四半期家計動向調査(所得部門)//ハンギョレ新聞社

 労働市場から抜け出した人が増え、低所得世帯の勤労所得は大幅に減少したが、政府の租税財政政策は所得再分配効果を十分に上げることができなかった。世帯員数を1人に合わせた「均等化可処分所得」を基準にしても、上位20%世帯の所得は83万3千ウォン(約8万3千円)で1.1%減少した。国民年金や各種福祉制度などを含めた公的移転所得が21万4400ウォン(約2万1千円)で、21.5%増えたが、勤労所得(-13.9%)と事業所得(-7%)など市場所得の減少分を補えなかったわけだ。統計庁は上位20%の公的移転所得が増加したのも「失業給与を受ける人が増えた影響」だと説明した。

 20万ウォン(約2万円)水準だった基礎年金の上限額は、25万ウォン(約2万5千円)へと5万ウォン引き上げられたが、その効果は微々たるものだった。第3四半期の調査に9月の1カ月分だけ反映されている上、家族構成員や国民年金の受給額によって差をつけて支給されるため、基礎年金25万ウォンをすべて受け取る高齢者が多くなかった影響だ。基礎年金を所得と見て、低所得層の生計給与から差し引くことに対する批判も依然として根強い。現在のところ、低所得層の老人世帯の所得を引き上げるのに、これといった効果がなかったわけだ。

 一方、6歳未満の子どもを持つ90%の世帯に、10万ウォン(約1万円)を一律支給した児童手当は、ある程度公的移転所得の増加を導いたと統計庁は評価した。児童手当を通じた所得増加は、子育て世帯が主に布陣した上位21~80%の世帯で現れた。しかし、高齢層が多い下位20%世帯の所得増加にはこれといった影響を及ぼさなかった。

 専門家らは、文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後、多様な福祉政策が提示されたが、市場所得がないまたは少ない下位20%の世帯の所得を引き上げるだけの政策拡大はなされていないと指摘した。オ・ゴンホ「私が作る福祉国家」共同運営委員長は「貧困層が受け取る生計給与は、前政権当時に定めた中位階層所得の30%水準で、毎年低い物価上昇率の水準にとどまるよう制限されている」とし、「中産階級が賃金上昇率以上の所得増加を経験する時も低所得層は所得が伸びない現在の福祉体系では、分配指標の悪化は避けられない」と指摘した。

パン・ジュノ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/871412.html韓国語原文入力:2018-11-22 20:38
訳H.J

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