負傷の亡霊が韓国のエースにまで魔手を伸ばした。ソン・フンミン（30、トッテナム・ホットスパー）が顔面骨折で手術を受けることになり、W杯本大会を目前に控えた韓国代表チームにも赤信号が灯った。
ソン・フンミンが崩れ落ちたのは2日（韓国時間）、欧州サッカー連盟（UEFA）チャンピオンズリーグのグループリーグでのマルセイユ（フランス）戦だった。前半23分、ハーフウェーライン付近で空中ボールを取るために飛び上がったソン・フンミンは、競合相手のマルセイユDFシャンセル・ムベンバの肩に顔の左側が強く当たり倒れた。衝突部位はあっという間に腫れ上がり、ソン・フンミンはすぐに交代され、顔を覆いながらフィールドを後にした。試合が終わるまでロッカールームで待機したソン・フンミンは、多少回復した様子で団体写真を撮ったりもした。
翌日、トッテナムは球団ホームページを通じて、診断の結果「ソン・フンミンが左目周辺の骨折の治療のために手術を受けることになった」とし「手術後、球団医療陣と共にリハビリを始める」と知らせた。ニュースを聞いた大韓サッカー協会（KFA）も、「（ソン・フンミンは）今週中に手術する予定であり、W杯の出場可否は手術結果を見守った後に判断する」といち早く立場を明らかにした。協会は「球団医務チームと協力しており、パウロ・ベント監督の別途インタビューはない」と付け加えた。
2022カタールW杯1次リーグ初戦のウルグアイ戦（24日）まであと3週間という時点で起きた災厄だ。ソン・フンミンは眼球の周りの眼窩骨の一部が折れたものとみられるが、手術後の医療スタッフの判断なしに復帰時期を予断するのは難しい。医学専門誌「メドスケープ」が昨年掲載した関連研究によると、「顔面骨折をした選手には負傷後20日までは一切の活動を禁止し、41日後からフルトレーニングおよび実戦試合を勧告する」と出ている。場合によっては、W杯に全く出場できないという可能性も少なくはない。
韓国代表チームにとっては青天の霹靂だ。ソン・フンミンはベント監督率いる韓国代表チームの固定メンバーだった。韓国放送（KBS）のハン・ジュンヒ解説委員は「ソン・フンミンの出場可否によって、ウルグアイ、ガーナ、ポルトガルの戦術的対応が変わるだろう」とし、「アルゼンチンのリオネル・メッシやフランスのキリアン・エムバペのように、ソン・フンミンは相手の戦術を制御する効果がある選手」だと話した。ソン・フンミンが後方に入り込みを意識した相手はたやすく守備ラインを上げることができず、彼に2、3人の守備手がつくことでほかの選手への守備が手薄になる。ソン・フンミンは、フィールド上に存在するだけでも戦術だった。
11月のW杯ジレンマがリスクとして返ってきたという分析も出ている。キム・デギル解説委員は「シーズン中にW杯を行えば、欧州リーグの選手たちは競技力が上がった状態でプレーできる。ただし、負傷のリスクも高まる。それが起きた」と述べた。実際、W杯が近づくにつれ、各国代表チームから主力の離脱が続出している。「ディフェンディング・チャンピオン」のフランスはエンゴロ・カンテとポール・ポグバの両選手の欠場が決まってMFが緩み、アルゼンチンのアンヘル・ディ・マリア、ブラジルのヒシャリソンなど岐路に立った選手が多い。
ソン・フンミンと韓国代表チームの前に置かれた運命は二つ。ケビン・デ・ブライネ（マンチェスター・シティ）の道か、ビクター・オシムヘン（ナポリ）の道だ。ベルギー代表MFのデ・ブライネは昨年、2020欧州サッカー連盟（UEFA）欧州選手権大会を控え、顔面骨折の負傷を負ったが、手術後19日で復帰して4試合に出場、ベルギーのベスト8入りを導いた。一方、キム・ミンジェのチームメイトでもあるナイジェリアのストライカー、オシムメンは昨年11月、頬骨骨折で40日あまり休場し、アフリカネイションズカップに出場できなかった。ソン・フンミンと韓国代表チームに奇跡が必要な時だ。
訳C.M
