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[レビュー]独島と鬱陵島のための孤軍奮闘…日本に対抗し島を守った朝鮮官吏の一代記

登録:2021-10-16 10:05 修正:2021-10-17 08:35
鬱陵島の初代郡守・裵季周、日本に立ち向かい領土を守るため奮闘 
「梅泉野録」に登場する実在の人物に想像力を加え、叙事詩に
慶尚北道鬱陵郡鬱陵島=鬱陵郡提供//ハンギョレ新聞社
『東海』コン・グァンギュ著、「千年の始まり」刊、1万7000ウォン//ハンギョレ新聞社

 コン・グァンギュの叙事詩『東海』は、黄玹(ファンヒョン)の「梅泉野録」に出てくる一節から始まる。「8月に倭が鬱陵島(ウルルンド)を占拠すると、都監の裵季周(ペ・ゲジュ)が倭国に渡って談判をした」。鬱陵島の初代郡守、裵季周(1850~1918)の一代記を中心に、傾きつつあった国の「一点島」鬱陵島と独島(ドクト)を守ろうとした、不憫でありながらも偉大な先祖の努力が、1万1千行を超える大作として凝結した。

 西海に浮かぶ小島の蘇爺島 (ソヤド)で生まれた裵季周は、鬱陵島の都監を経て初代郡守となった人物だ。彼は、中央政府の無関心の中で、日本の漁民や盗伐者、さらには警察の露骨な侵奪に対抗して鬱陵島と独島を守るために孤軍奮闘し、その過程で日本に渡って裁判を行ない、鬱陵島と独島は朝鮮の領土だとする日本政府の公式認定を引き出しもした。しかし、国が力を失い、国権が根こそぎ敵の手に渡る亡国の流れの中で、ひとりの官吏の愛国忠節だけで状況を正すには力が足りなかった。

 「イソヒヨドリとアマツバメと/キセキレイが訪れ/長い足でアマサギがやって来る石島//西側の島の傾斜の草むらを降りてくると/黒いウミツバメが一羽/イノコヅチに引っかかって死んでいた//不吉な兆しに突然身の毛がよだつ/欧米とロシアと日本が張りめぐらした/列強のイノコヅチにかかった大韓帝国を想像した」

 「石島」とも呼ばれた独島を監察していた裵季周が発見した死んだウミツバメは、大韓帝国の運命を象徴するようだった。逆に言えば、ウミツバメと独島と鬱陵島を守ることこそが、大韓帝国を守ることだったという意味となるだろう。

 「当時は朝鮮が衰え、日本が強くなるにつれ、多くの知識人が賦日、親日に傾いていった時代です。しかし裵季周は、衆寡不敵の状態にもかかわらず祖国を守ろうと孤軍奮闘しました。国がどのように滅びていくのか、そのような状況で官吏らの世渡りはどうだったのか、どのようにあるべきかを、この人を通じて見つめることができると思いました」

詩人のコン・グァンギュ氏=「千年の始まり」提供//ハンギョレ新聞社

 本紙のインタビューで詩人のコン・グァンギュ氏は、裵季周という人物に注目した理由をこのように説明した。裵季周をはじめとする実在の人物と歴史的事実を忠実に描いているが、江華の翁や平海の翁、永宗の商人などの架空の人物も設定し、物語をより豊かにした。可読性を考慮して詩を3行ずつ切って配置し、詩調と童謡、漢詩、自由詩のような様々な形式を添えることで、読む楽しさを加えた詩人の努力がひときわ感じられる。

チェ・ジェボン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/1015264.html韓国語原文入力:2021-10-15 17:27
訳C.M

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