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危機に瀕する映画館…観客を呼び戻すには?

登録:2020-11-05 02:44 修正:2020-11-05 09:11
新型コロナで拡大した映画産業の危機 
映画館-配給会社-製作会社の「悪循環」 
 
映画関係者、特段の措置にコンセンサス 
入場券収入の配分を調整し 
発展基金の徴収拡大などの意見も
先月28日、ソウル銅雀区のアートナインで「2020韓国映画産業緊急診断討論会」が開かれた=映画輸入配給社協会、韓国映画プロデューサー組合提供//ハンギョレ新聞社

 長期にわたるコロナ禍で、映画産業の最前線である映画館が崩壊しつつある。映画関係者の間からは、映画館-配給会社-製作会社の順で危機に陥る悪循環を断ち切るためには、映画館と配給会社が入場券収入の配分を調整するなど、特段の措置が必要だという声が出ている。

 韓国の複合映画館で1位企業のCGVは先月26日、大学路(テハンノ)、明洞(ミョンドン)駅シネライブラリー、光州錦南路(クァンジュ・クムナムノ)、延寿(ヨンス)駅、登村(ドゥンチョン)、大邱(テグ)アカデミー、洪城(ホンソン)の7支店を閉鎖した。CGVは3年以内に全国119の直営店のおよそ30%にあたる35~40店の削減を決めた。コロナ禍で観客が前年に比べ70%も減少したため、役員賃金の返上、上映回数の削減、一部上映館の臨時休業、人員削減などの非常手段を相次いで打ち出してはいるものの、重みを増す経営難に耐え切れずにいるのだ。

 大型の複合映画館だけではない。先日、独立芸術映画の前哨基地としての役割を果たしてきたKT&Gの「サンサンマダン・シネマ」が消えるという噂が流れた。これに対し、KT&Gの配給により映画を公開したキム・ジョングァン、シン・ヨンシク、ヨン・サンホ、イ・ギル・ボラの各監督ら18人は「KT&G想像マダンシネマと映画事業部を守ってほしい」と訴え、オンライン署名運動を繰り広げた。するとKT&G社会貢献室は先月27日、「サンサンマダン・シネマは閉鎖しない。より良い空間とコンテンツで支援する方策を検討しており、再整備の観点から空間(運営)を臨時休業している状態」と説明した。

 にもかかわらず懸念は消えていない。サンサンマダン・シネマは今年2月以降、2カ月間を除き、臨時休館状態が続いている。サンサンマダン映画事業部の関係者は「KT&G本社から、年末まで勤務することとし、退社せよという通知を8人の職員全員が受け取った。再整備に関する話は全く聞いていない」と述べた。KT&Gの釈明とは異なり、事実上映画事業の廃止手順を踏んでいるのではないかという疑惑が持たれている。

 人々が映画館を訪れない理由は新型コロナに対する不安もあるものの、話題作がないためでもある。CGVで戦略支援を担当するチョ・ソンジンさんは「映画館に来ない人の話を聞くと『不安』が半分、『見たい映画がない』が半分」と語る。観客が大きく減った中、大作は公開を延期し、見るに値する映画がないから観客がいっそう減るという悪循環が繰り返されているのだ。

 映画関係者の間からは、悪循環を断ち切るためには、収益の配分を調整し、映画を公開する配給会社の負担を軽くすべきだという声が出ている。先月28日、ソウル銅雀区(トンジャック)のアートナインで開かれた「2020韓国映画産業緊急診断討論会」で、リトルビッグピクチャーズのクォン・ジウォン代表は「今は配給会社・製作会社に回ってくる観客1人当たりの客単価が4000ウォン(約367円)に満たない。損害が出ることが分かり切っている中では公開を強要することはできない。分配率を調整することで客単価を引き上げれば、配給会社はより積極的に公開するだろうし、そうすれば映画館の観客も増えるという好循環につながる可能性がある」と提案した。

 映画館だけに限られている映画発展基金の徴収対象を、オンライン動画サービス(OTT)やIPTVなどへと拡大し、増えた財源を危機克服に活用すべきだという意見も出ている。ある制作者は「映画の消費形態の変化に合わせて、新しいプラットフォームにも映画発展基金を課し、これを映画制作だけでなく映画館での公開への支援など、さまざまな危機の打開策に使用すべきだ」と述べた。

ソ・ジョンミン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/968575.html韓国語原文入力:2020-11-04 18:34
訳D.K

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