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2017年の韓国映画トレンド…「災難」モノの後は「分断」

登録:2017-01-25 22:20 修正:2017-01-26 06:57
南北刑事合同捜査を扱った『共助』に続き 
殺人容疑者になった北朝鮮高位要人『V.I.P』など 
『鋼鉄の雨』『413』『工作』など分断素材の洪水 
CJ・ワーナー・ショーボックスなど大型配給会社が投資 
「南北に対する討論活性化を期待」
『V.I.P』撮影現場=ワーナーブラザースコリア提供//ハンギョレ新聞社.
『鋼鉄の雨』製作発表会で舞台に立った俳優クァク・トウォン(左から)、ヤン・ウソク監督、俳優チョン・ウソン=NEW提供//ハンギョレ新聞社
『共助』撮影現場=CJエンターテインメント提供//ハンギョレ新聞社

 今年の韓国映画に新たなキーワードが浮上した。分断と南北関係を素材にした大型映画がすでに封切りしたり、製作が急ピッチで進んでいる。

 まず韓国最大の配給会社であるCJエンターテインメントは18日、韓国と北朝鮮の初めての合同捜査を素材にした『共助』を封切った。続いて25日には、ユン・ジョンビン監督の南北スパイアクション映画『工作』がCJからの投資を受けて撮影を始めた。パク・フンジョン監督の『V.I.P』は昨年10月に撮影に入った。3カ月間にわたりタイ、香港での海外ロケと全国ロケを終えて20日にクランクアップした。ワーナーブラザースコリアの配給で今年前半期に封切りされる予定だ。ヤン・ウソク監督のスリラー『鋼鉄の雨』(NEW配給)は2月2日に初めての撮影をする。『ビューティインサイド』を作ったペク・ジョンヒョン監督が演出し、ショーボックスが投資する映画『413』もまもなく撮影に入る。この映画は現在企画・製作中の南北分断映画のうち、最も多い製作費が投入される大作になると発表された。

 映画の面々を見れば、南北分断を素材としている映画が“大勢”という評価に無理はない。『V.I.P』は韓国で起きた連続殺人事件の容疑者に北朝鮮の高位要人、VIPが名指しされ、この人物の身柄を確保するために、韓国の国家情報院、北朝鮮の保安省、米国のCIAが絡む話だ。チャン・ドンゴンが国家情報院の要員、イ・ジョンソクが殺人容疑者、キム・ミョンミンが警察、パク・ヒスンが北朝鮮工作員として出演する。

 『工作』は1990年代中盤を背景に、北朝鮮の核開発実態を把握するための南北間秘密情報戦を描いた。ファン・ジョンミンが中国で身分を偽装して北朝鮮に潜入する役割を、イ・ソンミンが北朝鮮の中心人物を演じる。チュ・ジフンは北朝鮮保衛部将校、チョ・ジンウンは韓国で工作を設計した人物として出てくる。

 『鋼鉄の雨』は『弁護人』を演出したヤン・ウソク監督が作画を務め、ウェブ漫画の『スチールレイン』(steel rain)を原作にした映画だ。『スチールレイン』は金正日国防委員長が死んで北朝鮮でクーデターが起き、朝鮮半島での戦争を防止するために南北米中の間で繰り広げられる仮想の外交情報戦を扱った。かなり以前から映画化が推進されていたが、ウェブ漫画のあらすじ通りに現実でも金正日委員長が突然死亡し、製作が無期延期されていたが、今回再び設定を少し変えて、チョン・ウソン、クァク・トウォン主演の映画として作られることになった。

 『413』も『鋼鉄の雨』と同じく、近未来、仮想の朝鮮半島状況を背景にする。映画のタイトルは、大韓民国臨時政府の樹立日である1919年4月13日から取ってきた。『413』を製作するヨンフィルムのイム・スンヨン代表は「分断状況を背景にしているが、韓国現代史を正さなければならないという歴史認識がさらに重く作用する映画」として「ペク監督のスピーディで躍動的な映像美、海外5都市を巡って撮影されるスケール、『鳴梁』の作家、チョン・チョルホン氏のしっかりした叙事が強み」と話した。

 昨年の韓国映画の大きな二つの流れは、災難(『釜山行き』(邦題:新感染 ファイナル・エクスプレス)、『トンネル』『パンドラ』)と、社会告発(『内部者たち』『検事外伝』『ザ・キング』)だった。今年は『タクシー運転手』『1987』などが出て、社会告発モノは韓国現代史を省察する映画で、災難モノは分断モノになり、それぞれの流れが続く格好だ。

 主流映画界が分断映画に関心を傾ける理由としては、アクション ブロックバスターの魅力的素材になりうる点が第一に挙げられる。漢陽大学演劇映画学科のキル・ジョンチョル特任教授は「南北問題はキャラクターの対比を見せやすく、分断または戦争防止など超個人的軋轢を内包していてブロックバスターとして魅力的な素材」と話した。あわせてブラックリストなどの余波で社会批判的性格の災難映画製作に対する負担感が大きくなったため、国内政治の色彩が弱まる分断アクション側に投資が集まったことも理由の一つという分析もある。

 分断モノにどのような話が込められるかは、もう少し見守る必要がある。セウォル号以後、一部の大型映画が外圧の中でも“災難モノ”ジャンルで韓国社会に対する批判的見解を表わしたように、分断モノも分断状況を単にアクション素材として消費するのではなく新たな洞察の提示にまで進むのではという期待もある。映画評論家チョン・チャンイル氏は「2013年アクション・娯楽の外皮をかぶったウォン・シニョン監督の『容疑者』がそうだったように、今年の分断モノ大作も、商業的理由で企画されたが結局は分断に対する重要な討論につながるだろうと見る」と話した。

ナム・ウンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/movie/780209.html 韓国語原文入力:2017-01-25 20:00
訳J.S(2366字)

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