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韓国の研究陣が世界で初めて原子大の金属隙間製作に成功

登録:2015-10-15 00:06 修正:2015-10-15 06:13
キム・デシク、イ・サンミン教授共同研究チームが成果…光学通信などに応用期待
銅-グラフェン-銅構造、オングストローム(0.1ナノメートル)大の隙間にミリメートル波長のテラヘルツ波が強く集束され隙間に電子のトンネリングが起きるイメージ図=資料写真//ハンギョレ新聞社

 韓国の研究陣が原子大の世界最小の隙間製作に成功し、新たな物理現象の観察に成功した。

 ソウル大のキム・デシク物理学科教授と亜洲(アジュ)大のイ・サンミン・エネルギーシステム学科教授の共同研究チームは14日、「世界で初めて原子の大きさである0.1nm(ナノメートル・1ナノメートルは10億分の1メートル)幅で最長1センチの長さを持つ金属隙間の製作に成功し、ミリメートル波長の光を集めることに成功した」と明らかにした。 研究チームはこの隙間を利用して波長の長いテラヘルツ波を集束した結果、光の強さが増加するほど透過率が減じるという量子力学的現象の観察に成功した。研究成果は物理学分野の権威誌である『フィジカルレビュー・レターズ』最新号に巻頭論文として掲載された。

研究チームの論文が掲載された『フィジカルレビュー・レターズ』最新号表紙=資料写真//ハンギョレ新聞社

 光源の中で波長が比較的長いミリメートル領域にあるテラヘルツ波は、可視光線やX線が透過できない物質を透過しながらも人体には害がない。 隠されている危険物質の探知、包装後の製品検収、皮膚内正常組織と癌組織の区別などをより容易にできるため、保安装備、電子機器、医療機器のような多様な分野に応用されると期待されている。 X線は頑丈な物質だけを探知し、電磁波技術は金属性物質のみ、光学的分析法は目に見える領域だけを分析できるのに対し、テラヘルツ波は液体物質も探知できる。 たとえばX線で怪しい粉が入った封筒内に入っている物質を分析するには、封筒を開けて粉を取り出さなければならないが、テラヘルツ波を利用すれば封筒を開けずに物質が持っている固有パターンを認識し探知できる。 だが、このようなテラヘルツ波の探知能力を利用するには、テラヘルツの性質を完ぺきに理解することが先決だ。

 研究チームはまず平行に配列された二つの金属(銅フィルムの間に二次元炭素原子層であるグラフェンを垂直に立てて金属の隙間に組み入れる構造を作り出した。 その隙間は原子の大きさである1オングストローム(=0.1ナノメートル)の厚みしかない。研究チームはこの隙間を1センチまで長く延し、テラヘルツ波をその隙間に集束させることに成功した。

 研究チームがテラヘルツ波をげ隙間に照射すると、あたかも海水が水道管程度の小さな漏斗に吸い込まれていくように集束され透過する現象を観察した。 この時、テラヘルツ波の強度を上げると電子が二つの金属壁の間に形成されたエネルギー障壁(ポテンシャル障壁)を跳び越える“電子トンネリング”現象が現れた。 このトンネリング現象はテラヘルツ波の電場集束率を減少させ結果的に透過率が下がるという事実を研究チームは知った。

銅-グラフェン-銅構造のオングストローム(0.1ナノメートル)大の隙間にミリメートル波長のテラヘルツ波が強く集束されるイメージ=資料写真//ハンギョレ新聞社

 キム・デシク教授は「テラヘルツ波の強度が高いほど電子のトンネリング現象が優勢になり透過率が下がる新たな量子力学的非線形現象を世界で初めて観測した。 原子単位で起きる光学的現象を扱うオングストローム光学の基盤を作ったという意味がある。 量子効果が重視されるバイオ化学、分子電子素子、光学通信など多様な分野での応用が期待される」と話した。

イ・グニョン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/712909.html 韓国語原文入力:2015-10-14 20:22
訳J.S(1651字)