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“韓国は家族に‘育児・教育・扶養’すべて押し付け”

原文入力:2009-04-08午後09:03:29
‘家族・生涯・政治経済…’ 出版したチャン・ギョンソプ教授
‘家族疲労’ 臨界点到達…離婚・低出産など招来
国家がしなければならない社会投資機能 正しく遂行を

イ・セヨン記者,シン・ソヨン記者

←チャン・ギョンソプ ソウル大教授(社会学)

お母さん熱風だ。小説とドラマ,演劇を分ける必要もない。10余年前の‘父親症候群’に比べるに値する。時節が怪しいためだ。危機が襲う度に本能のように血縁に寄り添うこと。韓国の家族主義はそれだけ根が深く悠久だ。
“全知全能な母性に対する懐かしさです。矛盾だらけの社会秩序を支えて急激な社会変化に耐えさせたものが韓国の家族だが、その中心には母親がいました。社会・経済的危機で人生が根元から揺れると、忘れていた母性の存在を再確認し、そこに寄り添ってまた慰められたいということでしょう。”

チャン・ギョンソプ ソウル大教授(社会学・写真)は最近の‘ママ症候群’を社会的危機局面ごとに作動する家族依存メカニズムを通じて説明した。人生が手に余る度に家族を呼ぶことこそ、韓国人たちが家族主義に基づいて作ってきた圧縮的近代の断面を見せる事例だという話だ。彼はこういう問題意識を最近出版した<家族・生涯・政治経済-圧縮的近代性の微視的基礎>(創批)という本に著した。

“韓国の近代化は24時間機械を回すように家族をフル稼働させる‘家族動員体制’に依存してなされました。人的資源養成に必須の教育と扶養の役割を家族にまかせたまま、国家はすべての資源を成長と雇用創出に集中させたのでしょう。言ってみれば国家や社会が一手に引き受けなければならない荷物を家族が代わりに担ったと言えます。”

韓国の家族が一手に引き受けたこういう機能をチャン教授は‘社会投資家族’という概念を通じて説明する。再分配より教育・訓練など人的資本投資に注力する新しい福祉国家を指し示すために社会学者アンソニ・ギデンズが使った‘社会投資国家’という概念を韓国的現実に合うように変形したのだ。

←<家族・生涯・政治経済-圧縮的近代性の微視的基礎>

“個人もやはり本人だけでなく子供や兄弟の教育的成就のために家族が持った資源を最大限動員しました。構成員の社会的成功が全体家族の社会的地位を上昇させることを期待したためです。そうするうちに意図したことではなかったものの、国家が遂行しなければならない社会投資の代わりをすることになったのでしょう。”

問題は過重な荷が負わされ家族の機能に‘過負荷’がかかることになったという点だ。チャン教授はその兆候が近代化にともなう西欧家族理念の流入と共に現れた後、持続的に状態が悪化してきたと見る。

“韓国社会の特徴の一つが変化の圧縮性と複合性だが、その結果として相異なる時空間で形成された多様な家族理念が韓国人の家族関係に影響を及ぼしました。老人と児童に対する扶養・保護機能を賦課する儒教的家族理念に家族成員の成功のために資源を注ぎ込むことを奨励する道具主義家族理念と西欧から由来した個人主義・叙情主義の家族理念がより増しました。ここに国家の家族依存的社会政策がかみ合わさって、韓国人の‘家族疲労’を加重させることになったのでしょう。”

1990年代末、経済危機に続く急進的構造調整は韓国人の‘家族疲労’を臨界点まで押しやった。結局状況は離婚と晩婚,独身,無出産,低出産などのような全方向的な家族解体と脱家族化の形で爆発したというのがチャン教授の診断だ。

“新保守主義者は家族の価値と機能を回復しなければなければならないと主張するが違います。問題の核心は過去のような‘家族依存的政治経済’がこれ以上は支えられないということにあります。こういう状況で家族に継続して負担を負わせようとすれば、家族だけでなく巨視的な社会体制が危機に陥りかねません。”

家族の解体が社会の解体につながりうるという憂慮だ。チャン教授はこういう危機の兆候として公教育崩壊と急増する自殺率を挙げた。

“代案? 育児と教育,老人扶養など家族が遂行した機能を社会化しなくてはね。国家が積極的に負担しなければなりません。そうして家族疲労を減らしてこそ、若い人たちが結婚を先送りせず、子供もたくさん産みます。美風良俗を前面に出して過重な負担を強要すれば、かろうじて残っている美風良俗まで消えるしかありません。”

チャン教授は最近の脱家族主義化が個人主義社会の到来を呼び込むという‘常識的’期待に対しても首を横に振った。個人主義は長い間の社会・経済・文化的過程を経て形成される文明的コンポーネントであり、複雑な適応と準備期間を必要とするということだ。結局深刻な文化的葛藤と混乱状態が当分持続するほかはないというのがチャン教授の展望だ。

“家族中心主義は解体されているのに、これを代替する個人主義は根をおろせずにいるということ、韓国社会のジレンマはこれです。家族に碇をおろして暮らした人々が、頼るすべがなくなるとどうすることも出来ないまま路上生活者になって自殺をします。政府の発想転換が望まれます。”

文イ・セヨン記者monad@hani.co.kr

写真シン・ソヨン記者viator@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/culture/religion/348773.html 訳J.S