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[社説]江南スタイル、‘「私」のスタイル’

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/553900.html原文入力:2012/09/28 19:20(1520字)
 毎晩のように記録を書き換えるー。わずか2週間前、米国ビルボードマガジンのシングルチャート64位になったPSY(サイ)の江南(カンナム)スタイルが先週11位に跳ね上がると、今週は2位に駆け上がった。正式なレコードもなしにオンラインの音源ファイル販売と放送出演だけで成し遂げたのだから、奇跡に近い。音源ファイルはすでに10余日前から米国と英国はもちろん東南アジア、南米に至るまで全世界のアイチューンズ(訳注・アップル社の音楽プレーヤーソフト)のダウンロード市場を席巻した。不景気に大統領選挙まで重なって貧しく落ち着かない秋夕(同・中秋の名節)だが、これ以上楽しく素敵な贈り物はない。  ビルボードのチャートは、米国人が楽しんで聞く歌やアルバムをランキングしたに過ぎないものではある。しかし世界的スタンダードに準じるだけに、その意味は小さくない。1位まで上がれば最もにぎやかな所に舞台を設けて上半身裸になって「馬ダンス」を踊るとサイが約束するほど、最高のあこがれの対象だ。今の勢いならソウル市庁や光化門(クァンファムン)の広場でサイとともに馬ダンスを踊る日も遠くない。ビルボードに引けを取らない英国のUKチャートではすでに1位にまで上がっている。
 とりわけ喜ばしいのは世界の人の心をとらえたいわゆる‘サムマイ(安モノ)のノリ’だ。遅ればせながらあわてて成功の原因を考えた専門家たちが出した結論は低質、安物ぽさ、虚勢、コミックなどのB級のノリだ。裃(かみしも)を脱いで、えらぶらず、生のままの‘俗っぽさ’の成功は、名節でさえ悩ましい人たちの苦労を忘れさせてくれる。だが、このようなノリよりもっと強調しなければならないことは、安っぽさの堂々としているということだ。出だしの場面から10車線の道を馬ダンスをしながらさっそうと渡っていくミュージックビデオは、世の中のメンツや習慣に「クソ食らえ」の様相だ。地中海の海辺でもあるかのように街の公園で日光浴を楽しんで、木馬にまたがって世界最高の乗馬のようにうっとりし、大衆浴湯で泳いで、ごみ捨て場でも丘でもところかまわずに遊ぶ。その堂々としているところが見ている人をなごませてくれる。楽しみ方は各自の勝手で、規範や人の顔色をうかがったりするものではない。  そのうえ江南スタイルは堂々としたB級のノリの創造性を大いに訴えている。これまでの我々の音楽界は西欧のコードによる歌と歌手で西欧市場に進出しようとしてきた。ワンダーガールスがビルボードのアルバムチャート76位に入って、Kポップを世界に知らしめるなどの、ある程度の成果を上げたが、西欧の音楽界の主役にはなれなかった。西欧のスタイルに対するこのようなプレッシャーを痛快に吹き飛ばしたのが江南スタイルだ。西欧トレンドでなく、サイのスタイルで成功したゆえだ。衣食住や成功、成就、幸福において自分のスタイルでなくひとのスタイルだけまねようとする私たちの風潮に与えるメッセージも小さくない。
原文: 訳T.W