それなのに現時点で衛星発射をするという理由が何なのか気になる。南北と北韓-米国関係など内外に及ぼす否定的な波紋を考えれば真に無謀だ。北は2・29朝-米合意でミサイル発射中断などの措置に対して "実りある会談が進行される間" だけそのようにするという留保条項を付けた。したがって今回の発表は、合意以後に食糧支援問題などをめぐって米国と進めている交渉に成果がなかったり、あるいは交渉を有利に進めるための圧力かも知れない。
しかし、わずか半月で合意を破るほど重大な状況変化があったと見ることは難しい。 したがって目的は他のところあるように見える。金日成主席の誕生100年である今年を‘強盛大国’の年と宣言した北が、4月15日の誕生記念日に合わせて住民動員の起爆剤としてロケット発射を利用する意図が大きいのだ。これは金正恩体制の健在と内部団結を誇示するイベントでもある。
北は発射にともなう損失より利益がより大きいと判断したのかも知れない。しかしそれは誤った判断だ。どんな名分を突きつけようが長距離ロケット発射は米国のオバマ政府を困らせて、難航する北韓-米国交渉によって設けられた北朝鮮-米国の関係改善と6者会談の可能性を消す公算が大きい。安保問題に一層敏感になっている韓国と米国の選挙政局にも否定的な影響を与えるだろう。それでも北がミサイル発射で内部団結と対外誇示効果を狙うならばそれはそれだけ体制が虚弱で自信がないことを自認するばかりだ。誰にも利益にならない無謀な長距離ロケット発射を中止することを望む。
原文: 訳T.W