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[特派員コラム] 通米封南/クォン・テホ

原文入力:2012/03/15 19:36(1896字)

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"李明博政府の外交は報復と怒りの外交…
その後に対する戦略的代案がない"

 ワシントン特派員として外から韓半島問題を見てみると、李明博政府には一つのステレオタイプがある。 南北関係が悪化する時、韓国政府がピンチに追い詰められた時には米国政策当局者が‘堅固な韓-米同盟’を強調する。その政策当局者が国務部スポークスマン、ヒラリー・クリントン国務長官、時にはバラク・オバマ大統領になったりもする。

 ドイツ フリードリヒ・エバート財団などが主催したニューヨーク、韓半島セミナーの渦中にもそうだった。 当初、韓国政府がこの会議に北韓代表団が参加することを阻もうとしたが、2・29北京北韓-米国合意とジョン・ケリー米上院外交委院長の出席などのために国務部が北韓代表団にビザを発行せざるをえなくなり、今度は無理に出席を試みたと参加者たちは話した。 ‘通米’を阻もうとしたが、失敗したので‘封南’だけは避けようという心づもりだ。

 韓半島を巡る環境が北韓-米国関係改善に向かって動いていることは明らかだ。 金正恩体制は米国との関係改善を通じて食糧支援と国際社会との疎通という希望を人民に見せる必要がある。 選挙を控えたオバマ行政府はイスラエルの空襲威嚇と絡まっているイラン核問題で乱れていたが、北韓とまでは正面対抗し難い。‘北韓が核をあきらめるか’という根本的問いと関係なく‘選挙が終る時までだけでも静かに’という必要に直面している。 クリントン長官がセミナー期間にワシントンを訪問したキム・ソンファン外交通商部長官との会談の後「韓国と米国の隙間を広げようとする試みは失敗するだろう」としつつ、もう一度‘韓-米同盟’に力を与えたが、言葉は虚空を漂う。 ニューヨーク セミナーに参加したリ・ヨンホ北韓副首相がロシア・中国と韓半島問題を議論している。 日本言論は北韓が日本と北送者問題を協議すると報道した。

 動きを見れば韓半島問題において北韓ではなく韓国がますますのけ者にされていくようだ。 2・29北韓-米国合意には米国がその間北韓に要求してきた核実験およびウラニウム濃縮活動中止、国際原子力機構(IAEA)査察、食糧支援モニタリングなどほとんど全ての事項が全て含まれているが、韓国政府が要求してきた‘南北関係改善’条項は抜けている。 ‘リップサービス’と‘交渉’の差異だ。 李明博政府が‘南北対話’を切実に望む理由が気になる。暇が出来るたびに対北韓強硬発言を吐きだしながら、また他方では‘無条件’に対話をしようと言えば、あたかも対話のための対話をしようということのように聞こえる。 セミナーに参加したムン・チョンイン延世(ヨンセ)大教授は「李明博政府の外交は報復と怒りの外交」だとして「その後に対する戦略的代案がない」と指摘した。 李明博政府の統一政策の最も大きな問題点は恐らく統一政策を国内政治の一要素として利用しようとする点であろう。

 最近、韓-中間の最大外交紛争となっている‘脱北者の北への強制送還’問題もそうだ。 民間団体または国会議員が普遍的人権に声を高めることは十分にわかる。だが、ハンスト闘争をした国会議員に大統領が電話をかけ、そのことを自慢気に公開したので外交問題に飛び火した。 韓国政府が中国政府に要請して静かに推進しなければならないことを満天下にさらしてしまった。 どの程度ならパン・ギムン国連事務総長までが「時には静かに水面下で外交的に解決することが効果的でありうる」と話すだろうか? ふと気がかりなことが浮かんだ。‘北脱出者’を大切にしたのか、‘保守票結集’を大切にしたのかということだ。 その代価は胡錦濤中国国家主席のソウル核安保首脳会議出席有無が不透明になった韓-中外交の破綻と中国居住北脱出者の身辺威嚇だ。

 今後6者会談が開かれれば李明博政府は中国に‘北脱出者強制北送’問題を持ちださざるえを得ない状況を自ら招いた。 今のような状況では当分6者会談は簡単には開かれそうにない。 米国も、北韓も、2者協議を通じて最大限問題を解決しようとするだろう。 もしかしたら6者会談参加国の全てが李明博政府が退くのを待つかも知れない。ことによると韓国の職業外交官たちも同じかもしれない。

クォン・テホ ho@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/523692.html 訳J.S