本文に移動

「南京大虐殺」を消し去る日本、「ベトナム戦争での虐殺」を消し去る韓国【寄稿】

登録:2026-08-12 07:56 修正:2026-08-12 08:57
パク・チョンウォン作『偽りの記念』=筆者提供//ハンギョレ新聞社

 最近、日本の長崎原爆資料館での展示リニューアルをめぐる物議があった。約30年ぶりとなる大規模なリニューアルの過程で、資料館がこれまで「南京大虐殺」と記していた表現を「南京事件」に変更する案を推進したのだ。長崎市は、日本政府の公式見解と検定教科書の表現を参考にしたと説明した。しかし、日本国内外から懸念の声が上がった。日本軍が犯した戦争犯罪の性格と責任があいまいになるおそれがあるという批判だった。論議は国際社会にも広がった。中国外交部は6月5日の公式会見で強い憂慮を表明し、英国日刊紙「ザ・タイムズ」も、長崎原爆資料館の展示変更問題を大きく報じた。

 日本では、このような論争がすでにかなり前から続いていた。代表的な事例が「大阪国際平和センター」(ピースおおさか)だ。1991年に開館した同センターは、日本の戦争被害だけでなく、日本がアジアで犯した侵略と加害の歴史も同時に扱っていた。南京大虐殺、植民地支配、日帝強制動員など、日本社会が不快に感じる歴史もあわせて展示で取り上げた。しかし、これを「自虐史観」だと批判する保守勢力の声を受け、展示改編の議論が続き、2015年のリニューアル以降、同センターでは日本が犯した加害の歴史がすべて消えてしまった。

 加害の歴史を消すことは日本だけの問題ではない。ソウル市龍山(ヨンサン)の戦争記念館におけるベトナム戦争の展示は、2018年の「海外派兵室」の改装以降、ベトナム戦争への韓国軍派兵を露骨に美化する方向に再構成された。展示では、ベトナム戦争への派兵は「世界平和」を重視したものだと強調している。チェ・ミョンシン将軍の訓令である「韓国軍は百人のベトコンを逃がすことがあっても、一人の良民を保護する」を重点的に展示し、民間人虐殺を全面否定する展示を続けた。2000年以降、韓国社会ではベトナム戦争での民間人虐殺問題に対する認識が着実に広がってきたが、そうした社会の流れに反する、いや、露骨に対抗する展示だった。韓国の過去の歴史清算運動において、国軍による数多くの民間人虐殺を糾明してきた歴史民主化の流れのなかで、唯一ベトナム戦争の歴史だけは、このように公共機関の展示においてすら徹底して隠蔽され、美化されているのだ。最近、韓国の司法府がベトナム戦争での民間人虐殺の事実と責任を認めたが、戦争記念館に変化の兆しはない。

 このような問題意識のもとで、「戦争記念館を変える市民活動家の会タンタニ」が、戦争記念館のベトナム戦争展示に対して問題提起し、付箋に「嘘」と書き、それを貼り付ける非暴力の直接行動を行った。参加者らは展示物を傷つけない方法で抗議の意思を表明したが、戦争記念館は参加者らを公用物件損壊罪で告訴し、結果として罰金刑が下された。参加者らはこれを受け入れず、最近、正式裁判を請求した。

 この事件を注視していた作家のパク・チョンウォンさんは最近、展示会「反転の試み」で「偽りの記念」(Sự tưởng niệm giả dối)という作品を公開した。タンタニの「嘘」の付箋貼り付け行動へのオマージュとして制作された作品の創作ノートには、「なぜ加害を加害と記述できないのか、あるいは、何が加害を加害と呼べなくさせているのか」と記され、戦争記念館は「あらゆることを忘却する巨大な機械」だと表現されている。加害の事実を認められない韓国社会の分裂症と忘却を、人間性の喪失とみなしたのだ。

 戦争は一つの国と社会の総体性を構成する歴史だ。戦争の記憶の問題は共同体のアイデンティティに直結する。グローバルな戦争の時代と軍事主義が強まるなかでは、戦争の過ちを隠して美化する流れは続く可能性がある。加害者の立場にある共同体が、その不快さを乗り越える道は、省察を通じて事実を認め、加害を可能にする構造を変えることにある。そして、一つの社会の構造を変えるためには、議論の場が開かれなければならない。

 無理のある法的対応を強行し、自らこの議論の場に飛び込んだ戦争記念館の広場には、「平和を望むなら、戦争を記憶せよ」という文言が記されている。戦争をめぐる偏向した記憶は、単なる歴史問題ではなく、こんにちの平和に反する行為だ。したがって、いまこそ、長崎と龍山で国家に対して繰り広げられている市民の記憶闘争に注目しなければならない。

クォン・ヒョヌ|平和活動家・韓ベ平和財団事務局長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/1272292.html韓国語原文入力:2026-08-11 07:37
訳M.S

関連記事