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【ルポ】共和党支持者も「公約集ください」…米国を揺るがした韓国系民主社会主義者

登録:2026-08-11 07:24 修正:2026-08-11 08:00
9日(現地時間)午前10時、米国ウィスコンシン州ケノーシャのある家の庭に、民主党ウィスコンシン州知事予備選候補のフランチェスカ・ホン氏(38)が、戸別訪問で投票を呼びかける活動のため集まったボランティアの前で演説している=キム・ウォンチョル特派員//ハンギョレ新聞社

 「今こそ『運動の瞬間(とき)』だ。この運動は、ごく普通の労働者階級の力によって成し遂げられている」

 9日(現地時間)午後1時、米国ウィスコンシン州ウォキショーの民家の庭に、民主党の州知事予備選候補のフランチェスカ・ホン(38・韓国名ホン・ユンジョン)氏が現れた。戸別訪問しながら投票を呼びかける「キャンバシング」に参加するため集まったボランティア約20人が、ホン候補を取り囲んだ。ホン候補は「投票呼びかけ」ツアーの5日目を迎え、州全域の24都市を巡回していた。ホン候補は自身を「誇り高きシングルマザーであり、シェフ、サービス業の労働者」だと紹介し、「共に歩めば、私たちはより良い未来を創ることができる。あと2日だ」と強調した。

 演説を終えたホン候補は、ボランティア一人ひとりと目を合わせながら会話を交わし、ハグして記念撮影を行った。丸1時間滞在した彼女は、次の遊説地へと向かう際、「地域社会のために立ち上がってくれてありがとう。私はこれからも皆さんのために現れ続ける」と叫んだ。ホン候補陣営の関係者はハンギョレに対し、「大規模な集会は先週で終了し、選挙を控えた最後の週は、このように小規模なキャンバシングの拠点を訪れ、ボランティアを激励することに注力している」と語った。

 今月11日に開かれる民主党のウィスコンシン州知事予備選を控え、全米が熱気に包まれている。トランプ大統領が2度勝利したこの地で、自らを民主社会主義者と称する進歩(革新)派候補が主流派の政治家たちを破り、民主党候補になる可能性がこれまで以上に高まったためだ。ホン候補が予備選を勝ち抜き、11月の本選でも勝利すれば、進歩派候補が中西部の激戦州でも通用するという先例が作られ、2028年の大統領選を控え、民主党内の進歩派の流れに大きな影響を与える可能性がある。

9日(現地時間)午前10時、米ウィスコンシン州ケノーシャのある民家の庭に、民主党ウィスコンシン州知事予備選候補のフランチェスカ・ホン氏(38)が姿を現した。ボランティアと挨拶を交わすホン候補=キム・ウォンチョル特派員//ハンギョレ新聞社

■共和・民主党の支持者を問わず浸透する「データセンター」問題

 ホン候補の起こした旋風が、民主党の地盤を超え、中西部の激戦州の保守の牙城にまで広がり得た背景には、「生活費の負担」とともに「データセンター」問題がある。投票を控え、現場で出会ったホン氏の支持者たちは口を揃えて「データセンターが今回の選挙の真の勝敗の分かれ目だ」と語った。

 この日、ウォキショーで会ったホン候補のボランティア、ショーン・バニエさん(39)はハンギョレに対し、「2024年から毎年選挙運動に参加してきたが、データセンターほど政党の境界を越える争点を見たことがない」と話した。

 バニエさんは「地域や地方自治体が管理できるようにすべきであり、水資源が損なわれたり、電気料金が上昇したりすることを防がなければならない」とし、「企業が秘密保持契約を盾に土地買収を進め、地域社会がデータセンターの建設計画さえもきちんと把握できない場合もある」と語った。

 バニエさんは、自身を「強硬派の共和党員」と明かした住民に、データセンターが電気・水道料金に及ぼす影響を説明したところ、その人がホン候補の選挙宣伝物を受け取ったこともあるとし、「ウィスコンシン州北部で農地や狩猟用地を所有する共和党支持者たちが、データセンターの建設により土地の価値が下落し、大きな被害を受けている」と説明した。

 ケノーシャで会った品質管理(QC)化学者のアーロン・ガルザさん(29)も、「データセンターは今回の選挙で人々を動かす問題だ」とし、「完全に超党派的な争点だ」と語った。ガルザさんは「(データセンターは)共和党員も嫌がり、民主党員も嫌がっている」とし、「住民たちは、(データセンターを運営する)企業が自分たちの水や電気をより多く使いながら、その費用まで自分たちに押し付けてくると考えている」と述べた。

 実際、ウィスコンシン州のデータセンター問題は他の州よりも深刻だ。ウィスコンシン州公共サービス委員会(PSC)は、データセンターに起因する電力需要の増加により、州全体の電力需要が2032年までに40%以上増加すると予測しており、この増加分の72%以上がわずか3カ所のデータセンタープロジェクトに起因すると明らかにした。今年すでに大手電力会社3社の料金値上げが承認され、世帯あたりの月額請求額が最大13ドル上昇した。ホン候補は、民主党の知事予備選候補の中で唯一、「新規AIデータセンター建設の1年間のモラトリアム(猶予)」を主要公約として掲げている。

■富裕層への増税、中産階級への減税

 高騰する生活費の負担も、ホン候補が攻勢をかけるもう一つのポイントだ。ホン候補は、100万ドル以上の超高所得層に追加課税を行い、その税収を公立学校の財政や、中産階級・労働階級の固定資産税負担の軽減に活用するという構想を打ち出している。

 オコノモウォックに住むジェイ・フェラスさん(63)は、「学校に対する州政府の支援が不十分であるため、地域社会が固定資産税を引き上げ続けて学校の財政を賄っている」とし、「ホン候補は、百万長者からより多くの税金を徴収し、中産階級や労働者階級の固定資産税を引き下げようとしている。オコノモウォックのような比較的保守的な小さな町でも、住宅を所有する労働者階級の人々の間では、この政策は人気が高い」と話した。

 看護師であり教師でもあるベッキー・ギリガンさん(46)は、3人の子どもたちの現状について語った。13歳と18歳、そしてまもなく21歳になる子どもたちがいるが、「何をするにも高すぎて、なかなか独立できない」とし、「子どもたちは『親は独立したのに、自分は一体どうやって独り立ちできるのだろう』と不安を抱えている」と話した。

 その他の生活に密着した公約も支持者を惹きつけていた。ケノーシャ在住のリアム・マルグレンさん(28)は、ホン候補を支持する最大の理由として「生活費の負担軽減」を挙げ、「最低賃金を時給20ドルに引き上げる政策や公共交通政策を支持する」と述べ、普遍的な医療保障政策にも期待を示した。

米ウィスコンシン州のウォキショー、ケノーシャで会ったフランチェスカ・ホン候補の支持者たち=キム・ウォンチョル特派員//ハンギョレ新聞社

■本選で「勝てるのか」という質問

 ホン候補が州知事選への出馬を宣言したのは昨年9月のことだった。当時、州下院議員を3期務めていたホン候補は、民主党予備選の候補者の中で最も若く、州全域でその名が広く知られている政治家でもなかった。

 経歴も、典型的な政治エリートとは程遠い。16歳の時にレストランで働き始めた彼女は、ウィスコンシン大学マディソン校でジャーナリズムを学んでいたが、大学を中退して再び皿洗いから始めた。その後、高級レストランのシェフにまで上り詰め、2016年から8年間、ラーメン店を経営した。新型コロナウイルスが猛威を振るった2020年、サービス業の労働者たちが仕事と生計を失っていく様子を目の当たりにしたことをきっかけに政界に飛び込み、アジア系米国人として初めてウィスコンシン州下院議員に当選した。シングルマザーとして息子を育てる彼女は、議員になってからもバーテンダーの仕事を続けてきた。

 世論調査によると、ホン候補が民主党の候補になる可能性は現在最も高い。7日に公開されたステート・ナビゲートの最終調査では、ホン候補が2位のデビッド・クロウリー候補を22ポイントリードした。

 しかし、安心するにはまだ早い。4日、隣接する激戦州ミシガン州で、進歩派のアブドゥル・エルサイエド候補が、党主流派の支持を受けたヘイリー・スティーブンス候補を破り、民主党の連邦上院議員候補となった際、その得票差は1ポイントにも満たなかった。選挙前のいくつかの調査で、エルサイエド候補が2桁の差で勝利すると予想されていたのとは大きく異なる結果だった。

 予備選を勝ち抜いたとしても、より大きな試練は11月の本選だ。民主党主流派は公然と懸念を示している。民主党所属のトニー・エバーズ現ウィスコンシン州知事は、中道派のクロウリー候補に対する支持を表明し、ホン候補が共和党のトム・ティファニー候補を本選で勝てると思うかという質問に対し、「おそらく無理だろう」と答えた。

 しかし、現場で出会った支持者たちの見方は異なっていた。サラ・ロドリゲス前副知事の陣営で働き、ホン候補支持に転じた獣医助手のミッチェル・ストープさん(22)は、2024年にウィスコンシン州北部の保守的な地域で、民主社会主義を掲げるクリスチャン・フェルプス候補が共和党候補を破り、州下院議員に当選した事例を挙げた。ストープさんは「そのような地域では絶対に勝てないと言われてきた。ところが、民主社会主義者が実際に勝利した。なぜホン候補には当選の可能性がないと言われるのか分からない」と語った。

 フェラスさんは「ホン候補が勝てないと言う人々は、有権者をまるで動かない銅像のような固定された集団として捉えているが、現実はそうではない」とし、「州全域で7000人を超えるボランティアが13万5000回以上も戸別訪問を行い、一度も投票したことのない人々を投票所へと呼び込んでいる。選挙は結局のところ投票率の争いであり、この驚異的な組織力が本選での勝利をもたらすだろう」と話した。

 ホン候補も本選での競争力に対する懸念を一蹴した。ホン候補はこの日、ハンギョレやCNNなどの取材に応じ、「最も多くの票を獲得した人が、最も当選の可能性が高い人だ」と述べた。

 実際、ウィスコンシン州は2016年の民主党大統領予備選で、バーニー・サンダース上院議員がヒラリー・クリントンを破って勝利を収めた地域だ。ホン候補の支持者たちは、こうした歴史を根拠に、ホン候補が当時サンダース氏を支持していた有権者連合を再構築していると語る。ガルザさんは「彼ら(トランプ支持層)の多くがバーニーからトランプへと流れた人たちだった」とし、「民主党の既得権層がバーニーを打ち倒したためだ」と話した。

 ウィスコンシン州の民主党予備選の投票は11日午後8時(韓国時間12日午前10時)に終了する。遅くとも12日中には民主党候補が決まる見通しだ。

9日(現地時間)午後1時、米国ウィスコンシン州ウォキショーで、民主党ウィスコンシン州知事予備選候補のフランチェスカ・ホン氏(38)が、支持者から贈られたブレスレットを見せている=キム・ウォンチョル特派員//ハンギョレ新聞社
ウォーキシャ・ケノーシャ(米国ウィスコンシン州)/キム・ウォンチョル特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1272128.html韓国語原文入力:2026-08-10 20:14
訳H.J

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