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サムスン電子の成果給めぐる対立が投げかけるもの【コラム】

登録:2026-05-12 23:56 修正:2026-05-14 09:28
サムスン電子労組共同闘争本部が先月23日午後、京畿道平沢市古徳洞のサムスン電子平沢キャンパス前で、成果給上限制の廃止などを求めて集会をおこなっている/聯合ニュース

 サムスン電子の今年第1四半期の営業利益は57兆2328億ウォン(約6兆円)を記録した。前年同期と比べて実に756%増で、同社史上最大だ。誰も予想していなかった数字だ。人工知能(AI)の拡大で半導体需要は爆発的に増加している一方、メモリ供給量が著しく不足しているため、価格が高騰した。サムスン電子が突如として歴史を画する技術を開発したからというわけではなく、需要と供給の不一致から生じた「思いがけない幸運」だということだ。AIをめぐって世界的に競争が激化しているため、メモリ半導体の需要は今後もいっそう高まらざるを得ない。サムスン電子とSKハイニックスの「史上最高の利益」は当面続くとみられる。

 この流れに連動してサムスン電子労組が営業利益の15%を成果給として要求していることで、半導体産業の「成果の分配」が社会的な争点になっている。いち企業の成果給問題が韓国社会を騒がせているのは、1人当たり6億ウォン(約6300万円)にのぼる額の高さだけのせいではない。社会に全方位的に支援されてきた産業で想像を超える利益が出た時、それをどう分けるべきかが問われているのだ。その分け前が行きわたるのが最上位層のみだと、労働市場の格差はさらに拡大することになる。

 国家戦略産業である半導体のメーカーの目覚ましい成長は、大規模な税制優遇や金融・インフラ支援などの政府の後押しがあったからこそ成し得た。緻密な半導体供給網で役割を果たしてきた協力会社や下請け企業、非正規労働者も、欠かせない隠れた功労者だ。現在の成果がサムスン電子とSKハイニックスの労使の努力だけでは達成され得なかったものであることは、誰もが知る事実だ。

 にもかかわらず、半導体メーカーの労使は社会的分配を求める声に耳をふさいでいる。サムスン電子労組は21日のストライキを前に、11日から12日にかけて中央労働委員会の事後調停を受け入れた。労使が約1カ月ぶりに交渉を再開したのは幸いだが、一方で懸念も強い。

 サムスン電子の労使は、成果給の財源規模、上限などについて見解の相違が大きい。労働組合側は、年間営業利益の15%を上限なしに支給することを制度化するよう求めている。いっぽう会社側は、業界1位を達成した場合はメモリ事業部に限り競合のSKハイニックスよりも高い水準の成果給を支給するとして、制度化に反対している。

 労使が議論している争点には、半導体の歴史的な利益をどのように社会に還元するかという苦悩がまったくない。社会への分配や連帯はおろか、半導体とスマートフォンや家電などのサムスン電子内部の職種間の利益配分すら調整できていない。

 協力会社や非正規労働者との連帯は通常、労組が先んじて提起することが多いが、サムスン超企業労組にその考えはない。今回の成果給闘争により、わずか6カ月で組合員が6千人から7万人以上へと増加するなど規模は拡大したが、労組の社会的役割に対しては距離を置いている。

 労組の執行部は「社会的連帯」を考える余力もないうえ、なぜ自分たちが要求されるのか納得できないという雰囲気だ。サムスン電子支部の関係者はハンギョレに「内部の利害関係も統一されていない。社会的連帯などの外的な部分を抱えていくのは難しい」と述べた。同支部のチェ・スンホ委員長も先日の「毎日労働ニュース」のインタビューで、「協力会社や下請けなどに対する役割と期待は支部ではなく、サムスン電子に求めるのが先ではないか」と述べた。名ばかりの超企業だと皮肉られる理由はここにある。

 サムスン電子の成果給問題は、AIの普及やロボットの発展などの技術の激変期において、半導体以外の産業でもいくらでも繰り返されうる。成果をどのように分かち合うかの社会的基準がないと、労使の善意に頼らざるを得ない。企業の枠を飛び超えた対話の枠組みが欠如している中、サムスン電子の労使のように「知らんぷり」されると、けん制も不可能だ。

 サムスン電子の成果給対立で投げかけられたボールは、政府と国会が受け止めるべきだ。すでに15年前から韓国社会では、大企業や産業が予期せぬ大きな利益を得た際には社会と共有すべきだという声があがっていた。制度としては定着していないが、超過利益共有制、協力利益共有制、共生金融寄与金などが代表的な例だ。

 半導体産業の成果分配問題は、すでに個別企業の労使の手を離れている。政府と国会は、社会的な公論化を通じて制度化に取り組むべきだ。サムスン電子の労使の適当な妥協でこの議論を終わらせてはならない。

//ハンギョレ新聞社

キム・ソヨン|社会政策部長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1258186.html韓国語原文入力:2026-05-12 05:00
訳D.K

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