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トランプ大統領の存在を消してこそ、戦争の「本質」が見えてくる【コラム】

登録:2026-04-29 08:03 修正:2026-04-29 09:20
米国のドナルド・トランプ大統領が昨年12月29日、フロリダ州パームビーチのマール・ア・ラーゴ・クラブで行われた共同記者会見の途中、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と握手をしている/ロイター・聯合ニュース

 本の宣伝のようでためらってしまう話だが、今月初めに『米日同盟という鏡』(ハンギョレ出版、日本語版は『日米同盟の地政学:「5つの死角」を問い直す』千々和泰明著、2024)と題する翻訳書を出した。この本を翻訳したのは、単純ながらも切迫した理由からだった。第2次ドナルド・トランプ政権の発足をきっかけに「歴史的な分岐点」の前に立たされることになった韓米同盟を正しく理解するためには、それを映し出す「興味深い鏡」である米日同盟をもっと正確に理解する必要があると考えたからだ。

 著者である日本大学の千々和泰明教授は、『戦争はいかに終結したか:二度の大戦からベトナム、イラクまで』(2021)という別の著書で独自の戦争終結論を提示し、日本国内で大きな注目を集めた少壮研究者だ。本書の第4章でも、朝鮮半島と台湾でそれぞれ戦争が勃発した場合、どのような過程を経て終戦にいたることになるのかについて、独自の分析の枠組みを活用して興味深い思考実験を展開している。

 ならば、はたして戦争はどのようにして終わるのか。ある国が武力を用いて自国の意思を他国に強制しようとする「戦争」が始まる原因はそれぞれ異なるだろうが、終わらせる過程では「二者択一」の孤独な決断しかない。一つ目の道は、甚大な被害を甘受し、そもそも戦争を始めることになった「紛争の原因の根本的な解決」を達成することだ。代表的な例としては、ローマが宿敵であるカルタゴを根絶やしにした「ポエニ戦争」や、米国などの連合国がドイツと日本から無条件降伏を引き出した「第2次世界大戦」が挙げられる。この過程で発生する被害に耐えられない場合は、二つ目の選択肢として、紛争が再発する可能性のある禍根を残したまま「妥協的な平和」を選ぶしかない。これに該当する例としては、朝鮮半島の分断という将来の禍根を残したまま休戦を受け入れた「朝鮮戦争」がある。

 この分析の枠組みを、米国・イスラエルとイランの戦争に適用してみよう。当初、トランプ大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が望んでいたのは、「紛争の原因の根本的な解決」だった。両国は「壮絶な怒り」作戦によってイランの首脳部を除去して、内戦を誘発し、「共存が困難な」宿敵であるイラン・イスラム共和国の神政体制を打倒しようとした。これにより、イランをシリアのような事実上の「失敗国家」にして、米国よりも(!)イスラエルにとって切実であり実存的な脅威である「イランの核」を永久に消失させようとしたのだ。しかし、イランは国家の首脳部が抹殺される危機のなかでも驚くべき回復弾力性を誇示し、反撃に出ることになる。ホルムズ海峡を掌握した状態で決死の抗戦を叫ぶイランを相手に、「地上軍投入」という冒険をおかしてまで「紛争の原因の根本的な解決」に固執することはできなかった。11月に中間選挙を控えたトランプ大統領はやむを得ず「妥協的な平和」へと向かうことになる。

 ニューヨーク・タイムズが7日付の報道で赤裸々に示したように、トランプ大統領をおびき出し、戦争へと向かわせたネタニヤフ首相のもくろみは、それとは異ならざるを得なかった。米国という巨人の背に乗り、事実上ただで戦争をする状況下で、「紛争の原因の根本的な解決」という目標を放棄する理由がないからだ。ネタニヤフ首相は21日、戦没将兵追悼日の演説で「(イランの)アヤトラ・レジームが新たなホロコーストを計画し、核爆弾と数千発の弾道ミサイルで我々を破壊しようとした」と主張した。結局のところ、米国とイラン間の終戦交渉を妨害するためにレバノンに対する攻撃を緩めないと同時に、トランプ大統領が「安易な妥協」をしないよう、ありとあらゆる妨害工作を仕掛けているのは明らかだ。核心的な争点である「ウラン濃縮」をめぐり、受け入れ不可能な要求(おそらく、ウラン濃縮の「永久中止」と解釈される内容)を主張するトランプ大統領を見て、イランは背後にいるネタニヤフ首相の体臭に絶望しているかもしれない。武力で達成できない「紛争の原因の根本的な解決」を外交によって達成しようとする米国の試みは、到底成功し得ない。

 結局のところ、この戦争の本質を理解するためには、一見「世界の暴君」のようにみえるトランプ大統領という独特の存在をいったんは消し去るしかない。この戦争は、「紛争の原因の根本的な解決」のためにイスラエルがイランを相手に行っている「死ぬか生きるか」の戦争であり、ネタニヤフ首相にはこの目標を放棄する理由はまったくない。正常な米国大統領であれば、イスラエルの欲望を抑え「妥協的な平和」の道に進むべきだが、トランプ大統領がそのような決断を下せるかどうかは分からない。戦争はまた急激にエスカレートすることはないだろうが、簡単に終わることもないだろう。この戦いは、本質的にはネタニヤフ首相が起こしたイスラエルの戦争であり、トランプ大統領は明確な戦略的目標もなしに漂う巨大な操り人形にすぎない。

//ハンギョレ新聞社

キル・ユンヒョン|論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1256271.html韓国語原文入力:2026-04-28 19:22
訳M.S

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