李在明(イ・ジェミョン)大統領と米国のドナルド・トランプ大統領による初の対面での首脳会談は、友好的な雰囲気のもとで無難に終わった。何より、朝鮮半島の確固たる平和の構築のために、李在明政権が心血を注いでいる南北間の「信頼回復」措置について米国の支持を確認し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との対話を望むトランプ大統領の明確な意思を再確認したという点で、大きな意味があると言える。ただし、韓米間の「関税合意」の継続交渉や韓米同盟の現代化の議論といった課題は、依然として残されている。近く始まる継続協議でも、国益を守るために最善を尽くさなければならない。
■韓米同盟、朝鮮半島の平和の成果を確かなものに
李大統領は25日(現地時間)の首脳会談で、トランプ大統領に対して、「世界で唯一の分断国家として残る朝鮮半島に平和を創出し、北朝鮮の金正恩国務委員長にも会う」などの「世界史的なピースメーカーとしての役割を必ず果たしてほしい」と述べるなど、トランプ大統領を精一杯持ち上げ、会談の序盤に「朝鮮半島問題」を展開した。この言葉にトランプ大統領も、「金正恩委員長と良好な関係にある」と応え、会談の場の雰囲気が一気にやわらいだ。さらに、「韓国のさまざまな指導者に会ってきたが、北朝鮮政策はあまり適切なものではなかった。李大統領の北朝鮮政策にもっと進展があってほしい」と述べた。尹錫悦(ユン・ソクヨル)前政権の敵対的な対決政策よりも、李大統領の包容的な関与政策に強い支持の意向を表明したのだ。これに対し、李大統領が再び「(トランプ)大統領がピースメーカーを務めるのであれば、私はペースメーカーとして一生懸命に支援する」と答えた場面が、この日の会談のハイライトだった。トランプ大統領は、その後も金正恩委員長との再会を望む意向を繰り返し表明した。北朝鮮政策に対する共感を介し、両首脳が新たに親しみと絆を形成したという点が、今回の会談の最大の成果だったと言える。
今回の会談の中心議題だった、韓米経済通商の安定化(関税協議の決着)と同盟現代化などについて、現在の不確実性を解消する明確な合意が得られなかったという点は、残念な部分ではある。特に懸念されるのは、韓国経済にとって致命的な影響を及ぼす関税交渉だ。トランプ大統領は会談直後、「韓国と貿易合意に到達したのか」という質問に、「彼ら(韓国)はいくつかの問題を提起したが、われわれはわれわれの立場を守った」と答えた。トランプ大統領は、韓国が投資を約束した「3500億ドル」について、自分たちが「所有して管理するもの」だと説明してきた。最後まで自分の「強硬な主張」を守ったわけだ。キム・ヨンボム政策室長は「拘束力のない協定書(MOU)で金融パッケージの構築と運営を規定することで合意した」とだけ明らかにした。韓国の立場としては、対米投資の部分で「戦略的あいまいさ」を維持するほうがより望ましいという見方もあるが、これを米国も知らないはずはないだろう。協定書を作る過程で身を削るような痛みが続く可能性が高い。
もう一つの課題である韓米同盟の現代化については、李大統領が「国防費を増額する」との意向を先に強調し、これに対してトランプ大統領は「われわれは友人だ」と述べ、在韓米軍の縮小・再配置などに否定的な見解を示した。しかし、在韓米軍を対中けん制に使うための「戦略的柔軟性」などがどうまとめられたのかについては、明確には確認されていない。
結局、今回の会談は総論では満足のいくものだったが、各論では多くの問題を先送りしたわけだ。大きな山場を越えたが、「トランプ・リスク」は解消されなかった。トランプ時代の韓国は、外交安全保障・通商において、一瞬たりとも緊張を緩めることはできない。