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トランプ大統領、補助金の見返りとしてサムスンに6千億円強の株式要求

登録:2025-08-22 08:13 修正:2025-08-22 08:53
ドナルド・トランプ米大統領が13日(現地時間)、ワシントンD.C.にあるケネディセンターで演説している/AP・聯合ニュース

 米国のドナルド・トランプ政権は、米国内に工場を建てる半導体企業に補助金を支給する見返りとして株式を求める方針を発表した。半導体覇権の強固化を目指すトランプ大統領が、前任のジョー・バイデン政権時代の契約を覆し、企業の株式を手に入れようとしている。

 サムスン電子やSKハイニックスなど米国現地投資を行っている韓国企業は、明らかに当惑している。このままでは、イ・ジェヨン会長の保有分に匹敵するサムスン電子の株式を米政府に差し出さなければならないためだ。一部では、以前から半導体補助金を廃止すると脅してきたトランプ政権が、補助金支給をなかったことにする「名目」を作ろうとしているのではないかという疑念の声もあがっている。

 ハワード・ラトニック米商務長官は19日(現地時間)、CNBCとのインタビューで、「(バイデン政権時代に施行した)CHIPS法(半導体法)は、裕福な大企業に現金をばらまくもの」だとし、「トランプ大統領はバイデン政権が支給しようとした資金を株式への投資方式に変えるもので、納税者にとってもはるかに賢明な方式だ」と述べた。これは、トランプ政権がインテルに補助金109億ドルを支援する見返りとして株式約10%を買収する案を検討中という報道が事実だと確認したものだ。補助金支給額と同額の株式を政府が確保し、そこから出る配当などの収益を米国民のために使うという論理だ。ただし、議決権は行使しないという。

 ロイター通信も同日、「ラトニック長官は、CHIPS法に基づき補助金を受けて米国に工場を建てる半導体企業から、米政府が株式を引き取る案を検討している」と報道した。その候補として米国のマイクロン、台湾のTSMC、韓国のサムスン電子をあげた。インテルだけでなく、サムスン電子も補助金を支給される代わりに、株式を手放すことになるかもしれないという意味だ。

 サムスン電子はテキサス州テイラーに51兆ウォン(約5兆3900億円)を投資してファウンドリ(半導体受託生産)工場を建設する計画で、米政府から補助金47億4500万ドル(約7千億円)が約束されている。SKハイニックスもインディアナ州に5兆ウォン(約5200億円)をかけて半導体パッケージング工場を建設する見返りに補助金4億5800万ドル(約670億円)を受け取る予定だ。この補助金の金額は、バイデン政権時代の昨年12月、米商務省が確定して発表した。サムスン電子の場合、米国法人が補助金契約を履行できない場合、米政府に返還すべき最大64億ドル(約6億7700万円)に対する補償債務証まで負うことになる。

 トランプ政権の方針に国内企業は当惑している。ある半導体業界関係者は「既存の契約を無視して株式を得るという米国政府の話を理解できない」とし、「現在としてはトランプ政権の政策方向を予測するのは大きな意味がないため、動向を注視している」と語った。もしトランプ政権が実際の補助金支給額に比例して新株発行を求めた場合、サムスン電子の持分1.56%(20日終値基準)ほどを持っていくことになる。これは現在、イ・ジェヨン会長(1.65%)の保有分に迫るものだ。そうなれば、サムスン電子の一般株主らも株式保有率の希釈などの被害を受けざるを得ない。

 産業研究院のキム・ヤンパン専門研究員は「特定国家の政府が外国企業に株式を要求すること自体がとんでもないものであり、韓国企業がこれをそのまま受け入れてはならない」とし、「トランプ大統領は大統領選挙の時から半導体補助金を縮小・廃止すると公言してきただけに、わざと企業が受け入れられない条件を掲げて補助金を支給しない口実を作っているのではないか疑わしい」と語った。

 対外経済政策研究院のキム・ヒョクチュン副研究委員は、「(ラトニック長官の話のように)米政府と企業が取引をする構造になれば、もはや半導体法上の財政支援とは言えない」とし、「もし米政府が契約を一方的に覆し、様々な条件をつけて決まった予算を使うことができない場合、議会が承認した予算執行を大統領が拒否するものと解釈できる」と指摘した。

パク・チョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1214318.html韓国語原文入力:2025-08-2114:04
訳H.J

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