「第2次トランプ政権」発足からの100日は、対外的には「米国第一主義」だったが、国内的には「大統領第一主義」だった。「選挙で選ばれた大統領は、いかなる制約も受けてはならない」という一種の「選出職独裁者論」で武装したトランプ大統領は、就任初日から超法規的な行政命令を出し続け、大学・市民団体・メディア・法律事務所などの政治的反対者に対する露骨な弾圧を指示した。議会の権限を常に侵害し、司法府の命令も無視している。米国に「憲法の危機に直面した」という危機感が広がっている理由だ。
米国ブラウン大学で憲法学と政治理論を教えるコーリー・ブレットシュナイダー教授(政治学)は、現在の米国の状態を「行政府が立法・司法府の権限を奪取する教科書的な『親衛クーデター(セルフ・クーデター)』の状況」にあると診断した。昨年に著書『大統領と人民:民主主義を脅かす5人の指導者とこれを守ろうと戦った市民たち』(原題:The Presidents and the People: Five Leaders Who Threatened Democracy and the Citizens Who Fought to Defend It、未邦訳)を通じて、第2次トランプ政権の危険性を正確に予測して注目されているブレットシュナイダー教授に23日(現地時間)、電話でインタビューした。
■「憲政の危機を招いた歴代大統領の特徴をすべて持つトランプ大統領」
ブレットシュナイダー教授は、「憲法的危機」を象徴する事件として「ガルシア氏追放事件」を挙げた。米国に合法的に滞在し、米国市民権者である妻とともに3人の子どもを育てていたエルサルバドル人のガルシア氏は、トランプ政権によって「ギャング団の構成員」に分類された後、わずか3日でエルサルバドルの刑務所に追放された。その後、政権は追放が「行政的ミス」によるものだったことを認めたが「連れ戻せ」という連邦最高裁の決定を無視している。
司法府無視とともに、外国人学生の追放や大学への攻撃も、民主主義の根本原則である「表現の自由」を侵害し、憲法の危機の状況を招いていると教授は指摘した。「行政府が『非市民権者は表現の自由を持つことはできない』としてコロンビア大学の外国人学生らを追放するのは、民主社会において最も重要な『言論の自由』を揺るがす行為」だとして、「大統領を批判する人たちの居場所の役割を果たす大学に対する攻撃も、同じ理由で危険だ」と指摘した。
現在の米国を「親衛クーデターが試みられている状況」だと定義した教授は、「行政府が裁判所の命令を無視したり、省庁の新設や予算配分といった議会の権限を侵害したりしていることを踏まえると、このように診断するには十分だ」と述べた。
同教授は、トランプ大統領は非常に独特な大統領だと説明した。「ジョン・アダムズ大統領の反対意見に対する敵対感、ウッドロウ・ウィルソン大統領の民族主義と人種差別、リチャード・ニクソン大統領の偏狭性など、憲政を脅かした歴代大統領の悪い要素をすべて持っている」と指摘した。憲政を脅かした過去の大統領は権力を失った後に消えたが、トランプ氏だけが戻ってきたことも違う点だ。米国国民は投票で彼を追い出したが、議会は弾劾に、裁判所は司法的断罪に失敗し、トランプ氏の復帰を可能にしたと教授は指摘した。
■「『装填された銃』である大統領の暴走、システムではなく市民だけが阻止できる」
トランプ大統領の「大統領観」は、彼の統治の術を読む核心のカギだ。トランプ大統領は「選挙で選ばれたのだから何でもできる」と言う。憲法ではなく選挙が大統領に特別な権威を与えるという見方だ。教授は「ニクソン大統領も似ていたが、トランプ大統領はさらに極端」だと評価した。
大統領を「装填された銃」と描写した教授は「大統領が善意で行動しない場合、システムはこれを防ぐことができないという建国初期の歴史家の予言は正確だった。しかし、彼らが予測できなかったことは、市民が非暴力的な方法で抵抗し、憲法の回復方法を探し求めるということだ」と述べた。さらに、「システムのけん制より効果的なのは、市民が憲法を守るために自ら声を上げることだ。そのときこそ、真の危機回復となるだろう」と述べた。