米国に輸出する韓国製の自動車部品を含む鉄鋼やアルミニウムなどに一斉に関税25%を課すドナルド・トランプ大統領の「関税爆弾」が、12日(現地時間)施行された。第2次トランプ政権が発足から約2カ月で、韓国をはじめ、世界を相手に本格的な貿易戦争を始めたわけだ。2008年、米国産牛肉の牛海綿状脳症(BSE)をめぐる対立によって作られた輸入基準の緩和を求めるなど、食べ物まで通商圧力の対象になりかねないという懸念が高まっている。
これに先立ち先月10日、トランプ大統領の署名により米国が世界各国から輸入する鉄鋼とアルミニウムに例外なく25%の関税を課す措置が、米国東部時間でこの日0時1分(韓国時間12日午後1時1分)に発効された。政権発足以来、中国を除いてはこれまで実際に関税を賦課したことがなかったトランプ政権の品目別一律関税が初めて施行されたのだ。
これに伴い、同時刻以降、米国土安全保障省傘下の税関・国境警備局に通関申告をするすべての鉄鋼・アルミニウムには関税25%が課される。これまで韓国製の鉄鋼はクォーター制の適用を受け、年間263万トンまで無関税の対象だった。アルミニウムにも10%の関税が適用された。
特にトランプ政権は、鉄鋼とアルミニウムで作ったボルトやナット、スプリングなどの派生製造品をはじめ、自動車、家電、航空機の部品にまで一斉に関税25%を課すことにした。当初、米商務省は自動車部品などへの関税の適用は猶予するとしたが、施行直前に強硬な立場に転じた。今回の措置で関税費用の負担が新たに生じた国内の鉄鋼企業と自動車部品業界などは、輸出量の減少、収益性の悪化の懸念などで足元に火がついた。
対米輸出だけでなく、今後、農畜産物などの輸入も米政府が狙う恐れがあるという懸念が高まっている。全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)が前日、韓国の30カ月以上の米国産牛肉輸入禁止などを「不公正貿易慣行」と指摘し、米国政府に改善を要求したためだ。
さらに、米国の貿易政策を率いるハワード・ラトニック商務長官が、韓国に遺伝子組み換え農産物(LMO)のジャガイモの輸入規制の緩和などを求めるかもしれないという懸念の声もあがっている。しかし、通商当局の主要関係者は、「アン・ドックン産業通商資源部長官が先日米国を訪問し、ラトニック長官に会った際、米国産ジャガイモの輸入に関する話はなかった」と述べた。農林畜産食品部関係者は「米国畜産業界は2008年以降ずっと、牛肉の市場開放が必要だと主張してきた」とし、「国民の命と安全を最優先にして慎重に対応する」と語った。