ドナルド・トランプ米大統領が主導する「関税戦争」が本格化した後、主要国通貨に比べた米ドルの価値が一斉に下がっている。関税戦争が米国の景気後退につながるとの見通しが優勢な理由と解釈される。
主要6通貨に比べたドルの価値を示すドル指数は、1月13日には109.96だったが2月以降下落し、今月5日には104.27まで下落した。下落率は5.2%に達する。
関税戦争は米国の物価上昇幅を広げるものと予想されている。これに伴い、第2次トランプ政権発足前、一時は米国国債金利が全般的に上昇しドル高に導いた。しかし、最近は物価上昇の中で景気が後退するという懸念が高まっている。アトランタ連邦準備銀行は先月28日、今年第1四半期の米国の経済成長率見通しを2.3%(年率)からマイナス1.5%へと下方修正した。今後景気が悪くなると見通した投資家が安全資産である長期債に集中し、長期金利が短期金利より低くなり、その差はますます広がっている。
ドルに比べてユーロの強さが際立っている。欧州中央銀行が金利を下げて景気浮揚に乗り出し、ユーロ圏の1月の失業率は市場の見通しより低かった。ロシア・ウクライナ戦争の終焉に対する期待感もユーロを強含みに導いている。ウルズラ・フォンデアライエン欧州連合(EU)執行委員長は5日(現地時間)、「欧州再武装計画」を27カ国の首脳に提案した。防衛費増額を通じた景気浮揚への期待もユーロ高を導いた。
ユーロの価値は1月13日には1.024ドルまで下落したが、5日には1.07ドル台に上がっている。ゴールドマンサックスなどの投資銀行は、ドル高で「1ユーロ=1ドル」になる「パリティ時代」が再現されるとの見通しを示していた。
日本銀行は1月24日、基準金利を6カ月ぶりに再び引き上げ、今年上半期には追加で引き上げる可能性を示唆している。ドルに対して円高に流れが変わった中で、3日にトランプ大統領は「日本円であれ中国人民元であれ、彼らが自国通貨の価値を下げれば米国は非常に不公平な不利益を抱くことになる」と話した。円は6日午前、1ドル149円台で取引されている。
グローバルドル安の中、ウォン高も起きている。6日、ソウル外国為替市場ではドル当たりのウォンの価値が前日より9.5ウォン上がり1445.0ウォンで取引を開始した。1月13日の週間取引終値(1470.8ウォン)に比べて1.8%(25.8ウォン)ウォン高となったが、同期間のドル指数下落幅(5.2%)に対しては大きく下回る。