本文に移動
全体  > 文化

微細粉塵の露出多いほど、腎臓がん・前立腺がんのリスク増大

登録:2025-02-07 05:50 修正:2025-02-08 10:18
微細粉塵(PM10)は世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究所(IARC)が指定するグループ1の発がん物質として知られている=ゲッティイメージズバンク//ハンギョレ新聞社

 微細粉塵(PM10、大気中に浮遊する粒子状物質)への露出が、韓国で腎臓がんと前立腺がんの発症のリスクを高めているとする研究結果が、国際学術誌に発表された。カトリック大学ソウル聖母病院泌尿医学科のパク・ヨンヒョン教授(共同責任著者)、檀国大学保健科学部のノ・ミジョン教授(共同責任著者)、檀国大学自由教養学部のパク・ジファン教授(第1著者)の研究チームは、国民健康保険公団のデータベースを活用し、2008年に健康診断を受けた人のうち、研究基準を満たす23万1997人を分析した。研究チームは、これらの健康データをエアーコリア(AirKorea)のPM10のデータと比較して、2005年から3年間のPM10への露出水準を確認し、2010年から8年間の追跡調査を進めた。

 PM10の濃度は韓国基準を適用し、良い(0-30マイクログラム/立方メートル)▽普通(31-80マイクログラム/立方メートル)▽悪い(81-150マイクログラム/立方メートル)▽非常に悪い(150マイクログラム/立方メートル)に分類した。

■PM10の濃度が高いほど、腎臓がんと前立腺がんの発症リスクが増加

 研究の結果、地域別の泌尿器系がんの発生率とPM10の濃度分布が似た傾向を示した。特に、研究期間中に新たに泌尿器系がんと診断された5万677人を対象に、PM10への露出水準を分析した結果、濃度の中央値(56マイクログラム/立方メートル)以上に露出したグループで、泌尿器系がんの発症リスクが高かった。

 詳細に調べたところ、PM10の濃度が高い環境において、腎臓がんと前立腺がんの発症リスクが特に増加したことが分かった。年齢、性別、喫煙・飲酒の有無、糖尿病、高血圧などの変数を補正した後も、同じ結果が維持された。

■「環境が健康に及ぼす影響、長期的な研究が必要」

 PM10は、世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究所(IARC)が指定するグループ1の発がん物質として知られているが、欧州や中国などで行われた先行研究では、泌尿器系がんとの関連性に関する研究結果は一致していなかった。今回の研究は、韓国の大規模な医療ビッグデータを活用し、様々な変数を補正した後に統計的に有意な相関関係を立証したという点で、大きな意味を持つ。

 ノ・ミジョン教授は「最近、PM10問題がよりいっそう深刻化し、空気汚染の測定も広範囲に行われているため、今後も環境と健康をテーマにした中長期的な研究を続ける計画」だと明らかにした。

 一方、PM10に多く露出しても、持続的な運動はがんの発生リスクを低下させるのに役立つことが明らかになった。パク・ヨンヒョン教授は「今回の研究では、規則的な身体活動を行う対象者は、PM10への露出が腎臓がんと前立腺がんのリスク増加に影響を及ぼさないことが分かった」とし、「PM10が多い日も、室内で地道に運動することが、健康維持に役立つだろう」と助言した。今回の研究結果は、国際がん専門学術誌「米国がん研究ジャーナル」(American Journal of Cancer Research)に掲載された。

ユン・ウンスク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/hanihealth/medical/1180244.html韓国語原文入力:2025-01-31 17:58
訳M.S

関連記事