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KBS「セウォル号10年記念ドキュメンタリー」放送見送りを通知…「総選挙に影響」

登録:2024-02-16 06:42 修正:2024-02-16 13:49
3日後にセウォル号惨事発生から9年を迎える昨年4月13日、全羅南道木浦市達洞の木浦新港鉄製埠頭に2017年に事故海域から引き揚げられた船体が保存されている/聯合ニュース

 「韓国放送」(KBS)が4月の放送を目標に制作中だった「セウォル号惨事10年記念ドキュメンタリー」の放送が事実上見送られたことが確認された。

 15日、「KBS」関係者らの説明によると、「KBS1TV」の「ドキュインサイト」の制作スタッフらはドキュメンタリー「セウォル号惨事10年記念番組-風と共に生き抜く」(仮題)について、「総選挙に影響を与えかねないため、放送時期を延期するように」、「上層部」から指示を受けた。同番組の制作スタッフはこの日、社内PD協会のメンバーに共有した文で、「イ・ジェウォン制作第1本部長にセウォル号ドキュメンタリーを『6月以後、他の災害と共にシリーズにするように』言われた」とし、「制作スタッフが不当さを訴え、答弁を求めたが、15日『4月には放送はできない』という通知を受けた」と主張した。

 イ本部長が掲げた名目上の理由は「総選挙に影響を与えかねない」ということだ。このドキュメンタリーは、セウォル号惨事から10年の4月16日から2日後に放映される予定だった。第22代国会議員選挙(4月10日)の8日後に放送されるドキュメンタリーがどんな影響を与えるのかと制作スタッフが尋ねたところ、イ本部長は「総選挙の前後1、2カ月は影響圏」だと答えたという。制作スタッフは現在、セウォル号ドキュメンタリーが「撮影40%、渉外・セッティングを含めれば80%程度進められた状態」だと明らかにした。

 イ・ジェウォン本部長は先月27日、KBS制作第1本部長に任命された。昨年12月8日、KBS清州放送総局長に任命されてから約1カ月で急きょなされた人事であり、背景をめぐってうわさが飛び交った。イ本部長は過去、自身のフェイスブックアカウントに、5・18光州(クァンジュ)民主化運動への北朝鮮軍介入説にかかわる内容を載せ、議論を呼んだこともあった。制作スタッフは、イ本部長が赴任一週間後にセウォル号惨事10年記念番組の制作が進められていることを知り、今月3日夜に幹部たちを招集して制作スケジュールの変更を指示したと主張した。

 制作スタッフは「4月ではなく他の時期に他の企画とともに構成する番組は(セウォル号惨事10年記念番組ではなく)新たな番組となる」とし、「このようなことを、2カ月余りの間共に時間を過ごしたセウォル号生存者と現場で手伝ってくださった多くの方々に説明しなければならない。彼らはKBSの決定をどう受け止めるだろうか。彼らに『我々の番組が(すでに)終わった選挙に影響を与えかねないので、制作を見送らなければならないようだ』と説明したら、どんな目で見られるだろうか」と書いた。

 全国言論労働組合(言論労組)のKBS本部は、このような事実を確認し、具体的な経緯の把握に着手した。

 KBSは、セウォル号のドキュメンタリーの放送が見送られた件について、「3月の天安(チョナン)艦襲撃事件と4月のセウォル号惨事の時期に合わせて、生存者の心的外傷後ストレス障害(PTSD)関連ドキュメンタリーを準備中だったが、4月の総選挙の日付を中心に敏感な内容が放送されるのは選挙に影響を及ぼしかねないと判断した」とし、「総選挙の公正性を確保するために放送の延期を決めた」と説明した。

パク・カンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/media/1128559.html韓国語原文入力: 2024-02-16 01:16
訳H.J

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