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金正恩「大韓民国は主敵…戦争を避けるつもりはない」

登録:2024-01-11 00:42 修正:2024-01-11 08:51
朝鮮労働党の金正恩総書記兼国務委員長が8日から9日にかけて重要軍需工場を現地指導した際、「大韓民国のやからは我々の主敵」と述べた。労働新聞が10日に報道した/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 朝鮮労働党の金正恩(キム・ジョンウン)総書記兼国務委員長は8日から9日にかけて重要軍需工場を現地指導した際、「大韓民国のやからは我々の主敵」だと述べた。労働新聞が10日に報道した。北朝鮮が韓国を「主敵」と主張したのは、前例はあるが、金総書記が自ら公の場で述べたのは今回が初めて。

 金委員長は、「ほぼ80年という長久な歳月、我々の政権と体制を覆そうと悪質な対決ばかりを追求してきた大韓民国という実体を、今や朝鮮民主主義人民共和国の最も敵対的な国家と規制すべき歴史的時期が到来した」と述べつつ、このように語った。さらに「敵対国との関係において我々が最も重視すべきことは、1にも2にも自衛的国防力と核戦争抑止力の強化」だと強調した。

 金委員長は、「大韓民国が我々に対して武力の使用を企図したり、我々の主権と安全を脅かしたりしようとするなら、そのような機会が来たなら、あらゆる手段と力量を総動員して大韓民国を完全に焦土化してしまうだろう」と述べた。また「我々は決して朝鮮半島で圧倒的な力による大事変を一方的に決行することはないが、戦争を避けるつもりも全くない」と述べた。

 金委員長による「大韓民国主敵」、「大韓民国焦土化」発言は、昨年末の労働党中央委員会第8期第9回全員会議(2023年12月26~30日)で明らかにした「対南部分での根本的な方向転換路線」を再確認したものだ。その際、金委員長は「北南関係は同族関係ではなく敵対的な二国間関係、戦争中の2つの交戦国の関係」だと規定した。そして「核危機事態に迅速に対応するとともに、有事の際、核武力を含むあらゆる物理力を動員して南朝鮮の全領土を平定するための大事変の準備に拍車をかけなければならない」と述べた。これは、金委員長が2021年10月11日の「国防発展展覧会『自衛21』」でおこなった演説での「我々の主敵は戦争そのものであって、南朝鮮や米国、特定のどこかの国や勢力ではありません」との発言とは、明確に異なる認識だ。金委員長はこのところ、韓国との対決構図をより鮮明に打ち出し、緊張を高めている。

 ただし、北朝鮮による「大韓民国は主敵」規定は目新しいものではない。キム・ヨジョン労働党中央委員会副部長が2022年8月10日の「全国非常防疫総和会議」での演説で「南朝鮮の傀儡どもこそ我々の不変の主敵」と主張した先例がある。金委員長も2022年12月の労働党中央委第8期第6回全員会議で「南朝鮮の傀儡どもは明白な敵」と宣言した。

 また、北朝鮮の主張は情勢の変化によって変わることもある。北朝鮮は、開城(ケソン)の南北共同連絡事務所ビルを爆破した直後の2020年6月19日、朝鮮中央通信社の論評で「我々が確固たる主敵観念をもって北南の間のすべての接触空間を完全に遮断してしまわなければならないようにした張本人は、南朝鮮の当局者たちだ」と主張したが、1年10カ月後の2022年4月5日の「キム・ヨジョン談話」では、「我々はすでに南朝鮮が我々の主敵ではないことを明確にしている」と前言を覆した。今後も「主敵」規定が変わる余地がなくはないということだ。

 金委員長は今回の「重要軍需工場の現地指導」で、「我が軍の現代化の目標とその需要に合わせて、より多くの武器戦闘技術機材を生産」せよと注文した。金委員長の現地指導には、妹のキム・ヨジョン労働党中央委副部長が同行した。

 韓国外交部の当局者は金委員長の発言について、「大韓民国は北朝鮮に対して先に武力を使用したことがないにもかかわらず、それを前提として『大韓民国の焦土化』をうんぬんしたもの」だとし、「言葉遊びに過ぎない」と述べた。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1123724.html韓国語原文入力:2024-01-10 09:15
訳D.K

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