さて、ここからが重要だが、果たして財閥は何を受け取れるだろうか。最もコメディだが、最も有力で、財閥にとってはプライドが傷つくものであり、国民にとっては最も悲劇的なシナリオは、実質的な見返りを何も得られないことだ。
政経癒着に対する価値判断とは別に、政経癒着構造だけを見ると、非常に重要な仮定がある。両者が互いに合理的でなければならないこと、言い換えると、ギブアンドテイクをする姿勢ができていることだ。財閥が自分に金となる時間と資源を分けて助けてくれたのだから、それを必ず返さなければならないという気持ちが尹大統領と核心参謀たちにあってこそ、取引が成立するわけだ。
尹大統領は釜山万博誘致失敗後、異例にも素早く国民に謝罪した。ところが、すべてが自分のせいだと言っていた人がお詫びから一週間後、釜山市民をなだめるとして、6日に釜山中区(チュング)の富平カントン市場に財閥のトップたちを呼び集め、「路地裏のガキ大将ごっこ」でもするかのように、トッポッキを食べさせた。尹大統領の思考構造が底まで露呈したのだ。「皆が自分の前でへつらうのは、自分と自分の雄大な外交プランを心から尊敬しているからだ。そして財閥のトップたちは、いつでも呼び出せる子分のような存在にすぎない」
大統領の役割の一つは、国家の資源を効率的に配分することだ。国家財政を適材適所に使わなければならず、民間資源が効率的に配分されるよう支援しなければならない。韓国国民にとって悲劇は、民間の資源を政府と政権与党の政治的目的のために動員する尹大統領のこのような「全斗煥(チョン・ドゥファン)式」の発想が、これだけにとどまらないだろうということだ。
果たして大統領室の運営には公私を分けているだろうか。経営継承過程で自分の政治的存在感をアピールするため、大統領との写真一枚が必要な財閥の3・4世の数人が尹大統領のそばで笑っているのは、大きな問題の枝葉に過ぎないと感じられるのもそのためだ。
もう一つの重要な観戦ポイントは財閥の自主的な損益計算だ。財閥には朴正煕(パク・チョンヒ)政権から始まった政経癒着のノウハウが十分に蓄積されている。つまり、尹大統領に対する分析はもう終わっており、直接的な実益はないと結論を出したにもかかわらず、トッポッキを食べるところまでついて行ったわけだ。
典型的な政経癒着の構造からすると、財閥は政府事業と規制緩和を獲得しなければならない。上位財閥の特性上、直接的な政府調達よりはトップ個人の処罰回避、財閥所有構造と関連した規制緩和を手に入れることが優先課題だ。財閥にとっては企業利潤の最大化ではなく、トップの私益追求の最大化が政経癒着の目的であるからだ。
尹大統領は財閥に何を提供できるのか
ここで多くの人が予想するのは、現在進められているトップ関連の裁判で元を取ることだ。サムスン電子のイ・ジェヨン会長はサムスン物産と第一毛織の合併裁判、SKのチェ・テウォン会長は離婚裁判などがある。ところが、おそらく財閥内部の戦略家たちはそうは考えていないだろう。司法府の独立性に対する政治的牽制、検察出身の尹大統領と司法府の関係、最近の司法府の財閥事件に対する態度の変化、判事の裁量権などを考えると、大統領の司法府への介入を通じてトップに有利な判決を引き出すのは、不確実性が大き過ぎる。
ならば、銀産分離(財閥企業の銀行所有を制限)の緩和、持株会社の規制緩和などトップの宿願事業の解決だが、イ・ジェヨン会長が銀産分離を勝ち取り、先代の長年の宿願だった銀行業に進出すると予想する人はほとんどいない。また、法律を改正するためには、国会の状況に対する分析が必要だが、来年の総選挙与党の圧勝を予測する財閥の戦略家たちはいないだろう。
残るのは、未来にトップに発生しかねない検察処罰の災いを避けることだ。会社の資源を動員してトップ個人の保険料を支払ったわけだ。しかし、この点が非常に重要だ。財閥は尹大統領の国政運営の基本が司正機関を通じて四方に向かって乱射することだとみている。韓国の政経癒着は1980年代の全斗煥時代に後退し、その責任は完全に現政権にある。財閥の差し出し方が少し洗練されただけだ。