本文に移動

韓国検察、「尹錫悦検証報道」に対する捜査を本格化…報道機関代表を家宅捜索

登録:2023-12-07 06:51 修正:2023-12-07 08:36
キム・ヨンジン代表をはじめとする「ニュース打破」の社員たちが9月14日、本社前で検察の家宅捜索に抗議するスローガンを叫んでいる/聯合ニュース

 大統領選挙中における「尹錫悦(ユン・ソクヨル)検証報道」を捜査中の検察が、独立系ニュースメディア「ニュース打破」のキム・ヨンジン代表の自宅を家宅捜索した。9月にニュース打破の事務所を家宅捜索した3カ月後に、ふたたび強制捜査に乗りだしたのだ。検察は、キム代表が「釜山貯蓄銀行捜査もみ消し疑惑」の録音収録報道に深く関与したと疑っているが、報道を問題にして報道機関の代表の自宅まで家宅捜査を行った前例は見当たらない。

 ソウル中央地検の「大統領選挙介入世論操作事件」特別捜査チーム(カン・ベクシン部長)は6日、情報通信網法違反(名誉棄損)などの疑いで、ソウル西大門区(ソデムング)にあるキム代表の自宅を家宅捜索した。

 検察は、大統領選の投票3日前の2022年3月6日、ニュース打破のシン・ハンニム専門委員(当時)と「火天大有」の大株主であるキム・マンベ氏の対話が録音された「釜山貯蓄銀行捜査もみ消し疑惑」の録音記録報道の経緯を捜査しており、キム代表が報道10日前にこれらの内容についての報告を受けて相談に応じるなど、中心的な役目を果たしたとみている。シン元委員、キム氏、ニュース打破のハン・サンジン記者に続き、キム代表も被疑者として立件され、捜査対象者も増えた。

 ニュース打破の報道は、2011年に釜山貯蓄銀行事件を捜査した最高検察庁の中央捜査部が大庄洞(テジャンドン)の捜査を揉み消したという内容だ。当時、この事件の主任検事は尹錫悦大統領だった。しかし、報道された録音記録の対話が実際に行われた2021年9月頃、シン元委員がキム氏に自身の著書の販売代金として1億6500万ウォン(約1800万円)を受け取っていた事実が明らかになった。検察はシン元委員に対して、報道に関連して金を受け取った疑い(背任受財)と情報通信網法の名誉棄損の疑いを適用して捜査中だ。

 検察が記事の作成者である記者に続き、報道機関の代表まで捜査対象としたため、論議は大きくなっている。キム代表側はハンギョレに「報道2日前の4日に報告を受けた。代表が主要な報道に対して最終承認するのは当然のことだ。それを検察は(犯罪)謀議とみている」と明らかにした。

 報道から10カ月が過ぎた今年1月、ある報道機関が「キム・マンベ氏側から100億ウォンを受け取り、虚偽のインタビューをしたのではないか」としてシン委員に確認を求め、シン委員がキム代表にその事実を報告し、ニュース打破の専門委員の職を辞任したという。検察は、キム代表がシン委員とキム・マンベ氏の間の金銭のやり取りの疑いを知っていたうえで、過去の記事を修正・削除していない点も問題にしている。

 参与連帯は「検察庁法上の直接の捜査範囲にも含まれていない名誉棄損の疑いで、しかも検察総長出身の大統領の名誉を傷つけたという疑いで検察が報道機関の代表の自宅を家宅捜索するなんて、まるで独裁時代を見ているかのようだ」と批判した。

 ニュース打破はこの日、文書で立場を表明し「検察が主張しているニュース打破のシン・ハンニム元専門委員の背任受財の疑いと、尹錫悦大統領に対する名誉棄損の疑いは、何の根拠もない『小説』に過ぎない」とし、「ニュース打破の昨年3月6日の報道は、公職の候補者に対するきわめて正常な検証報道だった」と明言した。

 シン元委員長とキム氏の対話を報道したハン・サンジン記者は9月8日、文化放送(MBC)のラジオに出演し、「(2022年)3月4日に録音ファイルを受け取ったが、すでに約6カ月ほど前にシン・ハンニム氏は金を受け取っていた。それをいくら正常なことだったと主張したとしても、(受け取っていたという事実を知っていたとすれば)私は報道しただろうか」と述べ、報道当時は金銭取引の事実は認知できなかったと明らかにしたことがある。

チョン・ヘミン記者、チョン・グァンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1119340.html韓国語原文入力:2023-12-07 01:28
訳M.S

関連記事