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[社説]選挙で示された民意、国政基調を変えよという尹大統領への警告だ

登録:2023-10-12 08:42 修正:2023-10-12 09:40
9日、ソウル江西区の鉢山駅前で行われた共に民主党のイ・ジェミョン代表によるチン・ギョフン候補の応援演説に多くの聴衆が集まっている。チン候補の圧勝に終わった江西区長補欠選挙は、民主党支持層の結集と国民の力支持層の弛緩、中道層の政権に対する失望を明確に示した/聯合ニュース

 11日のソウル江西区(カンソグ)の区長補欠選挙で、野党「共に民主党」のチン・ギョフン候補が当選した。総選挙の6カ月前に行われた今回の選挙は、首都圏の民意の行方を見極めるリトマス試験紙となると評されてきた。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と与党は今回の選挙結果に込められた民意を重く受け止め、これまでの一方的な国政運営基調を全面的に転換すべきだろう。

 チン候補は開票が終わった12日午前0時42分ごろには56.52%の票を得て、前江西区長のキム・テウ候補(39.37%、国民の力)と17.15ポイントの差をつけた。国民の力の惨敗だ。選挙直前にはすでに国民の力が敗れると予想されていたが、当初の予想もはるかに上回る数値だ。厳しい民意の警告だ。

ソウル江西区長補欠選挙の投票が行われた11日午後、江西区の麻谷レポーツセンター屋内バドミントン場に設けられた開票所で、開票事務員ら関係者たちが投票箱を開けている/聯合ニュース

 江西区は伝統的に民主党が優勢な地域だとはいえ、キム・テウ候補が民主党候補を2.61ポイント差で破った昨年6月1日の地方選挙と比べると、完全に様変わりした。2022年3月の第20代大統領選挙で、同地域では国民の力の尹錫悦候補が46.51%、民主党のイ・ジェミョン候補が48.68%で2.17ポイント差の接戦を繰り広げたことに比べても、違いは大きい。

 わずか1年あまりでこのように状況が一変した原因は、どこにあるのか。有権者が50万人あまりに過ぎない基礎自治体の首長選挙を全国的な関心事に引き上げた要因は与党にある。公務上秘密漏えいで今年5月に最高裁で懲役刑が確定し、職が剥奪されたキム候補を、尹大統領は3カ月もたたないうちに特別赦免し、裁判の結果を無効化した。さらに与党は、自分たちの責任で発生した再・補欠選挙には候補を推薦しないという党規を無視しただけでなく、補欠選挙の原因提供者を改めて区長候補に確定した。このような傲慢な態度が「政権審判」を選挙での課題にしたのだ。尹大統領は今回の選挙結果を鏡として、手遅れになる前に国政の全面刷新に取り組むべきだろう。これまで大統領の顔色をうかがってばかりの国民の力にも、政権与党としての姿を取り戻してほしい。民主党にも、今回の選挙結果を民主党に対する支持と考えて安住する愚を犯さないよう願う。今回の選挙は、民主党がうまくやったから勝ったわけではない。刷新と統合をないがしろにすれば、民主党も民意のムチは避けられない。しかし、何よりも深い反省と変化で国民の前に新たに立つべきは、尹大統領を含む政権勢力であることは言うまでもない。選挙結果を謙虚に受け止め、民意に耳を傾けてほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1111776.html韓国語原文入力:2023-10-12 00:51
訳D.K

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