猛暑と準備不足で批判にさらされてきた「2023セマングム世界スカウトジャンボリー(ジャンボリー)」が事実上、早期閉幕した。台風接近による事故を懸念して世界スカウト機構が会場からの早期撤収を決めたほか、韓国政府は非常計画を立てて会場から撤収する参加団の残りの期間の宿泊、食事と日程に責任を持つことを決めた。ジャンボリー参加団は当初の出国日まで首都圏の体育館や大学の寮、宿泊施設などに滞在し、観光やKポップ公演の観覧などの代替プログラムを消化するものとみられる。ジャンボリーの趣旨とスカウト精神を考慮すれば、代替プログラムに対する満足度がどうであれ、行事運営のずさんさをばん回するには足りないと思われる。
ジャンボリーの共同組織委員長を務めるキム・ヒョンスク女性家族部長官は、7日午後のジャンボリープレスセンターでのブリーフィングで「本日朝の世界スカウト機構の会議で、気象庁による台風6号『カーヌン』の朝鮮半島通過予報を受け、ジャンボリーをセマングム会場からもう少し安全な別の場所に移すことが必要だという意見があった」とし、「政府も世界ジャンボリーの安全に万全を期すため、ジャンボリーの自然災害非常準備計画を検討中」だと明らかにした。
参加団の移動先は首都圏が有力だ。行政安全部のキム・ソンホ災害安全管理本部長は「台風の直接の影響圏に入っていない首都圏を中心として、行政機関および民間の教育施設を最大限確保し、隊員たちに安心できる安全な宿舎を提供する計画」だと語った。
参加者の撤収は8日午前10時から順次行われる。156カ国3万7千人あまりの移動のために1千台以上のバスが動員される。セマングムキャンプ場は参加者が去った時点で閉鎖される。キム・ヒョンスク長官は「自然災害のために場所を移すだけで、ジャンボリーは続ける」と述べたが、キャンプ地を離れてスカウトプログラムと関係のない観光日程を消化することになるだけに、キム長官の発言は宣言的なもの以上の意味付けをするのは難しいとみられる。キム長官は「首都圏を中心として宿舎を確保したうえで、各地方自治体と連係して観光、教育プログラムを行えるよう各市長や道知事に協力を要請する計画」だと説明した。
世界スカウト機構は7日午後2時ごろに公式ウェブサイトに掲示した公示で「本日午前、韓国政府から、台風6号『カーヌン』の影響が予想されるため、すべてのジャンボリー参加者がセマングムから早期撤収する計画であるとの確認を受けた」と明らかにした。続いて「韓国政府がすべての参加者の撤収日程と場所についての詳細情報を提供すると通知してきた」とし「(韓国政府に)すべての参加者に対し、本国帰国前の(韓国)滞在中、必要な支援を提供することを緊急要請する」と付け加えた。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領はこの日夜、ハン・ドクス首相を班長として政府省庁の長官や警察庁長、ソウル市長らが参加する「ジャンボリー非常対策班」を稼動させ、隊員の首都圏への移動や宿泊・食事などについての非常計画を支障なく実施するよう指示した。