本文に移動
全体  > 経済

韓国の地下駐車場「鉄筋不足」問題…類似構造の民間マンションへと広がるか

登録:2023-08-01 09:14 修正:2023-08-01 10:21
マンション地下駐車場の工事過程で鉄筋をきちんと入れていなかったLH発注の15の公共マンションが公開された。31日午後、南楊州市のあるマンションの地下駐車場に仮設の柱が設置され、本格的な工事を控えている=ユン・ウンシク先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府が31日、フラットスラブ構造の地下駐車場に必要な数のせん断補強筋(鉄筋)が入っていなかったことを確認した韓国土地住宅公社(LH)発注の15の公共マンションの事例は、衝撃そのものだ。鉄筋が入っているべき154本の柱のすべてで鉄筋の不足が確認されたマンション(京畿道の楊州檜泉A15)もあった。忠清北道の陰城金石A1でも、123本の柱のうち101本で鉄筋の不足が確認された。このようなことから、鉄筋不足問題は容易に収まらないとみられる。このような手抜き工事問題は民間のマンションにまで飛び火しうる。国土部は約300の民間発注マンションに対する全数調査を開始する予定だ。

 LHはこの日、鉄筋不足が確認された15の公共マンションの地下駐車場について、迅速に補強工事に着手することを決めた。しかし、すでに入居が行われた9つの団地では、住民の不安は高まらざるを得ないのが実情だ。LHは、補強工事の範囲はそれほど広くないため、最近措置を完了した3つの団地を除いた6つの団地に対しては精密安全診断を経て9月末までに補強工事を行い、工事が進められている残りの6つの団地は入居前に補強工事を終える計画だ。

 建設業界では、民間のマンションでもコスト、人材、技術などの問題でフラットスラブ構造の地下駐車場の手抜き工事が発生する可能性はあるとみている。公共アパートが構造的に設計・施工など工事コスト策定の水準が民間アパートに比べて低いため、設計・施工過程で手抜きが起きる可能性が高いだけだと推定してるのだ。

LHのイ・ハンジュン社長が31日、政府ソウル庁舎で行われたLHのフラットスラブ構造についての調査結果を発表するブリーフィングであいさつしている/聯合ニュース

 専門家は、フラットスラブ構造の地下駐車場は設計と施工、管理監督など、建築過程全般に対する徹底した管理・監督が再整備されなければならないと指摘する。2017年からアパート地下駐車場に用いられはじめたフラットスラブ構造は、上部の重さを支える梁がなく、柱がスラブ(コンクリート天井)を直接支持する構造だ。柱と接する部分に荷重が集中するため、スラブが破壊されるのを防ぐために柱の周りのスラブにせん断補強筋を入れる精密な設計・施工が重要になる。今回のLH公共アパートの鉄筋が不足していた15カ所の団地では、補強筋を用いる区間の誤りをはじめとする「設計不良」が10カ所の団地で、「施工不良」が5カ所の団地で見つかった。設計不良の割合が施工不良の2倍にのぼったわけだ。

 NCSLAB建築士事務所のホン・ソンヨン代表は「フラットスラブ構造に対する理解度が低い建築設計、現場の未熟練の技術人材、不十分な管理監督などが重なって起きた事故」、「韓国のアパート施工現場の複合的な問題が水面上に現れたもの」だと指摘した。

 LHからの天下りが不良を招いた要因である可能性も指摘される。経済正義実践市民連合はこの日発表した声明で「LH黔丹(コムダン)アパートの工事で設計と管理監督を担当した業者は、全てLH退職者が天下りしている業者であり、天下り者の優遇が事故原因の一つと疑われる」と述べた。経実連は監査院に、LHに対する公益監査を請求した。

経済正義実践市民連合の関係者が31日午前、ソウル鍾路区の監査院前で記者会見を行い、4月に発生した黔丹新都市地下駐車場崩壊事故について、LHからの天下り者優遇に対する徹底した調査と根絶策を求めている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 これに対してLHは「退職者関連企業との随意契約禁止、職員や役職員との接触禁止などで入札・審査・契約の全過程で利権が介入する余地を遮断している最中だ」としつつも、「事案の重大さを考慮し、天下り者優遇に関する公益監査を積極的に受け入れるとともに、不正行為が確認されれば直ちに告発する」と述べた。

チェ・ジョンフン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1102460.html韓国語原文入力:2023-07-31 18:28
訳D.K

関連記事