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韓国、労働弾圧が招いた政労対話の断絶…政府の労働改編は失速

登録:2023-06-08 05:45 修正:2023-06-08 07:25
7日午後、全羅南道光陽警察署前で労働運動弾圧粉砕と警察暴力蛮行を糾弾する韓国労総緊急闘争決起集会の最終集会が開かれている/聯合ニュース

 韓国の二大労総のうち社会的対話に重きを置いてきた韓国労総は7日、経済社会労働委員会(経社労委)での社会的対話の全面中断を決めた。このことで、1998年以降浮き沈みを繰り返しながらも続いてきた社会的対話が再び長期間の空白状態に陥った。韓国労総は「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権審判」を掲げ、今後は経社労委の脱退まで視野に入れて議論する方針であり、尹政権は自ら掲げた労働改革を労働勢力の協力なしに政府の力だけで進めざるを得なくなった。

 韓国労総は同日、全羅南道光陽市(クァンヤンシ)の韓国労総光陽地域支部で臨時中央執行委員会を開き、経社労委を通じた社会的対話への参加を全面中断することにした。対話中断を越えて経社労委の脱退に関する議論まで続ける方針だ。韓国労総中央執行委員会は同日、経社労委の脱退決定権をキム・ドンミョン委員長など執行部に委任することにした。ただし、この日の決定は経社労委における対話に限られたもので、最低賃金委員会や国民年金基金運用委員会など勤労者や加入者代表として参加する政府の他の委員会への出席まで中断するわけではない。

韓国労総が7日、中央執行委員会で経済社会労働委員会における対話の全面中断を決めた後、全羅南道光陽市のポスコ光陽製鉄所下請け労働者の座り込み場で「韓国労総緊急闘争決起集会」を開いた/聯合ニュース

 韓国労総は朴槿恵(パク・クネ)政権時代の2016年1月、成果が低い労働者に対する解雇などを盛り込んだ二大指針の推進に反発し、経済社会発展政労使委員会(政労使委)のボイコットを宣言した。韓国労総は以後、2018年に政労使委が経社労委に再編されたことを受け、中央単位の社会的対話機関への参加を再開した。尹錫悦政権発足以降、政労関係が悪化していく中でも、韓国労総は経社労委へのボイコットを宣言することには慎重な態度を示してきた。キム・ドンミョン委員長は2月に行われたハンギョレとのインタビューで「社会的対話は、韓国社会の対立を解決していく有効な枠組みだと思う。簡単に断絶したくない」と語った。

 対話を続ける方針だった韓国労総が対話中断に転じた直接的なきっかけは、先月30日と31日、全羅南道光陽のポスコ光陽製鉄所の下請け会社「ポウン」の労働者の座り込み場で起きた、金属労連のキム・マンジェ委員長とキム・ジュニョン事務処長に対する警察の強硬鎮圧だった。特に、キム事務処長は警察のこん棒に殴られ血を流しながら座り込み場から引きずり下ろされた後、拘束された。

 労働界との対話より力のぶつかり合いを選んだ政府の態度からして、韓国労総の今回の決定はすでに予見されていたという指摘もある。経社労委常任委員を務めた高麗大学労働問題研究所のパク・テジュ研究教授は「これまで政府には社会的対話を労働政策の重要な踏み台にしようとする意志自体がなかった」とし、「労働改革として示す議題も明確でなく、その内容のほとんどが労働組合を排除する政策である状況で、社会的対話は不可能だ」と語った。政府はこれまで労組の会計帳簿情報の提出、国庫補助金支援の排除、労働時間改編案などを労働改革の一環として一方的に示し、民主労総だけでなく韓国労総とも対立してきた。キム・ドンミョン委員長は同日「労働に対する根強い嫌悪、政治的計算と策略という尹錫悦政権の性格とアイデンティティがこのような事態をもたらした」と主張した。

 韓国労総のボイコットにより、これまで遅々として進まなかった政府の労働政策の推進はさらに失速するものとみられる。ペ・ギュシク前経社労委常任委員(前韓国労働研究院長)は「社会的対話に比較的積極的だった韓国労総さえも議論への参加を拒否する労働政策を、政府の意志だけで推し進めるのは難しいだろう」とし、「不足ではあるものの1998年から少しずつ定着してきた社会的対話構造が、危機に陥っている」と語った。

パン・ジュンホ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1094973.html韓国語原文入力:2023-06-07 23:59
訳H.J

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