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地球規模の災害「最後の防御線」1.5度上昇…5年以内に崩れる確率は66%

登録:2023-05-18 06:40 修正:2023-05-18 07:26
予期せぬ災害につながる記録的な豪雨、突然発生する異常高温と猛暑など、気候科学者たちが警告した気候変動の脅威が次第に現実となっている=ゲッティイメージバンクより//ハンギョレ新聞社

 地球の気温が今後5年以内に史上初めて産業化以前より摂氏1.5度以上高くなる可能性が高いと、国連傘下の世界気象機関(WMO)が明らかにした。これは、2015年のパリ協定で定めた地球温度の上昇幅を産業化以前より1.5度以内に制限しようという目標が5年内に崩れる確率が高いという意味だ。

 WMOは17日(現地時間)、2027年までに少なくとも1年は、史上初めて地球気温が産業化以前より1.5度以上高くなる確率が66%に達するという内容の報告書を発表した。英国の「ガーディアン」など海外メディアが報じた。同報告書は、欧州や北米、中国など世界11機関の報告書をもとに作成されたもの。WMOは2020年、今後5年以内に1.5度の気温上昇抑制目標値を超える可能性は20%以下だと予測したが、昨年はその可能性を50%に上方修正した。ところが、今年はその可能性が66%まで跳ね上がったのだ。

 WMOのペッテリ・ターラス事務局長は「今回の報告書がパリ協定で定めた1.5度の制限を永久に越えるという意味ではない」とし、「しかし、WMOは一時的だが1.5度の制限を越えることについて警告音を鳴らす」と述べた。今後5年以内にパリ協定の目標基準値を超えたとしても、永久的な現象とはいえないが、十分懸念すべきことだという意味だ。

 WMOは、産業化以前より1.28度以上高く最も暑い年とされた2016年の記録が、今後5年以内に破られる確率は98%だとみた。専門家たちは今後5年以内に世界気温の急激な上昇を予想する理由として、人間活動による地球温暖化現象とともにエルニーニョ現象を挙げる。エルニーニョは東太平洋熱帯海域の水温が平年より0.5度以上上がる現象で、このうち水温が1.5~2度以上高くなるなど大幅な水温上昇がある場合をスーパーエルニーニョと呼ぶ。2015年末から2016年にはスーパーエルニーニョが発生したが、今年もスーパーエルニーニョが発生する可能性が高い。WMOは最近、今年下半期からは「エルニーニョ」が到来し、地球各地に猛暑と洪水、日照りを起こすと予想した。ターラス事務局長は「今後数カ月以内に温暖化したエルニーニョが発生すると予想され、これは人間が誘発する気候の変化とともに地球の温度を未知の領域に押し上げるだろう」とし、「これは健康、食糧安保、水の管理および環境に広範囲な影響を及ぼす」と警告した。

 地球の気温は長期測定基準で産業化以前より1.1度以上高くなったと専門家たちはみており、このような現象は地球に取り返しのつかない変化をもたらすものと懸念されている。「ガーディアン」の報道によると、専門家は特に、北極地方が世界の他の地域よりはるかに早く気温が上がっており、これは地球全体の気象に影響を及ぼすと予想している。

ベトナムのハノイで熱い日差しから身を守るため、市民が長袖の服に帽子をかぶって移動している/EPA・聯合ニュース
チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1092230.html韓国語原文入力:2023-05-18 02:11
訳H.J

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