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[寄稿]在韓米軍基地の跡地に作られた公園の汚染問題、韓国政府は米国と解決すべき

登録:2023-05-04 01:12 修正:2023-05-04 07:41
龍山公園の開放に先立ち、環境汚染浄化の実施を求める「龍山公園、汚染浄化が先だ!万歩歩き」行事に参加した市民と市民団体の活動家らが4月23日午前、ソウル龍山区戦争記念館から米軍基地14番ゲート前に向かって行進している=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府が5月4日、在韓米軍から返還されたソウル龍山区(ヨンサング)の基地敷地(以下、龍山公園)の一部を「龍山子ども庭園」として開放する。マスコミの報道によると、政府の龍山子ども庭園の開場を控え、周辺の小学校は「龍山区役所で龍山公園(子ども)サッカー場の使用に対する需要調査を行っている」とし、「施設の使用を希望する場合は申し込んでほしい」という内容の家庭通信文を送ったという。これに対し、一部の保護者たちは「学校が子どもたちを汚染された基地で遊ばせるということなのか」と反発した。

 ソウルの中央にある龍山公園は地理的にも重要であり、南山(ナムサン)~龍山~漢江(ハンガン)の生態軸につながるところに位置している。しかし、かつて日本軍の駐屯地だったところを在韓米軍が使用していたが、古い油類タンクと管路管理の不備で油が流出し、人体への危害性と汚染浄化問題が議論を呼んできた。その空間に韓国政府が「12歳以下の子ども専用の野球場とサッカー場」を作ったのだ。

 本議員室の関係者たちは昨年6月、環境団体や専門家らとともにテスト開放された龍山公園を訪問調査した。当時、龍山公園の数カ所で黒い粘液質の油が溜まっている穴を発見した。これに対して、韓国政府は「鉄柱の切断面を覆うために使用した接着剤とゴム蓋の油成分が雨水と共に一部柱の中に流れ込んだもの」という到底納得できない報道資料を発表した。そして「15センチ以上厚く土を覆い芝生の植栽やマットと砂利場の設置、地上の油類貯蔵タンクの除去などで、安全に対する問題を引き起こす要素を完全に遮断」したと主張している。

 昨年、韓国環境公団の「(龍山米軍基地)サウスポストの環境調査報告書」によると、全体面積の66.1%である10万8920平方メートルで、「土壌環境保全法施行規則」における土壌汚染懸念基準の1地域(公園や学校用地、子どもの遊び場などの敷地)の基準値を超えていたことが分かった。全石油炭化水素(TPH)は基準値(1キロ当たり500ミリグラム)の36倍、ヒ素は9.4倍、鉛は5.2倍など、様々な項目で基準値を超える量が検出された。TPHはDNAに損傷を与える物質として知られており、ヒ素は1級発がん物質で、鉛は体内蓄積されてから長い年月を経て毒性が発現する有害物質だ。

 富川市(プチョンシ)は昨年5月から今年2月まで元在韓米軍基地「キャンプ・マーサー」の33万918平方メートルを対象に土壌汚染精密調査を行ったが、20%程の土壌がベンゼンなどで汚染されていることが分かった。1993年に米軍部隊が基地を離れてから30年が経ったにもかかわらず、汚染が確認されたのだ。

 先月25日、政府は龍山子ども庭園を空気質測定方式で環境モニタリングしており、安全だと発表したが、政府は地下の油類貯蔵タンク、送油管施設、油の流出範囲について正確に把握しておらず、全数調査を行ったこともない。資料を要求したが、政府は「龍山米軍基地の主要油類施設物の位置と送油管の位置に該当する資料を保有していない」と答えた。政府は「子ども庭園の開放」という目に見える成果のために、目に見えない危険を覆い隠してしまったのだ。

 龍山公園のもう一つの問題は、米軍基地の環境浄化費用の処理を困難にする在韓米軍地位協定(SOFA)だ。政府から直接提出された資料によると、返還米軍基地の環境浄化(2008~2018年)および龍山米軍基地の周辺地域の環境浄化(2002~2021年)に支出した費用は計2350億ウォン(約240億円)に達する。訴訟費用と遅延損害金11億ウォン(約1億1150万円)を含む金額だ。韓国政府が2350億ウォンを投入する間、米軍は環境浄化費用を一銭も支払わなかった。

 米軍はこれまで敷地を返還する際、供与当時の状態に原状回復する義務がないという在韓米軍地位協定(SOFA)第4条を根拠に環境汚染を浄化する義務はないと主張してきた。しかし、韓国憲法裁判所はこの規定が環境に関する条項ではなく、米軍に供与された施設と区域を汚染させる権限を与えたわけでも、環境汚染を放置した状態で返還できるよう規定したわけでもないと判示した。米軍は環境汚染者負担原則に従い、汚染を浄化して基地を返還しなければならない。

 政府は米政府に環境汚染者負担原則、返還敷地の原状復旧義務、被害者の民事請求権にともなう賠償請求への協力を主導的に要求しなければならない。そして、最も重要な国民の知る権利を保障すべきだ。これまで米軍基地内で数回にわたって環境汚染事故があったにもかかわらず、韓国政府と米軍は事故の内容と被害の範囲などを公開しなかった。今からでも龍山子ども庭園の開放を撤回し、きちんとした環境汚染の浄化を始めなければならない。我々の子どもたちが遊ぶことになる土地ではないか。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は油まみれの「アメリカン・パイ」を子どもたちに食べさせるつもりなのか。

//ハンギョレ新聞社
ユン・ミヒャン|国会議員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/1090464.html韓国語原文入力:2023-05-03 19:24
訳H.J

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