韓国のキム・テヒョ国家安保室第1次長は、「今月末の韓米首脳会談で採択される両国の情報共有拡大対象国に、日本が含まれる可能性が高い」と述べた。また、米国による韓国国家安保室盗聴問題は、首脳会談の議題から排除する考えを明らかにした。韓日関係の回復を急いだ「低姿勢外交」で深刻な悪影響を経験しているにもかかわらず、韓米、韓米日軍事協力強化の「速度戦」に邁進する態度が憂慮される。
キム・テヒョ次長はワシントンを訪問し、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の米国国賓訪問を最終調整した後、15日に帰国する際、今回の韓米首脳会談で包括的サイバー安保協力が盛り込まれた文書の採択を推進しており、両国の情報協力レベルを米国・英国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの5カ国安保同盟(ファイブ・アイズ)以上に格上げする計画も示した。「韓米情報同盟に日本も含まれる可能性があるか」という質問に対しては、「可能性も大きいが、それは段階的に事案によって検討されると思う」と明らかにした。韓米日情報共有体系の拡大・強化、あるいは新しい体系を作る方案などを念頭に置いたものとみられる。現在、韓米日は米国防総省を媒介とする3国共有体系である情報共有約定(TISA)を運営しており、韓日間では韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が正常化した状態だ。3国首脳は昨年11月、「北朝鮮のミサイル警報情報をリアルタイムで共有」することで合意し、その後3国によるミサイル防衛訓練などを実施してきたが、今回の動きは韓米会談を契機にさらに急進展すると予想される。
北朝鮮が韓米の「3軸体制」では対応しにくい固体燃料の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射するなど、核による威嚇を高めている状況で、韓米の拡大抑止強化は今回の首脳会談で中心の議題として論議されなければならない。北朝鮮の核の脅威に対応する韓米日協力は必要だ。しかし、韓米日の情報共有は、事実上軍事同盟化に進む可能性があり、これは韓国が中国けん制のための米日同盟の下位パートナーに帰結しかねないという点から、様々な事案を慎重に問い詰めなければならない問題だ。
10日後に迫った韓米首脳会談で、米国の半導体支援法(CHIPS法)とインフレ抑制法(IRA)により半導体・バッテリーなど韓国の未来がかかった産業が打撃を受けないよう、韓国大統領室は最大限の交渉力を集中しなければならない。盗聴疑惑もまともに追及しないという大統領室が、再び「ばらまき外交」をするのではないか、韓国の要求事項をきちんと反映できるのか、という国民たちの憂慮が大きいことを肝に銘じてほしい。