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[寄稿]韓日関係正常化?今後起きること

登録:2023-03-22 04:19 修正:2023-03-22 07:53
1泊2日の日程で日本を訪問した尹錫悦大統領と日本の岸田文雄首相が16日午後、東京の首相官邸で行われた韓日拡大首脳会談に先立ち、記念撮影をしながら握手している/聯合ニュース

 「在韓日本大使館前の少女像が撤去されない現状で、日本の首相の韓国訪問を議論することは難しい」

 日本政府がこのように要求すると仮定してみよう。実際、2018年の韓国大法院(最高裁)による強制動員判決以降の日本内部の雰囲気は、「韓国の間違った行いを正す」だった。現在、そのようになりつつあるのではないか。今後、どのようなことが展開されるのだろうか。

 韓国政府は6日、日本による謝罪も基金への参加もなしで、韓国側の財源によって強制動員被害者に判決金を支給すると発表した。韓国政府が一方的に自国の裁判所の判決を無力化する措置を取ったわけだ。2018年の大法院判決以降、一貫して「韓国自身が解決せよ」と主張してきた日本の非常識な要求は、目の前の現実になった。今後展開されることを、外交、国内政治、被害者の3つの側面でみてみよう。

 まず外交。大統領室は「韓日関係の新時代」だと広報するが、「手形」ではない「現金」は得ていない。もし日本が関係正常化に追加条件を加えるとすれば、韓国政府としては受け入れざるをえない。被害者が20年以上にわたり闘ってはじめて手にした強制動員判決を無力化させたが、韓日関係にまで再び冷たい風が吹くとすれば、それこそ国の品格の自殺行為だ。

 この状況をよく理解している日本は緻密だった。韓日首脳会談後、日本政府は首脳会談で言及された内容を一つずつメディアに流している。2015年の日本軍「慰安婦」合意の履行、レーダー・哨戒機問題、福島産水産物の輸入要求に、独島(トクト)への言及まで。日本メディアがこれを報道すると、韓国メディアは韓国政府に事実かどうかを尋ね、韓国政府は公開できないと述べたり、否定する場面が繰り返されている。首脳会談後、国の姿は本当に滑稽になった。

 日本軍「慰安婦」合意の履行は、日本が最も積極的に要求する争点だ。日本の岸田文雄現首相は、2015年には「慰安婦」合意文を直接朗読した外相だった。当時、韓国政府は「在韓日本大使館前の少女像問題を適切に解決するよう努力」すると公表した。外交的手段をすべて放棄して善意の呼応を期待し白旗投降した韓国政府を相手に、日本はこの機会に一つひとつ整理しようと意気込むだろう。

 次に国内政治。外交惨事を正当化するために、虚偽の事実の流布を含む総攻勢が続くだろう。与党「国民の力」のキム・ギヒョン代表は20日、「共に民主党の論理でいえば、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領は日本の手下になるのか」と批判した。盧武鉉政権時の2007年、「太平洋戦争前後の国外強制動員犠牲者等の支援に関する法律」が制定されたが、尹錫悦政権の案と同様に代位弁済が含まれているではないかという論理だ。事実と異なる。この法律は、被害者に対する政府レベルの人道的慰労金の支援を規定しただけだ。代位弁済は債務者に代わって第三者が債権を返済する手続きだ。慰労金支援と債務弁済は法的性格がまったく違う。

 朴槿恵(パク・クネ)政権時にセウォル号惨事の遺族らと支援団体を査察して追い詰めた局面が再現されることもありうる。大統領室のキム・テヒョ国家安保室第1次長は18日、メディアのインタビューで、「当事者でない他の人の話は、もう少し慎重にフィルタリングして聞く必要」があると述べた。反対する被害者を直接攻撃することは難しいため、その周囲を攻撃するかたちだ。おなじみの論理だ。2019年、もう一つの第三者弁済案である「ムン・ヒサン案」に対して反対が続き、当時、ムン・ヒサン国会議長室は「反対する団体のなかで、強制動員被害者が代表を務める団体はない」として、支援団体のアイデンィティを皮肉った。文在寅(ムン・ジェイン)政権でも尹錫悦政権でも、被害者側は一貫して日本の謝罪を要求したが、権力はその要求を「被害者でない人々の要求」として貶めようとした。大統領支持率が下がれば下がるほど、敵味方分けは激しくなるだろう。

 三つ目に被害者。政府案に反対し最後まで日本企業から賠償と謝罪を得ると明言された方々がいる。今後、この方々は、判決を奪おうと考える韓国政府に立ち向かい、判決を守る闘いをしなければならない。これまでとは比較にならないほど、孤立することになるだろう。未来志向的な国家発展に反する人々、大統領に負担を与える人々というレッテルを貼られるかもしれない。

 これが私たちの追求する韓日関係正常化なのか。被害者の権利を奪い、虚偽の事実で政治対立を最大化し、水平的・互恵的な外交ではなく一方的・従属的な関係のなかで作られる正常化というものは、誰にとっての正常化なのか。はたしてそれは正常化なのか。

//ハンギョレ新聞社

イム・ジェソン|弁護士・社会学者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1084572.html韓国語原文入力:2023-03-22 02:38
訳M.S

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