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原油高のせいで貿易赤字?韓国の「輸出の流れ」が送る四つの異常信号

登録:2022-07-04 20:35 修正:2022-07-05 10:54
韓国産業通商資源部のイ・チャンヤン長官(右)が3日、政府ソウル庁舎でチュ・ギョンホ副首相兼企画財政部長官の主宰で開かれた第3次非常経済長官会議で発言している/聯合ニュース

 「輸出の流れは依然として良好だが、原油高のせいで輸入がさらに増えて生じた赤字だ」。今年に入って貿易赤字が記録されるたびに、政府や貿易業界側から出たこうした説明が、6月の輸出入実績発表後からは反論に直面した。上半期基準で過去最大の赤字という記録のためだけではない。輸出の流れ自体から異常信号と読まれる端緒が伺える。

 4日に産業通商資源部が集計した「6月輸出入動向」によれば、輸出物量は1421万トンだった。昨年6月に比べ6.1%減った。ウクライナ事態に世界景気鈍化傾向が重なって、輸出景気が悪化していると分析される内容だ。

 産業部の説明どおり、「重量基準の輸出統計が(実状を)歪曲する可能性」はある。品目別に単位当たりの価格差が大きいためだ。例えば、半導体輸出が10億ドル増え、鉄鋼輸出が1億ドル減っても、全体の輸出物量は減少傾向として現れる。製品の高付加価値化もまた輸出物量の減少として現れうる。

 単純重量基準にともなう歪曲の可能性を減らした指標がある。加重値などの補正装置を通じて算出する韓国銀行の輸出物量指数だ。6月の数値はまだ出ていない。今年に入って3月に133.6(2015年=100)まで上がり、4月は120.5、5月は124.9に下がっている。この期間の輸出金額指数は154.0、140.8、146.8で類似した流れだった。単純重量基準の輸出物量が4月に5.4%減少した当時、物量指数も金額指数もそろって下落した。輸出物量の減少は全般的な輸出景気の下降を反映しているとみることができる。

 金額基準の輸出は騰勢を維持しているが、6月に入り弱まった。6月の輸出実績577億3千万ドルは昨年同月より5.4%増えた水準だ。輸出増加率は昨年3月(16.3%)以来ずっと2桁台を記録したし、今年3月(18.8%)、4月(12.9%)、5月(21.3%)も高空行進を続けてきた。

 産業部はこれを「基底効果」と解説する。昨年6月の輸出が一昨年同月より何と39.7%も増えるほど際立っていたため、これと比較した今年の実績は反射的に低く映ったという解釈だ。加えて操業日数が昨年6月より2日短かったという事情がある。その渦中に6月基準の歴代最高輸出実績を収めたので、1桁台の増加率に過度な意味を付与できないというのが産業部の説明だ。1日平均輸出については26億2千万ドルで、昨年同月(22億8千万ドル)に比べて2桁(15.0%)増加した事実も、それを裏付ける根拠に挙げられた。

 6月の輸出入動向で目についた点として、対中国貿易赤字の流れが2カ月連続したことが挙げられる。中国に対する輸出は昨年6月に比べ0.8%減った129億6600万ドル、輸入は24.1%増えた141億8千万ドルで、12億1400万ドルの赤字だった。5月には10億9900万ドルの赤字だった。対中貿易収支は、1994年8月(1400万ドル赤字)以後今年4月まで月別基準で28年間連続黒字であった。

 貿易協会国際貿易通商研究院のチョ・サンヒョン院長は「中国の『ゼロ・コロナ』政策により上海、北京などの主要都市が封鎖されたことに伴う影響だとみられる」と話した。加えて輸出入がそろって中国偏重になっているとの指摘があり、東南アジア市場に多角化する動きがあったことも影響を及ぼしただろうと付け加えた。チョ・サンヒョン院長は「中国主要都市の封鎖措置が解除された後の効果がどうか、構造的に変わったのかは、さらに2~3カ月ほど傾向を見守らなければならないだろう」と話した。

 毎月発表される輸出入動向から、品目・地域にかかわらず成長傾向を見せたというような説明が6月に入って消えた。品目別の偏りが大きくなり、自動車・船舶のような輸出主力分野でもマイナス成長の事例が現れた。15大主要品目のうち増加傾向を示したのは半導体(10.7%)、石油製品(81.7%)など6品目だった。下落傾向を示した9品目の中には、自動車(-2.7%)、船舶(-36.0%)、一般機械(-11.7%)が混じっている。石油製品と船舶輸出に代表的に見られるように品目別格差が大きい。輸出景気が不安定性を帯びていることを示す例だ。

 現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は「マクロ経済全体として見る時、第1四半期の国内総生産(GDP)で消費、投資はマイナス要因であったし、唯一輸出が経済を引き上げたが輸出までマイナスに転じて、下半期にも消費が戻らなければ下半期全体または四半期程度はマイナス成長する事態もありうる」と憂慮した。

 輸出の非常事態に韓国政府の動きが慌ただしくなった。韓国政府は3日、チュ・ギョンホ副首相兼企画財政部長官の主宰で非常経済長官会議を開き、今年の貿易金融の拡大をはじめとする輸出支援方案を出した。さらに13日には「民官合同輸出状況点検会議」の開催を予告している。その席で政府は主要業種別協会、貿易協会、輸出支援機関と共に業種別輸出状況を診断し貿易赤字の解消、および産業競争力の強化方案を議論する予定だ。

キム・ヨンベ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1049556.html韓国語原文入力:2022-07-04 14:13
訳J.S

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