ロシアのウクライナ侵攻が3カ月目に入った中、ウクライナはロシア軍の完全撤退なしには休戦は不可能だと主張するなど、交渉において次第に態度が強硬化している。両者の戦闘は、東部ルハンシク州の西部地域と南部オデーサの橋頭堡となるミコライウで最も激しく繰り広げられている。
ウクライナの大統領首席参謀を務めるアンドリー・エルマク氏は22日(現地時間)、ツイッターに「戦争はウクライナの領土保全と主権が完全に回復することで終わるだろう」と投稿した。ロイター通信が報じた。ウクライナの交渉代表を務めるミハイロ・ポドリャク大統領顧問も即時休戦を拒否し、領土割譲の可能性を排除したとロイターは伝えた。同氏はこの日のロイターとのインタビューで「ロシア軍が去ってはじめて平和に向けた手続きは再開される」と語った。同氏は即時休戦を求める一部の声について「非常におかしい」との反応を示した。
ロイターは先日、米国のロイド・オースティン国防長官、イタリアのマリオ・ドラギ首相らが即時休戦を主張しているとし、休戦に対するウクライナの態度は次第に強硬になりつつあると指摘した。
ウクライナを訪問したポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領も、ウクライナのこのような態度を支持した。ドゥダ大統領はこの日のウクライナ議会での演説で、国際社会はロシアの完全な撤退を要求すべきだ、領土の一部割譲は西側全体にとっても大きな打撃となるだろうと述べた。同氏はまた「ウクライナだけに自らの未来を決める権利がある」と強調した。
ロシア軍はこの日、東部ルハンシク州の西部地域と黒海の沿岸都市ミコライウに集中攻撃を浴びせた。ロシア軍はこの日、ルハンシク州西部地域のセベロドネツクとリシチャンスクの間の橋梁を破壊した。米国CNNが報道した。これは東部ドンバス地域に対するウクライナ軍の兵器供給を遮断するための試みとみられる。ルハンシク州のセルヒ・ガイダイ知事はこの日の現地放送局のインタビューで、ロシア軍は同地域で焦土化戦術をとっていると主張した。同氏は「彼らはセベロドネツクを地球上から消し去りつつある」と語った。
ウクライナ軍の作戦参謀は、ロシア軍がドネツク州スラビャンスクに対する攻撃を再び強める動きをみせていると語った。セベロドネツクとスラビャンスクは、東部ドンバス地域の支配権確保にとって最も重要な都市だとCNNは指摘した。
ロシア国防省は同日、ドンバス地域とともに南部ミコライウ地域のウクライナ軍の作戦基地、兵器庫などを攻撃したと発表した。国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官は「ロケットと大砲を動員してミコライウ地域の軍の密集地域583カ所を攻撃した」と説明した。ミコライウのオレクサンドル・センケヴィチ市長は同日夜、町のあちこちから爆発音が聞こえたとSNSで語った。
ミコライウは主要河川である南ブーフ川が黒海に注ぐ河口の東側に位置する都市で、黒海沿岸最大の港であるオデーサへと向かう橋頭堡となる。ウクライナ軍はミコライウで、ロシア軍が南ブーフ川を渡ってオデーサ方向に進軍するのを阻止している。
ロシア軍が完全に掌握した南東部の主要都市マリウポリでは、訪問が規制されているとCNNが伝えた。マリウポリ市長の顧問を務めるペトロ・アンドルシチェンコ氏は、「マリウポリに入る車両と住民は、周辺の2地域でロシア軍からそのつど許可証の発給を受けなければならない」と説明した。同氏はまた、ロシア軍が5万人ほどのマリウポリ住民を外部に移動させるなど、住民移送作戦を強化しているとし、住民がどこに行くのか把握に努めていると話した。