「二つの戦争が同時に進行している。グローバルな政治・経済の時代が変わる変曲点だ」。産業研究院(KIET)が22日にテレビ電話会議形式で開いたセミナーで、ウクライナ問題には地政学的に重大な意味が内包されており、これは韓国にも大きな影響を及ぼすはずだとする分析が提起された。
韓国外国語大学のキム・ソクファン招聘教授は、この日のシンポジウムで「今回の戦争は、地政学戦争と経済戦争の二つの戦争が同時に進行している様相を示している」とし、「戦争の波紋は様々な形態で現れるはずであり、そのなかで最も重要なのは、複合危機が現れる可能性が高いということ」だと述べた。
キム教授は「ロシアとウクライナが国際貿易に占める規模や国内総生産(GDP)の規模が重要なのではなく、戦略的な意味を持つ商品や重要な金属資源、人材などが深刻な混乱状態に陥る可能性が高い」と予想した。特に、ロシアが供給するそれらの戦略的商品は、第4次産業革命(デジタル・トランスフォーメーション)に関連する人材や技術などの市場に対する混乱を同時に発生させる危険があると付け加えた。同時に韓国には、物価上昇(インフレ)、金融混乱(為替レートなど)、交易の縮小、サプライチェーンの混乱、地政学的危機の高まりなどが近づく最悪のケースが訪れることがありうると懸念した。
キム教授は「冷戦以来維持されていたグローバル時代の終焉と大分裂の時代が到来し、長期的には大規模な新しい地域経済(ブロック)が形成されるだろう」と述べ、「ロシア・ウクライナ問題は、グローバルな政治・経済の時代が変わる変曲点として作用することになりうる」と指摘した。
ウクライナ問題による韓国内の製造業への影響について、産業研究院のキム・バウ専門研究員は、「紛争当事国との貿易減少による影響は極めて小さいとみられ、主に、エネルギーや主要な原材料・副資材の価格上昇にともなう影響が中心に現れるだろう」と予想した。キム研究員はまた、「ロシアの輸出規制は、ほとんどが外国産の物品を対象にしているが、最近になって自国産の木材、砂糖、穀物の輸出規制が生じており、西側世界の制裁強化とロシアの対応措置の動向に注目する必要がある」と強調した。
産業研究院のキム・ハッキ研究委員は、「西側の経済制裁とロシアの対応」の分析で、「西側のロシアに対する経済制裁は覇権競争の一環であり、ロシアの先端技術分野や軍需産業分野に焦点を合わせ、ロシアの強国化阻止と経済規模拡大の抑制に集中している」と分析した。キム委員はさらに、ロシア側の報復制裁は、韓国をはじめとする「非友好国家」の経済に大きな打撃を与えうると予想した。ロシアの報復制裁の内容は、食品禁輸措置、食品および医薬品を含む商品輸入の制限、輸入代替開発、ロケットエンジンおよび希少金属(レアメタル)の輸出中止などだ。