ウクライナとロシアが28日(現地時間)に交渉に入ることになった中、ウクライナ軍は27日、「ほぼすべての方向からの爆撃に直面し、軍は困難に置かれている」と語った。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、英国のボリス・ジョンソン首相と電話で会談し、今後24時間が最も決定的な時期になるだろうと述べた。ロシア軍も交戦から4日にして初めて兵力の損失を認めた。
ウクライナ軍の作戦参謀は27日夜、フェイスブックで、ロシア軍が「ほぼすべての方向から爆撃を加えている」と述べ、ウクライナ軍は「困難な時期にある」と述べた。BBCは、ロシア軍も同日の戦闘で一部の兵力を失ったと認めたが、具体的な被害状況には言及せず、ウクライナ軍より被害は少ないとのみ語ったと報じた。
両国がベラルーシで交渉を開始することが決まっている中、ロシア軍は首都キエフ周辺への集結を続けているとCNNが報じた。CNNによると、米国の衛星通信関連業者「マクサー」が新たに公開した衛星写真を確認したところ、27日午前にキエフの北方からキエフ方面へと移動するロシア軍の隊列は5キロに達している。ロイターによると、隊列には戦車や自走砲、地上戦闘用車両も確認されている。
BBCによると、首都キエフでの夜間外出禁止が続く中、市民は27日夜にもロシアによる空爆再開の可能性に備えている。一部の地域では空襲警報のサイレンが鳴ったとBBCは報じた。ウクライナがキエフを死守する中、南部の黒海沿岸地域ではロシア軍が優勢だ。黒海沿岸の港町ヘルソンとアゾフ海の港町ベルディヤンスクがロシア軍に包囲されているとBBCは報じた。
ウクライナ第2の都市である北東部のハルキウでは、ロシア軍が27日に市内に進入したことで市街戦が起こり、ウクライナ側はロシア軍を撃退して町を守ったと主張した。CNNは、ロシア軍はウクライナ国境に集結させた兵力の80%ほどをすでにウクライナに投入しており、ウクライナ国境近くのベルゴロド地域で破壊されて動けなくなっているロシア軍車両を確認したと報じた。
ウクライナ内務省は、27日までにロシア軍の侵攻によって352人の民間人が犠牲となり、1684人が負傷したと明らかにした。犠牲者には14人の子どもも含まれていると内務省は説明した。負傷者中、子どもは116人と集計されている。
欧州連合(EU)がロシアの航空機の域内進入を禁止することを決め、トルコが地中海から黒海に入るロシアの軍艦を規制することを決めるなど、ロシアに対する周辺諸国の封鎖は強化されつつある。1936年に締結されたモントルー条約にもとづき黒海に入る船舶を規制しているトルコのメヴリュト・チャウショール外相は27日「ウクライナの状況はもはや公式の戦争状況であり、従ってモントルー条約にもとづく措置を取る」と表明した。チャウショール外相は、ロシアのすべての軍艦を遮断することはできないとし、戦争に参加せず基地に帰還する軍艦は規制対象から除外すると語った。
EUは、戦争を逃れて域内にやって来るウクライナ人に対して、難民申請の手続きなしに3年間の滞在を許可することを決めた。ウクライナ人は現在、ビザなしで90日までEUに滞在できる。