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「ロシアに厳しい制裁」バイデン大統領の公言、効力発揮できるか

登録:2022-02-25 07:12 修正:2022-02-25 07:57
ウクライナ国旗を持つ人々が23日、英国ロンドンのロシア大使館前で攻撃中止を要求するデモを行っている=ロンドン/AP・聯合ニュース

 米国のジョー・バイデン大統領が、まもなくロシアに対する「全面制裁」を発表する。バイデン大統領は21日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ東部の親ロシア派共和国を国家と認め兵力を投入すると発表すると、ロシアの銀行2行などに「第一段階」の制裁を断行した。その後ロシアが攻撃を開始したため、これまで公言していた「厳しい制裁」を取りださなければならない状況になった。しかし、制裁は思うより効力を発揮できないだろうという懐疑論が浮上し、米国と欧州の悩みが深まっている。

 制裁懐疑論の主な根拠は、ロシア経済に与える打撃は制限的だという点だ。米国政府は、「厳しい制裁」が発動されれば、ロシアは物価暴騰と株価暴落に直面し、プーチン大統領の支持基盤も大きく揺らぐはずだと主張する。米国の高官は先月、10%台のインフレがロシア人を苦しめるだろうと予想した。米国が講じる強力な制裁としては、米国などの金融機関によるロシアの大手銀行との取り引き禁止と、現代産業のコメと呼ばれる半導体の輸出制限などが挙げられていた。

 しかし、ロシア経済はそもそも西側諸国との関係は深くはなく、制裁の効力は制限的になりうる。さらに、ロシア経済は、2014年3月のクリミア半島の併合以降、西側諸国の制裁を経験し自活力をいっそう育ててきた。貿易よりは国内での生産と消費に依存する自給自足の形態が強化されたのだ。

 バイデン大統領が22日の制裁発表の演説で、「ロシア政府が西側諸国から資金を調達できないよう遮断した」と明らかにしたことも、ロシアにとって大きな打撃になるとは言いがたい。ロシアの国家債務は、国内総生産(GDP)の20%にすぎないほど少ないからだ。多くの西側諸国ではこの割合は100%前後だ。英国紙「ガーディアン」は、ロシア国債の海外保有比重も10%に過ぎず、国際債券市場から退出されるとしても大した問題ではないかもしれないと報じた。石油と天然ガスの輸出などで世界第4位の6310億ドル(約73兆円)規模の外貨準備高を蓄積していることも、ロシアの防御力を強化させた。プーチン大統領は最近、米国の制裁に応じロシア経済は自給能力を強く育てたとして、「経済主権の水準をいっそう高めなければならない」と述べた。

 経済は相互的なものであるため、制裁を発動すれば制裁を課した側も被害を受ける。ブーメランのリスクだ。対立激化により、ロシアが主要な輸出国である石油と天然ガスの価格がさらに急騰するとなれば、ただでさえ原油高に苦しんでいる米国など全世界の消費者の不満が強まらざるをえない。バイデン大統領も「利用できるすべての手段を動員し、米国の商店と消費者を原油価格の上昇から保護する」としながらも、「自由を守ることは、ここにいる私たちにも費用を要求すること」だと述べた。ロシア産の天然ガスに大きく依存する欧州では、その傾向がいっそう強まる。そのためか、先月まで議論されていたロシア産石油と天然ガスの輸入中断は、最近は強くは言及されていない。

 ロシアには中国という友軍もいる。北京冬季五輪の際に中国を訪問したプーチン大統領は、中国に対する天然ガスの供給を大幅に増やす長期契約を締結したと明らかにした。ロシアは欧州との貿易が制限されても、世界最大の経済大国の地位をうかがう中国との取引を通じて、制裁による損失をある程度は埋めあわすものとみられる。

 ロシア外務省は、米国などの制裁発表に反発して上げた声明で、「ロシアはあらゆる制裁にもかかわらず、損害を最小化できることを証明した」と述べた。さらに、「制裁は強力な対応を呼ぶだろう」として、米国の“敏感な”領域に対する経済的な報復を警告した。「制裁では私たちを揺さぶることはできない」という自信の表現に聞こえる。

ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1032433.html韓国語原文入力:2022-02-25 02:34
訳M.S

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