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韓国、国債1千兆ウォン…「“債務の質”は良い方だが備えは必要」

登録:2021-09-05 21:26 修正:2021-09-06 07:35
クリップアートコリア提供//ハンギョレ新聞社

 韓国政府は来年の国家債務が1068兆3000億ウォン(約100兆円)となり、史上初めて1千兆ウォンを突破するとみている。これにより国内総生産(GDP)に対する国債の比率も初めて50%を超える公算が大きい。財政健全性に対する懸念が高まっている理由だ。だが、このような量的指標だけで健全性の全貌を判断するのは早計だ。

 リュ・トクヒョン中央大学教授(経済学)は5日、本紙との通話で「適正国債の水準に絶対基準は存在しない」として「政府の支出所要を反映した適正な政府規模をまず決めた後、債務が持続可能なものかについて議論することが望ましい」と説明した。債務の量と共に「持続可能性」など債務の質も立体的にみてこそ財政状況の全貌を把握できるという話だ。

■実際に償還すべき国債比率は32.2%

 債務の質を見定める基準の一つは「金融性債務」と「赤字性債務」の比重だ。韓国は基軸通貨国でなく、ドルを買って集めるための外国為替市場の安全用国債などの「金融性債務」が大きい。金融性債務は、ドルなど対応資産が存在するものであり、赤字性債務とは性格が異なる。来年基準で韓国の金融性債務は382兆3千億ウォンで、全体の35.8%を占めると政府は推定する。これに対し、償還すべき国債(赤字性債務)の比率は、国内総生産の32%序盤であるという話だ。

 残存満期1年以下の短期債務が国債全体に占める比重が小さい点も幸いだ。短期債務の比重は7%であり、主要先進国(平均21.7%)と比較すると低い方に属する。さらには、10年以上の長期債務の比重も毎年増加している。昨年基準で国債の平均満期は10.4年だった。わずか4年前でも国債の平均満期は7.7年で現在より3年近く短かった。

 韓国国債の債権者の大部分が内国人という点も負担を減らす特徴の一つだ。昨年基準で外国人が保有する債権の比重は15.9%で、主要先進国(平均24.6%)に比べて低い。最近5年間でこの数値は増加傾向を示しているが、韓国同様に非基軸通貨国家であるスウェーデン(15.2%)、スイス(16.6%)と同程度の水準だ。外国人の保有比重が大きいほど、資本流出および市場不安にともなう金利上昇リスクは大きくなる。

 利子費用も債務の健全性を判断する主要要素だ。昨年基準で国債の利子費用は18兆7千億ウォン(約1.78兆円)で、国内総生産に対して1%未満だ。債務が急増する中でも、利子費用が急増しなかった理由は、国庫債の平均調達金利が2018年2.43%→2019年1.68%→2020年1.38%と低下を続けたおかげだ。2010年代の長期不況により「低金利環境」が国内外に形成されている。

■“急速な高齢化”…安心できる時ではない

 とはいえ警戒すべき要素も依然として多い。まず、赤字性債務が急速に増加していることだ。来年基準は686兆ウォン(展望)であり、最近5年(2017~2022年)の間に1.8倍に増えた。今後も急増し2025年には赤字性債務が900兆ウォンを突破するだろうと政府はみている。

 市場金利がじわじわ上がる流れも緊張を緩められない要素だ。最近10年間は「低金利環境」の恩恵を受けたとすれば、これからは金利引き上げ負担が財政運用の主要変数として登場しかねないという話だ。米国がテーパリングなど資金回収を検討していて、最近韓国銀行も約1年ぶりに金利を引き上げた。

 何よりの負担は急速な高齢化だ。高齢人口の比重が大きくなれば、それだけ福祉支出需要も大きくなる。一方、同じ理由で税金の負担余力は縮小する。財政の長期持続性に打撃を与えかねないという話だ。増税など税収基盤拡充の必要性が引き続き提起されるのもこのためだ。こうした点で、主要先進国に比べ低い租税負担率(約20%)など税負担余力が残っている点は肯定的な要因だ。

 ウ・ソクジン明知大学教授(経済学)は「当面は大丈夫かもしれないが、いつまでも大丈夫ではいられない」として「韓国政府の支出と債務をどのように管理するのか対策が必要だ。政府が出した財政準則のように、国債比率60%、統合財政収支-3%など数字を決めたからと言って管理できるわけではない」と指摘した。

 資本市場研究院のパク・チャンギュン先任研究委員は「未来の生産性の向上に役立つ教育や福祉、社会間接資本(SOC)分野などへの投資は、韓国経済の成長潜在力を育て、債務負担を減らすことができる」とし「韓国が夜警国家にならない限りは福祉支出が増えるほかないが、責任感をもって租税負担率の引き上げを語る政治勢力がないという点が問題」と指摘した。

イ・ジヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1010528.html韓国語原文入力:2021-09-05 19:48
訳J.S

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