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韓国で麻薬使用実体調査、「下水処理場分析」で初の試み

登録:2021-05-27 05:59 修正:2021-05-27 07:49
国内の麻薬流通組織から押収した麻薬類=慶尚南道警察庁提供//ハンギョレ新聞社

 過去1年間に韓国内の57カ所の下水処理場の下水を分析した結果、ヒロポンやエクスタシー、コカインなどの麻薬成分が検出されたが、オーストラリアや欧州諸国に比べると相対的に低い水準であることが分かった。これは国際的に通用する分析手法だが、国内では今回初めて試みられた。

 食品医薬品安全処(食薬処)は26日、「下水疫学基盤の違法薬物類使用の現況調査」のテスト事業の主な分析結果を公開した。これは下水処理場で試料を採取した後、残留麻薬類の種類と量を分析し、下水流量や採集地域内の人口数などを考慮して、人口に比べた麻薬類の使用量を推定する方式だ。

 昨年4月から今年4月まで、年間4回にわたって調査した結果、全国57のすべての下水処理場で、メタンフェタミン(ヒロポン)、フェンジメトラジン、フェンタミン、メチルフェニデートが検出された。そのほか、プロポフォール(52カ所)、アンフェタミン(21カ所)、ケタミン(13カ所)、LSD(7カ所)、コカイン(6カ所)が検出された。

 代表的な違法薬物であるメタンフェタミンは、1日平均使用推定量が1000人当たり約18ミリグラムと推算された。これは昨年基準で、オーストラリアで検出された推定量(約1500ミリグラム)の約1.5%で、2019年の欧州連合(EU)7都市の平均値(約35ミリグラム)と比べると51%の水準だ。コカインは1000人当たり約0.38ミリグラムだった。オーストラリア(約600ミリグラム)やEU各都市(約532ミリグラム)に比べると、これもまた大幅に低い水準だ。

 ただし、食薬処は下水疫学手法には限界があると説明した。検出された麻薬類が全量人体から排出されたものと仮定するため、麻薬を廃棄して下水に流した場合が排除され、過剰計算される可能性もある。また、短期間の測定で年間使用量を推定するため、下水採取時点で降水量などの影響で誤差が生じることもあり得る。

 食薬処は、今年の調査事業では全人口の50%以上が含まれるよう定期調査を行い、これとともにいくつかの場所では1週間以上集中的に調査する計画だ。今回のモデル事業は、大都市を中心に調査が行われたため、今後、中小都市や工業地域など、地域特性に適した人口試算法については追加研究が必要だ。

 食薬処は「今回の調査事業は、これまで把握できなかった国内違法薬物類の使用実態を全国レベルで初めてモニタリングしたという点で意味がある」と説明した。

ソ・ヘミ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/996816.html韓国語原文入力:2021-05-26 19:52
訳H.J

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