国際信用格付け機関ムーディーズが、韓国の国債格付けを「Aa2」で据え置き、今年の経済成長率展望値を3.5%に上方修正した。ただし、今後継続して増える国債などにより、これまで管理されてきた韓国政府のマクロ経済政策が試されると展望した。
ムーディーズは12日、韓国の信用等級を「Aa2、安定的」で据え置き、今年の成長率は2月の展望値(3.1%)から0.4ポイント上方修正すると明らかにした。新型コロナショックから弾力的な回復ができる強いファンダメンタル(基礎的条件)を反映した結果だ。ただし、国債の上昇と高齢化にともなう持続的な負担、北朝鮮との衝突のリスクなどは課題要因と指摘した。
ムーディーズのクリスチャン・ド・グスマン韓国担当取締役は、「昨年韓国の国内総生産(GDP)は1.0%減少したが、同等の格付けの他の国々より優秀な成果」だったとし「2021年は韓国が製造業、特に電子産業の輸出に対する堅調な需要と政府の財政緩和政策に基づき、3.5%の成長率を見通せる」と明らかにした。
ムーディーズはまた、韓国が拡張的な財政政策を展開しながらも税収拡大のための制度の改編を併行していないため、国債が増え続けると見通した。雇用創出をはじめとし、社会セーフティネット拡充、中小企業支援など「韓国版ニューディール」を推進するため財政支出は継続して増える一方、税収拡大のための対策はなく、財政支出の増加率が税収増加率を上回るということだ。そのため、政府が2025年から国際比率を国内総生産(GDP)の60%以内、統合財政収支は-3%以内に管理するという財政準則が試されると見通した。特に高齢化にともなう社会的支出が継続して増えることから、歳入増加などの措置がなければ今後20年間にわたり公共債務がいっそう増えると予想した。
グズマン氏は「短期的には、韓国の財政健全性の弱化は同等の格付けの他国に比べて大きくはない」としつつも「国債は過去最高水準に増えると予想する」と明らかにした。
ムーディーズは2015年12月、韓国の格付けを3番目に高い現在の水準に上げ、5年以上据え置いている。アジアの国家の中ではシンガポール(Aaa)に次いで2番目に高い。日本と中国は2段階下の「A1」だ。