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サムスン、合併株主総会直前に3億円以上の広告攻勢で世論づくり

登録:2020-09-11 06:38 修正:2020-09-11 10:40
違法経営継承の疑惑が持たれているサムスン電子のイ・ジェヨン副会長が6月8日午前、ソウル中央地裁で開かれた令状実質審査(拘束前被疑者尋問)に出席するため、裁判所に入ろうとしている/聯合ニュース

 サムスンが2015年7月、第一毛織とサムスン物産の合併案成立のための臨時株主総会を控えて、マスコミへの大々的な世論作り作業を行ったことが、検察の捜査の結果明らかになった。この頃、サムスンは4日間で36億ウォン(約3億2千万円)の広告をマスコミ各社に発注したことが確認された。検察によると、サムスンは合併に反対する外資系ヘッジファンドを「食い逃げ資本」と規定し、これを裏付けるような内容の記事をマスコミ各社に広く要請した。また、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長の継承計画案が盛り込まれた、いわゆる「プロジェクトG」(GはGovernanceの略)文書は、サムスン電子のイ・ゴンヒ会長にも報告されていたことが分かった。検察が今月1日にイ・ジェヨン副会長らを起訴する際、このような内容を裁判所に提出した控訴状に記録したことが、10日に確認された。

 ハンギョレが確保したイ副会長らの控訴状の内容を総合すると、合併決議の事実が公開された直後の2015年6月4日、米国のヘッジファンド「エリオット」がサムスン物産の株式保有事実を公開し、反対ムードを主導したこと受け、イ副会長とサムスン未来戦略室の関係者らは米国系の多国籍銀行ゴールドマンサックスと共に対策会議を開き、対応戦略を練ったという。検察は、このときイ副会長らが、合併を正当化するための虚偽の名分と論理を国内外の株主など投資家やISSなど議決権諮問会社、マスコミなどを対象に組織的に展開する計画だったと見ている。エリオットを「投機勢力」「食い逃げ資本」と規定し、サムスングループが不当に攻撃を受けているという趣旨の“フレーム”もこの対策会議で練られたというのが検察の判断だ。

 検察は、イ副会長と未来戦略室のチェ・ジソン室長、チャン・チュンギ次長、キム・ジョンジュンチーム長などが、合併と関連して友好的な世論づくりのためにマスコミ対応計画を立てたと公訴状に書いた。エリオットを「キャピタルゲインだけを狙う投機勢力」と規定し、サムスンとエリオットの善悪対決と決めつけて合併の問題点を隠すと共に、捏造された合併シナジー効果を組織的に記事化し、一般大衆をはじめ投資家が合併の問題点をきちんと認識できないようにするのが狙いだったと検察はみている。

 チャン次長は2015年6月からこのような計画に従って未来戦略室とサムスン物産の広報チームを指揮し、知り合いのマスコミ各社の役員や記者に合併に有利な内容の記事の作成を随時要求したという。特にサムスンは7月17日に予定されている合併株主総会を控え、4日間(7月13~16日)で約36億ウォンの議決権委任関連広告をマスコミに集中的に発注した。当時、このような構造の報道は、「投機資本による企業経営のかく乱を防ぐべき」(「東亜日報」7月13日付>)、「ヘッジファンドの食い物にされた韓国企業、『いったん攻撃されたら経営オールストップ』」(「朝鮮日報」7月9日分付け)、「国民年金、サムスン物産合併の“白馬の騎士”となれ」(「中央日報」7月9日付)、「国民年金、サムスン物産の合併に賛成、当然の選択」(「毎日経済」7月13日付)など、検察が確認した記事とコラムだけで11件に上る。

 2012年10月にチェ・ジソン未来戦略室長の指示で設計されたイ副会長の継承計画案である「プロジェクトG」は、翌年の2013年1~2月、サムスン電子のイ・ゴンヒ会長とイ副会長に報告された後、イ副会長の主導で本格的に実行に移されたと、検察はみている。検察は、合併直前まで隠ぺいされたサムスンバイオエピスの合弁契約条件は、イ副会長が会社設立当時、米国の製薬会社バイオジェンと交渉する過程で直接決定したもので、合併後の粉飾会計もキム・ジョンジュン未来戦略室チーム長から経過の報告を受けた後、直接承認したものだと公訴状に書いた。

 サムスン側はイ副会長に対する公訴状の内容について、「まったく事実無根であり、今後も法廷で十分反論する予定だ」と述べた。

キム・ジョンピル、イム・ジェウ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/961720.html?_fr=st1韓国語原文入力:2020-09-11 02:44
訳H.J

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