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裁判中の疑惑に「謝罪せよ」…イ副会長の量刑減らすためという懸念が現実化

登録:2020-03-12 06:06 修正:2020-03-12 08:01
サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が昨年12月6日、ソウル高裁で開かれた国政壟断破棄差し戻し審の第3回公判に出席するため裁判所に入ろうとしている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 サムスン遵法監視委員会が11日に発表した勧告案は、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長の「反省」や「謝罪」、「今後、遵法義務を違反しないと国民に公表する」ことを柱としている。監視委はサムスン電子など系列会社7社には「(オーナー一家など)一部の支配株主の利益のために残りの株主の利益を侵害しないように」と勧告した。近く、イ副会長の謝罪や公表など後続の手続きが行われるものとみえる。先月5日に発足し、サムスン電子など主要系列会社から報告を受けて調査を行ってきた監視委は、「これまでサムスンの不始末はほとんどが“継承”と関連があった」と判断したのが、今回の勧告の背景になったと説明した。

 勧告案はイ副会長の直接謝罪などを要求した点で、一歩前進したという評価もある。しかし、その内容を見ると、首をかしげざる得ない部分も少なくない。まず、監視委がイ副会長への監視と反省を求めた「違法な経営権継承疑惑」や「労組瓦解」などはすでに犯罪事実がかなり明らかになっており、グループの中核役員が実刑を言い渡されるなど、司法手続きが進められている。最高裁判所は昨年8月、イ副会長の贈賄について有罪と認めると共に、経営権継承のための見返りだったと判断し、現在破棄差し戻し審が進められている。監視委がこの1カ月間、サムスンの報告や内部情報提供などで新たに発掘したわけではないという意味だ。同委員会は「違法継承作業など過去の問題を調査する過程で、検察捜査と関連した資料が確認されれば、共有してほしい」という検察の協力要請の公文書に5週間が過ぎた同日まで沈黙を守っている。こうした脈絡でイ副会長が国民に向けた謝罪に出ても「空虚な謝罪」だと批判される可能性がある。

 最近のサムスンの動きも、勧告案を形だけのものにしている。サムスンの主要系列会社は今月、株主総会を控えて発表した取締役陣の面々をめぐり、議論になっている。サムスン・バイオロジックスの会計詐欺疑惑に関係した同社のキム・テハン代表取締役が再任に挑む。また、サムスンSDSやSDIの2社が推薦した社外取締役の中には「第一毛織とサムスン物産の合併比率に問題はない」とか、「サムスン・バイオロジックスの会計処理は適法」という趣旨の意見書を司法当局に提出した大学教授が含まれている。利害が衝突する余地はもちろん、「サムスンに味方した見返りだ」とささやかれている。勧告案の発表後、「十分に検討する」と受け入れる意思を明らかにしたサムスンの“言葉”と実際の”行動”とは距離があるわけだ。

 監視委の当初からの限界も勧告案の真正性に疑問を抱かせる要素だ。監視委は、退陣につながりうるイ副会長の贈賄の件の破棄差し戻し審が行われている最中、裁判所の要求で構成された。ソウル高裁刑事1部(チョン・ジュニョン裁判長)は、監視委の活動結果をイ副会長の量刑に反映すると公言した。イ副会長が監視委の勧告に応え、裁判所が「量刑に反映する」という立場を固守した場合、監視委発足時から浮上した「トップの量刑を減らすため」という懸念が現実化したとの批判は免れない。

 キム・ウチャン高麗大学経済改革研究所所長(経済改革研究所所長)は「イ副会長の過去の過ちは裁判所で判断して、有罪が確定すれば、それ相応の対償を払わなければならない部分」だとしたうえで、「今回の勧告案は具体性に欠けるばかりか、監視委は独自調査が進行中の間も、サムスンが過去の過ちについて反省しない態度を示したことに目をつぶり、未来の過ちも防げずにいる」と指摘した。

ソン・ギョンファ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/932227.html韓国語原文入力:2020-03-12 02:14
訳H.J

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