韓国と米国の軍当局が、今月中に大規模合同空中演習「ビジラントエース」の代わりに“調整”された形で行う予定だった演習を延期することを決めた。朝米交渉など非核化を含む朝鮮半島の平和に向けた外交的努力を軍事的にも後押しするためだ。
これを受け、10月初めにストックホルムで開かれた朝米実務協議で合意が見送られて以来、暗中模索中だった朝米実務協議が再会されるなど、朝鮮半島平和プロセスに再び弾みがつくだろうという期待混じりの見通しも示されている。「米国が南朝鮮との合同軍事演習から抜けるか、演習自体を完全に中止する」(14日、キム・ヨンチョル朝鮮アジア太平洋平和委員会委員長の談話)ことを求めてきた北朝鮮側が、これをいかに受け止めるかに関心が集まっている。
第6回ASEAN拡大国防長官会議を機に、タイ・バンコクで会談したチョン・ギョンドゥ国防部長官とマーク・エスパー米国防長官は17日、共同記者会見を開き、11月中に韓米軍当局がともに実施する計画だった合同空中演習を延期すると公式発表した。韓米国防長官による電撃的な合同空中演習の延期の決定と発表は、15日に大統領府で行われた文在寅(ムン・ジェイン)大統領とエスパー長官間の面会の延長線にあるものと見られる。
エスパー長官は記者会見で、「韓米防衛省間の緊密な協議と慎重な検討を経て、私とチョン・ギョンドゥ長官は、今月中に計画されていた合同空中演習を延期することで合意した」としたうえで、「このような決定は、外交的努力と平和を促進する環境づくりのための善意の措置だ」と述べた。チョン長官も「北朝鮮の完全な非核化を果たすという目標に堅固な意志を持っており、そのためには外交手段が最適の方法だ」と強調した。チョン長官は、演習をいつ行うのかについては、「今後行われる事案を見て、韓米間で緊密に協力して決める予定だ」として、“延期の期限”を明らかにしなかった。
エスパー長官は演習延期の決定を「非核化に向けた政治的協議のための善意の措置」だとし、北朝鮮に向けたシグナルも送った。また、「北朝鮮も演習と訓練、そして実験を実施するうえで、それに相応する誠意を示してほしい。我々は、北朝鮮が条件を付けたり、躊躇したりすることなく、交渉テーブルに戻ってくることを求める」と述べた。北朝鮮は2月末にベトナムのハノイで開かれた第2回朝米首脳会談で合意が見送られて以来、5~10月に12回にわたって新型の中・短距離ミサイルや超大型放射砲、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などの発射実験を行った。一方、エスパー長官は韓米合同演習の延期で安保態勢に支障が生じるのではないかという批判を意識したかのようで、「北朝鮮が非核化協議に応じる扉を開いておくために演習を調整する我々の意図が、我々の共同目標や利益、そして価値を増進および守護するための公約をうやむやにするものとして誤って受け止められてはならない」と強調した。