北朝鮮を貫く「南北ロ陸上連結天然ガスパイプライン」構想の経済的妥当性などを検討するための韓ロ「共同研究」に向けた実務準備が進められている。この巨大プロジェクトが実行段階に入れば、南北をつなぐ「エネルギー血脈」がつながれることになる。天然ガス資源の導入は、経済性はもちろん、朝鮮半島の平和と南北共同繁栄を同時実現に寄与するものと期待されており、韓ロ両国が共同研究に公式に着手する時期に注目が集まっている。
24日、韓国ガス公社によると、工事は極東シベリアのガス田から採掘される天然ガスを、陸上配管を通じて北朝鮮を経て韓国に供給する「南北ロ天然ガス事業団韓ロPNG(パイプライン天然ガス)共同研究」のための先行段階の一環として、実務準備に着手した。ガス公社は「PNG共同研究は対北朝鮮制裁とは関係なく、制裁に抵触しない範囲内で、今後の環境づくりに備えた実務準備を進めている」と明らかにした。
これに先立ち、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は今年6月にロシアで行われた韓ロ首脳会談で、「南北ロ3角協力に向けたガス分野における韓ロ共同研究」を推進することにし、ガス公社とロシア国営ガス会社ガスプロムがパイプラインの連結関連の経済性及び技術性に関する共同研究に合意した。両ガス機関は最近、数回にわたり、共同研究の本格化に向けた実務協議を行った。
北朝鮮を貫くシベリアの天然ガスパイプライン連結構想は、1990年代から民間および政府レベルで断続的に話し合われてきたが、北朝鮮の核問題など様々な突発的な要因により事実上中断された。2010年の韓ロ共同研究検討報告書によると、今後30年間にわたり、年間750万トンのシベリアガス田で生産された天然ガスを、陸上パイプラインを通じて韓国に供給することになっている。パイプの長さは、2015年にガス公社の依頼でサムジョン会計法人が推算した最短路線(朝ロ国境から元山・鉄原・坡州・仁川を経て平澤まで)でも1202キロメートルに達する。北朝鮮の天然ガス需要を考慮し、平壌(ピョンヤン)と開城(ケソン)を経由すれば、1505キロメートルに増える。北朝鮮は現在、エネルギー源として天然ガスをほとんど使っていないが、今後、北朝鮮も国家エネルギーミックスに天然ガスを含む可能性が高いと見られる。
もちろん韓ロ両国の共同研究だけでは限界があり、北朝鮮と交渉しなければならない。北朝鮮内のガス管路線に対する地質調査も必要であり、突発状況の場合、船で輸入(液化天然ガスの運送形態)しなければならない場合の価格競争力も検討しなければならない。エネルギー経済研究院のイ・ソンギュ北方エネルギー協力チーム長は「韓ロ共同研究が今後北朝鮮現地に直接入って陸上配管環境などを調べる“現地調査”の形で行われるかどうかは、北朝鮮と協議しなければならず、また(現地調査に対する)米国側の同意を得なければならない」とし、「北朝鮮地域の現地調査なしで、韓ロがそれぞれ天然ガスの長期需要量(韓国)と供給量(ロシア)など、最新の情報を作成・共有する形で研究が行われる可能性もある」と話した。
ガス公社はいわゆる「通過料」も推算している。ガスプロムがウクライナ・スロバキアなどと締結した既存の通過料契約からして、韓国側が北朝鮮に支払う通過料は天然ガス1千立法メートルを100キロメートル運送する際に、約2ドル(従量制基準)と推算され、この場合通過料は合計約1804億ウォン(約180億円)になる。ガス公社は「陸上配管に関する国際協約や普遍的基準はなく、通過料契約はほとんど機密で、交渉を通じて確定される」と説明した。北朝鮮が通過料を現金ではなく、天然ガスの物量でもらい、内需用に使うことも考えられる。
韓国としては、環境にやさしいエネルギーへの転換という政策目的も、この共同研究の推進に含まれている。ガス公社は、天然ガスの安定的な導入線の確保はもちろん、LNG(液化天然ガス)の導入価格を引き下げる効果も期待している。世界天然ガス輸入1~3位国の日本や中国、韓国のLNG導入価格(韓国は2017年に100万英熱量(MBtu)当たり平均8.08ドル)は、国際原油価格連動契約に加え、「アジアプレミアム」という不利な条件がつくため、米国(4.49ドル)及び欧州市場で取引される価格より、2倍近く高い。現在、ガス公社はカタールやオーストラリアなどのガス田から天然ガスを液化して船舶に搬入しているが、パイプラインでは気体の状態のまま輸送できる。既存のLNG供給者との交渉で、従来の導入単価を大幅に下げる効果もあると予想される。