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内戦逃れてきた人々が「ニセ難民」?…イエメン難民に対する誤解と真実

登録:2018-06-28 08:50 修正:2018-06-28 10:04
大韓赤十字社などの救護団体が済州のイエメン難民申請者に食べ物を配っている=資料写真//ハンギョレ新聞社

 ビザなし制度で済州(チェジュ)に入ってきたイエメン人たちは、戦争の恐怖から逃げて韓国社会の門をたたいた人々だ。しかし、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)とインターネットコミュニティなどでは、彼らを狙った根拠のないうわさと攻撃的な対応が多い。難民が流入した後に犯罪が増えるという恐怖と「ニセ難民」という主張が代表的だ。事実のように流される難民に対する「誤解と偏見」を追ってみた。

■犯罪が増える?

 「イエメン難民たちが入ってくると強盗や強姦などの重犯罪を犯すのに、司法当局はどうして防がないのか?」難民に関連する記事についたコメントだ。統計的にこの言葉は「事実と異なる」。韓国刑事政策研究院が2017年に発刊した「公式統計に現れた外国人犯罪の発生動向と特性」資料によると、外国人犯罪率は韓国人の半分程度に過ぎない。報告書によると、2011年から2015年までの5年間、内・外国人の犯罪全体の人口10万人当りの犯罪発生率は毎年、内国人が外国人よりも2倍以上高かった。

 済州にいるイエメン人の状況だけを考えてみても、このような認識は事実とは程遠い。済州地方警察庁によると、先月初めから今月23日までの50日余りの間、警察に届けられたイエメン難民関連の申告件数は計7件だった。このうち、犯罪に関連する届出は1件もなかった。23日には済州市三徒1洞一帯に滞在しているイエメン人たちがスマートフォンとクレジットカード、現金67万ウォンが入った財布などの落し物を交番に持ってきて「持ち主を探してほしい」と要請した事実があったことも分かった。

■「ニセ難民」?

 イエメン難民申請者が「ニセ難民」という主張も広範囲に広がっている。「ニセ難民」とは通常、就業目的で来て難民審査と訴訟を続け、2~3年間国内にとどまろうとする「予備不法滞在者」(未登録移住労働者)をいう。

 済州に来たイエメン難民申請者たちが単純に就業を目的に制度を悪用した可能性は大きくないというのが、専門家の見解だ。難民訴訟の経験が多いイ・イル弁護士は、「難民条約上、難民に認定されるかどうかは審査を経なければならないが、内戦が進行しているイエメンの状況を見ても、済州に滞在しているイエメン人を『ニセ難民』と烙印を押すのは無理がある」と話した。

 「ニセ難民」という用語そのものに偏見が含まれているという指摘もある。イ弁護士は「『ニセ難民』という表現は、難民申請者を単純に『本物』と『偽物』に分けることができるという偏見を含んでいる」とし、「難民条約上、人道的滞在者など難民ではないが他の方式で保護しなければならない人たちもいる」と指摘した。

■仕事を奪う?

 イエメンの難民申請者たちが韓国人の雇用を奪うという主張もある。しかし、済州島内の養殖業者などの話を総合すると、このような主張も説得力がほとんどない。現在、済州のイエメン難民申請者たちが就職可能な分野は養殖業、漁船員、飲食業など特定分野に制限されている。済州で養殖業を営んでいるAさん(54)は「韓国人の求職者を見つけられず、すでにインドネシア、パキスタンなどの移住労働者が半分以上就業した状況」だとし、「イエメン難民申請者たちが養殖場に就職して雇用を奪うという話は、現実をあまりにも知らない人の話」と話した。キム・ソンイン済州イエメン難民対策委員会委員長は「イエメン人たちが志願する業種の99%は人手が不足したところ」だとし、「500人あまりに対する恐怖感が過大に膨らまされている。韓国の労働市場を撹乱する数字にはならない」と指摘した。

済州/イム・ジェウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/850960.html韓国語原文入力:2018-06-28 07:50
訳M.C

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