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トランプ、シンガポール到着第一声に「会談の展望、ベリーグッド」

登録:2018-06-11 08:05 修正:2018-06-11 09:32
ドナルド・トランプ米大統領が今月10日夜、シンガポールのパヤレバ空軍基地に到着し、出迎えの人々に手を振っている。右はシンガポールのビビアン・バヤクリシュナン外相=シンガポール/AFP 聯合ニュース//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ米大統領が10日夜シンガポールに到着し、12日に開かれる北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との史上初の朝米首脳会談の準備に突入した。彼が「平和の任務」と表現した歴史的な談判が秒読みに入った。

 トランプ大統領を乗せた専用機は同日午後8時20分(現地時間、韓国時間午後9時20分)にシンガポールのパヤレバ空軍基地に着陸した。トランプ大統領は専用機の出入り口で手を振った後降りて、シンガポールのビビアン・バラクリシュナン外相など出迎えた要人たちと握手を交わした。会談の展望を問う記者団の質問に「非常に良い」と述べた後、専用車に乗り込み、8時56分に宿泊先のシャングリラホテルに到着した。

 トランプ大統領は8~9日、カナダ・ケベック州で開かれた主要7カ国(G7)首脳会議に出席した後、シンガポールに向かった。彼は9日、シンガポールに向かって出発する直前に記者会見を開き、今回の旅程を「平和の任務」と意味を与え、会談の成功に向けた抱負を明らかにした。彼は朝米首脳会談が成功するだろうという肯定的な見通しに重きを置きつつも、金委員長に向かって「たった一度の機会」(one time shot)だとし、非核化の決断を重ねて求めることを忘れなかった。それでも「今のところはとても良い」とし、何度も「うまくいくだろう」と強調した。

 トランプ大統領は会見の冒頭発言で「私はまもなくシンガポールに行く」とし、「数百万人の気持ちを込め、平和の任務の途につき、これを遂行する」と述べた。彼は「我々は非核化をしなければならない。我々は何かをしなければならない」とし、「(非核化が実現すれば)北朝鮮がとても短時間内にものすごい所になると思う」と述べた。彼は金委員長との談判を控えた心境を問う質問には「一度も行ったことのない道」だとし、「実際には非常に確信している。私は金正恩が自国民のために立派なことをしたがっていると信じている」と力を込めて語った。今回の会談が「恒久的な平和、そして繁栄に向けた大きなチャンス」だという点も強調した。

 トランプ大統領はさらに、金委員長が「(繁栄に向けた)その機会を持っており、再び与えられないだろう。それでこれはたった一度の機会」だとし、「(金委員長が)非常に肯定的な処置を取ると信じている」と話した。米国政府の目標である「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)を金委員長が今回の会談で決断することを求めたものとみられる。しかし、言い変えればこれは双方がまだ非核化という核心議題に関して最終合意に至っていないことを示す言葉とも考えられる。彼はさらに、金委員長について「よく知られていない人物」だと説明しながらも、「逆に良い方に考えてみれば、彼が(私たちを)びっくりさせる可能性もある」と、好奇心と期待感を同時に表した。

 トランプ大統領はさらに、CVIDは一気に実現するのではなく、段階的に解決していくしかないという最近の現実認識を再確認した。特に、金委員長との会談自体に意味を与えている点が目立つ。彼は今回の会談が成功的だと見る根拠は何かという質問に、「少なくとも関係が結ばれるものと思われる。一旦、対話を始めることができるだろう」と述べた。彼は「それよりも多くのことを実現したいが、少なくとも我々は互いに会う」とし、「我々が互いを好きになれば幸いであり、(そうなれば)我々はプロセスを始められるだろう」と話した。彼が言う「平和の任務」のための旅程が一度の会談で完成されるのでなく、ようやく「スタート」するということを強調したのだ。

 同じ脈絡で、トランプ大統領は会談の最大目標を問う質問に「(あなたたちは)全部知っているはず」だとし、「だが、それはやや時間がかかるだろう」と述べた。北朝鮮が拒否感を抱いている「CVID」を直接口にしないまま、非核化を段階的に行わざるを得ないという点を重ねて明らかにしたものだ。これに先立ち、マイク・ポンペオ国務長官は7日、記者会見で「我々は過去どれほど多くの不適切な合意が妥結されたのかを見てきた」とし、「朝鮮半島のCVIDが、我々が受け入れることのできる唯一の結果物」だと言い切った。

 記者会見では「金委員長が交渉に真剣なのかを把握するのにどれくらいかかるか」という質問も出た。これに対してトランプ大統領は「1分以内にわかる」と答えた。彼は「もしも良いことが起きないようなら、私は時間の浪費はしない。彼(金委員長)の時間も浪費したくない」と話した。これは、金委員長に非核化の意志が感じられなければ会談場の外へ出ていくという意味だ。

 トランプ大統領はまた、「米国が北朝鮮に多く譲歩するのではないか」という米国内の一部の見方に断固として線を引いた。彼は「金正恩に対し、会談の機会だけを与えてしまうのではないかと心配ではないか」という質問に何度も「ノー」と言った。彼は先月、北朝鮮に抑留されていた3人の韓国系米国人が帰還したことに触れながら、「我々は何も支払っておらず、彼らが(対話に)戻って来て、いま世界で一番幸せな人たちとなった」とし、北朝鮮に譲歩したものはないと強調した。

 トランプ大統領はシンガポールに向かう飛行途中にもツイッターを通じて「金委員長と会うのを待望している」とし、「(金委員長が)今回一度(one-time)の機会を逃さないという気がする」と期待を示した。さらに「北朝鮮と世界に向けた驚くべき結果のチャンスがあるシンガポールに向かっている」とし、「きっと興味津々な一日となるだろう。金委員長も過去にはなかったことを成し遂げるために非常に熱心に取り組むだろうということはわかっている」と付け加えた。

 10日夜、シンガポールに到着したトランプ大統領は11日、シンガポールのリー・シェンロン首相と会談する。

シンガポール/ファン・ジュンボム、キム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/848495.html韓国語原文入力:2018-06-10 23:19
訳M.C

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