原文入力:2011-03-21午前08:15:02(1804字)
トリポリ・ミスラタ・ベンガジ 政府軍施設 攻撃
カダフィ "決死抗戦" …‘第3イスラム戦’可能性も
リュ・ジェフン記者
←米国海軍の誘導ミサイル イージス駆逐艦ペリーが19日夜(現地時間)地中海でリビアの防空網を標的にトマホーク ミサイルを発射している。 米国海軍提供/ロイターニューシス
‘反政府デモから内戦様相へ。 また国際戦へ。’
先月15日ベンガジ デモで始まったリビア事態が19日夕(リビア現地時間)フランスと米国、英国が主導する多国籍軍のミサイル攻撃と空襲により国際社会の戦争に飛び火した。アフガニスタン・イラクに続き21世紀西欧のイスラム世界に対する3回目の軍事介入だ。 戦況によっては再び西欧が長期戦のどん底に陥ることになる可能性も排除できない。
フランス空軍機の爆撃で始まった多国籍軍の空襲はトリポリ、ミスラタ、ベンガジなど3圏域にあるカダフィ軍の防空網と指揮統制施設を集中攻撃した。去る17日、リビアに飛行禁止区域を設定した国連安保理の決議案を多国籍軍が‘前例ないほどに’迅速に執行した。 反政府軍の‘首都’格であるベンガジの陥落切迫状況とそれにともなう大量虐殺憂慮が今回の空襲決定を操り上げた側面がある。
西欧ではリビア反政府軍側が飛行禁止区域の設定を要請してきたし、アラブ連盟の支持も得たうえで安保理の決議があったため名分がある。飛行禁止区域設定を巡り数週間かけて国際社会が論議を行いカダフィ軍が勝機を捉え対応が遅れることに対する批判まで出てきたことも事実だ。バラク・オバマ米国大統領は「自国民に決して慈悲がないと脅迫する独裁者を傍観することはできなかった」と正当性を付与した。だが、人道主義的介入は非人道的結果を産みうるということが国際社会が抱いているジレンマだ。実際トリポリでは数千名が‘人間の盾’を自任してカダフィを守るとして立った。カダフィは多国籍軍の軍事行動を‘十字軍戦争’に喩え 「無限の忍耐と深い信念を持って」西側との長期的な全面戦争を宣言した状態だ。
軍事的展望も容易でない。1990年代イラクで北部クルド族、南部シーア派を保護するために設定された飛行禁止区域は、サダム・フセイン政権を退出させるには力不足だった。西側の究極的目標は41年独裁者カダフィの追放だが、戦闘機と海上攻撃を動員した攻撃だけではカダフィの地上軍兵力を打ち破ることは容易でない。実際、専門家たちはカダフィ軍が制空権をたとえ喪失するとしても、反政府軍地域に進撃してかえって‘全面的な内戦’に上り詰める可能性を提起している。米国戦略情報分析業者のストレッポのマルコ ペピクは 「市街戦が広がれば多国籍軍が4500m上空からの空軍力を使いにくい」と指摘した。
オバマ大統領は「米地上軍の投入はない」として、作戦はヨーロッパ同盟国らが主導しなければならないという立場だが、米国が抜けた状況でヨーロッパが地上軍派兵を自任する可能性は高くない。飛行禁止区域設定に支持意思を明らかにしたアラブ国家らも地上軍参加には力不足だ。英国<インディペンデント>は「事態が長期膠着状態におちいる場合、トリポリ中心のカダフィ体制と東部のベンガジなど自由リビアに分割される可能性も排除することはできない」と指摘した。
バーレーンに対するサウジアラビアなどの軍事介入に続くリビアに対する軍事介入は、今年に入って中東と北アフリカでまき起こった民主化の流れにややもすれば逆風として作用しかねない。また、地中海周辺が事実上戦場になり西欧社会、特にヨーロッパ各国の論難と政治地形変化まで呼び起こす展望だ。
リュ・ジェフン記者 hoonie@hani.co.kr
←ムアマル・カダフィに従うリビア政府軍車両が20日(現地時間)リビア東側アズダビヤからベンガジへ向かう道路で米国・英国・フランスなど多国籍軍の空中爆撃を受けた。あちこちから黒煙がキノコ雲のように広がっている。多国籍軍は19日に続き2日連続でリビア政府軍の対空防御施設などを爆撃した。アズダビヤ/ロイターニューシス
原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/arabafrica/468899.html 訳J.S