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ムバラクはなぜひざまずいたか

https://www.hani.co.kr/arti/international/arabafrica/463105.html

原文入力:2011-02-12午前04:10:05(2109字)
軍‘9月まで席のみ維持’発表にも関わらずデモ隊 あふれ出るなり電撃辞任

イ・ポニョン記者、リュ・ジェフン記者

ホスニ ムバラク大統領の30年鉄拳統治は結局、ピープルパワーの前にひざまずいた。先月25日から始まった退陣要求デモにも少しも動かなかった彼を追い出したのは、結局 独裁政権が投げる餌を咥えず即刻退陣という断固たる立場を曲げなかったエジプト国民の歴史的決断だった。

ムバラクが辞任声明すら直接発表できず代理人格であるオマル スレイマン副大統領を通じて‘退場’を宣言した11日(現地時間)、終日 状況は流動的であったし不透明だった。ムバラクは前日にはすでに辞任するという側近と米国中央情報局(CIA)の予想をこれ見よがしに否認しながら "憲法守護" のために席を維持すると宣言した。代わりにスレイマン副大統領に大統領権限を委任し席は守るものの統治行為はしないという妥協策を提示した。

反ムバラク陣営はこれもまた彼の浅はかな生存術と片付け、非妥協的姿勢を守った。ムバラクはすでにデモ勃発以後、内閣交替と副大統領職新設、改憲委員会構成、デモ鎮圧真相調査などの譲歩措置を相次ぎ出し民心を天秤にかけた。その度にデモ隊は "ノー" を叫び闘志を曲げなかった。

こういう状況の中で11日は‘運命の日’として運命づけられていった。バラク・オバマ米国大統領は前日ムバラクの立場表明に曖昧な点があるとし、明らかな説明を要求したし、米国駐在エジプト大使は直接<CNN>と接触し 「スレイマン副大統領が事実上の大統領」と説明した。下野拒否ではなく副大統領への権限委譲がムバラクの主なメッセージだと主張しながら相変らず‘名誉退陣’に執着する態度を見せた。

この日、最後にムバラクを救うために乗り出したのは軍部であった。前日「国家守護のために必要な措置を取る」という内容の‘コミュニケ1’を発表した経緯のある軍部は、この日もタンタウィ国防長官主宰で20人余りの首脳が参加した最高会議を開いた後、ムバラク大統領の改革方案を支持すると発表した。 軍部は△ムバラクが9月大統領選挙の時までは席を守るものの、大統領権限はスレイマン副大統領が行使し△デモ状況が沈静化すれば緊急措置法を解除し△公正で自由な大統領選挙を保障するという方針を提示し、デモ隊には解散を勧めた。

軍部のこういう立場はデモ隊を失望させた。ムハムマド エルバラダイ前国際原子力機構(IAEA)事務総長は「今や軍が出なければならない」と促したが、無駄骨だった。結局、エジプト野党圏はより大きな抵抗のみがムバラクを追い出す唯一の方法だという結論を下し、繰り返し欺瞞的術策で席を保全しようとするムバラクにとことん嫌気がさした市民はタフリール広場にどっと入ってきた。<AP>通信らはタフリール広場だけで100万人、全国的には数百万名がムバラクを最後まで追い詰めようとして出たと伝えた。

この日午後、デモ隊がますます増える中で ムバラクが家族と共にヘリコプター2機に乗り、シナイ半島の紅海の休養地シャルム エルシェークに逃れたという便りが伝えられた。この時ですらムバラクが辞任するという予想は多くなかった。自身は大統領の席を形式的に維持するだけという立場の‘真正性’を示すためだという観測が出てきた。

だが、わずか数時間も経たずにムバラクは白旗を揚げてしまう。ムバラクがもはや見込みがないという判断をしたのは、街にあふれ出た市民の規模や彼らの決意が大きな作用をしたものと見られる。デモ過程で2度の大きな集会があったが概略25万人内外が参加したが、11日のデモは規模からして次元が異なるものだった。しかも大統領宮前にデモ隊が集まりながら、ムバラクは官邸を取り囲んだ戦車と鉄条網に依存して政権を守らざるを得ない境遇に追い出された。 ムバラクが正確にいつ辞任を決心したかは伝えられていないが、この日 紅海休養地へ逃れる時から辞任を準備していたものと見られる。国営テレビは辞任発表2時間余前からすでに "重大発表" を予告した状態だった。

カイロに再びは戻れないと見られるムバラクが、今後どこで何をするかは不確かだ。シャルム エルシェーク休養地の高級ゴルフリゾートはムバラクがしばしば立ち寄った所で、彼が外国首脳らに時々会ってきたところでもある。エジプトの反政府デモがほとんど暴力性を帯びなかった点などを考慮すれば、彼が継続して国内に留まる可能性もあるとみられる。だが、30年独裁の末に追い出されたことには違いなく、天文学的金額の不正腐敗と無慈悲なデモ鎮圧などの問題もあり末路が気楽ではない可能性もある。ムバラクがドイツの豪華病院のベッドを予約していたという報道も出されている。
イ・ポニョン、リュ・ジェフン記者 ebon@hani.co.kr

原文: 訳J.S