原文入力:2010-10-20午後07:54:33(1402字)
通信員リポート/民心 読み間違えたフランス政府
青年支持 期待した年金法 逆に批判に直面
若者たち、働き口悪化・定年延長などに不満
年金改革問題と関連してフランスの高校生たちの大々的な街頭デモ参加は今回のフランス全面ストライキ政局の最大関心事の一つだ。相当数の高等学校は学生たちが築いたバリケードで完全に出入口が封鎖され出入りすらできない。 この異例的な高校生たちの動きはなぜだろうか?
今回の年金改革案貫徹過程で、ニコラ・サルコジ政府は2つの社会的葛藤の場を予想した。1つは‘理念的葛藤’であり、他の1つは‘世代間葛藤’だった。まず、現在のフランスで政界左右陣営間の葛藤はサルコジ政府が予想したことと大きく異ならない。右派は年金改革案貫徹に固執し70%の反対世論を無視する無理を強いており、左派は年金改革案反対という原則は確かだが、それでも説得力ある代案を提示することができていないという評価だ。
反面、未来世代と現在の世代との世代間葛藤問題はサルコジ政府が予想したこととは全く違う方向に進行している。事実、現在のフランス年金制度の持続可能性に対しては左右を問わず内心では懐疑的な見方が多かった。現在のシステムを維持するためには未来世代が担わなければならない負担が非常に大きいためだ。ところが年金財政枯渇の‘最大の被害者’と見られていた未来世代らが反対に今回の年金改革案に積極的に反対し、大々的な同盟休業とデモ参加で戦いを大きくしている。
これに対しフランス政府と与党は「高校生らが左派陣営の扇動にだまされている」と過小評価し、一部海外言論は "サルコジに対する盲目的反対心理" をその原因と目星をつけている。だが、実際に示威現場で会った高校生らの問題意識はこういう診断とは相当に距離がある。定年延長により直ちに卒業後の自分たちの働き口が減るということと、今より長く仕事をして、もっと歳を取ってから年金を受け始める人生は嫌だということだ。
結局、これらは左右派の理念追求やサルコジ大統領に対する単純な好き嫌いというよりは、政府の年金改革案と関連して徹底して自分たちの短期的利益に忠実な極めて合理的な判断をしているということだ。ところで、このような高校生について一部政治家たちは政治的攻勢のためにこれらを理念の色付けをし、これに対する政治勢力間の得失を問い詰めている。サルコジ政府は年金改革関連世代間葛藤局面で最小限、未来世代は自分の側につけることができると予想したが、反対に彼らだけの算法により今の政界を当惑させている。最近、フランスのゼネストの便りを伝えるに際し一部海外言論らは高校生らを過激デモを行う‘破壊者ら’(casseurs)と同一視し過激な若者たちとして誤った描写をしたりもしている。フランスの‘騒々しい民主主義’で唯一‘騒々しい’だけが強調された恰好だが、事実その下で本当に作動しているのは‘民主主義’だ。
パリ/ユン・ソクチュン通信員・パリ政治大学(シアンスポ)ヨーロッパ学研究所博士課程研究員 semio@naver.com
原文: 訳J.S