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‘ペイリン+ティーパーティー’米国を揺さぶる‘変種’保守主義

原文入力:2010-09-12午後07:17:02(2391字)
主流保守 リーダーシップ喪失 隙をついて全国的に根
オバマに対する人種主義偏見を基礎に
極右指向 公然と表し 中間選挙に大きな影響

クォン・テホ記者

←セーラ・ペイリン前アラスカ州知事が先月28日、ワシントン リンカーン記念館前で開かれた大規模保守陣営集会で演説している。 ワシントン/AP連合ニュース

来る11月2日に行われる米国中間選挙で共和党が上.下院を全て掌握するという予想がますます力を増している。景気低迷の長期化によるバラク・オバマ民主党行政府に対する失望感が最大の本質だが、その反対側で絶えず火に油を注いでいる自然発生的草の根保守団体の‘ティーパーティー’も大きな役割を果たしている。

昨年から各地域で組織され始めたティーパーティーは、オバマ大統領の医療保険改革に反対しながら勢力を拡大していった。そして今は共和党支持団体としてではなく、共和党プライマリ(選挙戦)でティーパーティーが支持する候補を相次ぎ当選させるなど選挙構図を揺さぶっている。<ニューヨーク タイムズ>の推算によれば、上院議席100席の中で18席が競合中だが、この内の11議席はティーパーティーが影響を及ぼしかねない。また、下院の競合104議席(全体435席)中でも半分近い48議席にティーパーティーが力を発揮するものと分析された。

ティーパーティー集会に最もしばしば招請される演説者がまさに去る大統領選挙当時に共和党副大統領候補であったセーラ・ペイリンだ。ペイリンは去る大統領選挙敗北後、既存の共和党指導者らがティーパーティーを負担に感じる時、ティーパーティーの手をすぐに掴んだ。ペイリンはティーパーティーを通じ米保守層の核として復活し、ティーパーティーは大統領選挙に出たペイリンを通じて全国組織として根をおろすことができた。

オバマに向けて露骨な非難を浴びせるペイリンとティーパーティーは最適の相性だった。ペイリンは中間選挙の主要プライマリで現在までに19人の候補に対し支持宣言を行い、この内 11人を当選させた。ペイリンが支持した候補の大部分が新進候補という点を考慮すれば これは驚くべき成績だ。去る2日、アラスカ州共和党上院議員候補指名プライマリではペイリンが支持した政治新人チョ・ミラーが、現職上院議員でありアラスカの30年政治一族出身のリサ モカウスキを破った。

‘ティーパーティー - ペイリン’症候群の最大の原因はやはり景気低迷と失業問題に対する不満だ。しかし、その裏面には初の黒人大統領に対する反感という人種的偏見がベースにある。ティーパーティー会員の大部分が白人というだけでなく、露骨に人種主義的な傾向を示す。ジョージ・ブッシュ行政府が招いた金融危機の波の中で行われた前回大統領選挙で‘変化’(Change)の旗じるしを掲げたオバマ旋風を見守りながら黙っていたが、保守白人やちが‘黒人大統領’を全面的には受け入れずにいるところへ、経済危機で被害意識と喪失感がより増したと見ることができる。ティーパーティーはこれをキリスト教信仰、愛国心、家庭の大切さなどの伝統保守主義の概念で包装している。

←ティーパーティー会員たちの構成および考え

ここにすでに視聴率1位に浮上した<フォックス ニュース>、ラジオ トークショー進行者のラッシュ リンボーなどが粘り強く米国人に向かって極右主義的洗脳をしたのがティーパーティーの滋養分となっている。何よりロナルド・レーガン以後、ニュート キングリチ - ジョン・マケインへつながった既存の保守主義が米保守層からリーダーシップを失ったことが‘ティーパーティー - ペイリン’浮上の原動力だ。主流保守主義が1960年代から30年以上、米国を率いることができた理由は、道徳性に基づく自身に対する厳格さによるためだ。

これに反し‘ティーパーティー - ペイリン’、そして<フォックス ニュース>放送進行者のグレン ペックなどに代表される現在の極右保守主義は、末梢神経を刺激する扇情的人身攻撃、自身の行動に対する無責任など過去の正統保守主義とは肌合いが違う。ブッシュ行政府の8年間、イラク戦争、金融危機などの失政が度重なり共和党が大衆から遠ざかり、既存保守主義者たちはこれを再建しようとすることよりは、大部分が責任回避に汲々とする間、郊外周辺で‘変種保守主義’が逆に本家を揺さぶる状況に達したわけだ。

‘ティーパーティー - ペイリン’の流れが中間選挙を越えて今後も継続的に米政治、米保守主義の主流を形成するかは疑問だ。<ニューヨーク タイムズ>は去る5日‘ティーパーティーは共和党にとり両刃の剣’という題名の記事で 「ティーパーティーが支持候補を巡り党員間で内紛が起き、支持層が分かれ11月本戦で民主党候補が漁夫の利を得て議席を占めることもありうる」と報道した。ティーパーティーの支持を受ける候補らが大部分極右主義指向を帯びるため、共和党プライマリでは勝っても、本戦では中道層有権者の票を貰うことに限界があるためだ。さらにプライマリから脱落したティーパーティー所属候補らが無所属などから出馬する場合、これは直ちに民主党に漁夫の利を抱かせかねない。

結局‘ティーパーティー - ペイリン’の浮上は、共和党、正統保守主義、そして民主党が本来の役割を果たせなかったためであり、これらの今後の運命もそこに懸っているという。
ワシントン/クォン・テホ特派員 ho@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/america/439441.html 訳J.S